【第44回】生産で気をつけたいキャッシュフロー|トピックスファロー

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2015年11月5日
【第44回】生産で気をつけたいキャッシュフロー

せっかく受けた受注のチャンスを逃さないようにするために、初歩的な運営資金に関する内容をチェックしましょう。

ファッションライター
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生産をする際にはキャッシュフローをしっかり管理しよう

ファッションブランドを運営するには、初期費用は少なく始めことができますが、受注を受けて生産をすることや、大手セレクトショップからの大量な受注に対応できるようにするなど、資金面で気をつけなければならないことがあります。
ここでは、せっかく受けた受注のチャンスを逃さないようにするために、初歩的な運営資金に関する内容をチェックしましょう。
Beautiful fashion woman in white hat and red swimsuit posing

生産に必要なお金をしっかりと確保しよう。

ファッションブランドを運営するにあたって、気をつけるべき点が、生産する資金を確保することです。
最初のシーズンに受注が来れば工場へ生産を依頼することになりますが、受注分の代金が入金されるのは商品を納品した後となります。
そのため、工場で生産する費用は自身のブランドで建て替える必要があります。
また工場によっては、生産にかかる代金を先に払わなければ作業を進めてくれないところや、代金と引き換えでなければ出来上がった商品を発送してくれない工場もあります。

さらに工場だけでなく、材料となる生地や洗濯ネームを作るなどの費用も必要です。

展示会に出るためにサンプルを作る際に資金を使うことになりますが、ある程度の受注が来ても生産できるだけの費用も蓄えておくことや、必要な時期までに準備ができるようにしておきましょう。

当分はシーズンの売り上げが次回の生産費用に

費用の確保の点で言えば、受注を受けた分の商品の納品が終わり、バイヤーからの入金があっても、全てが利益とはなりません。

次に待っていることは、次回シーズン用のサンプル代と、受注が来た時の生産費用を確保しておく必要があります。

そのため、最初のシーズンで比較的たくさんの受注を取れていたとしても、ブランドとしての利益はほとんどなく、生産などで工場への支払いを終えた後の少し残ったお釣りが本当の利益となります。

このように、シーズン毎にサンプル代金や工場や材料などの支払いを行う必要があるので、自分自身への給料としての利益が出るようになるには目安として1年後に見積もることが一般的です。

ただ、Tシャツなどを自分でプリントするなど、ある程度の生産工程を自分で行っている場合は、より生産にかかる費用が少なくなるので、工場などに支払う負担や、受注を受けた際に支払いができないトラブルなどは少なくなります。

オーダーが集まりすぎて、生産する資金がない場合も

受注生産のスタイルでは、展示会場でサンプルを見て受注を取りますが、比較的小さいブランドは大手セレクトショップからの受注には注意が必要です。

大手のセレクトショップは全国にたくさんもショップを持っています。
そのため、全国展開をしようとするとたくさんの商品数が必要になります。
それぞれの店舗にサイズ別、カラー別で数点ずつのアイテム展開をしたとしても膨大な商品点数となります。

Tシャツなどであれば各サイズが200〜300枚単位、合計で1000枚を超える規模での受注となることもあります。
それだけ多くの受注がくればとても嬉しいのですが、小さいブランドであれば一気に大きな受注を受けたとしても、工場へ支払いをできるだけの資金力がない場合もあります。

この場合は、工場に頼んで支払いを待ってもらうことや、銀行などから一時的に生産費用を借りるなどの生産資金の調達をしなければならなくなります。

資金を集めることで時間がかかりすぎると生産が遅れてしまうこともあります。
大手のセレクトショップでは一定以上納期が遅れた商品は受け取ってくれなくなるので、生産を始める段階の問題はできるだけ早めに解決するようにしましょう。

そのため、ファッションブランドを運営している間は、普段から急な大量受注にも対応できるだけの資金力を確保できるように、少しずつ規模を大きくしていくように準備をしましょう。

どうしても大量受注に対応できない時の対応

大手セレクトショップからの大量受注に資金面で対応ができない場合は、何かしらの対応が必要となります。
生産可能な数量のみ受注を引き受けるなど、点数を減らすことで対応することもあれば、セレクトショップによっては受注全てがキャンセルとなる場合がります。

そうならない為にも知っておきたい対応方法が、予め生産前に受注金額の半額分を支払ってもらう方法です。

これは、海外などの小さいブランドとエージェント会社が行う取引として一般的な方法です。
受注分の金額の半額を生産前に仮支払いとして受け取る代わりに、取引の掛け率を下げる契約方法です。

そのため、仮に60%の掛け率で取引を行っていれば、半額の仮支払いをもらうことで掛け率を50〜55%に下げる必要があり、ブランドとしての売り上げは下がりますが、生産するための費用を賄うことができます。

このように、資金力がない小さなブランドであれば、大量の受注を受けた時に仮入金してもらえる条件でも交渉をしてみましょう。

少しずつ受注数を増やしていくことが理想

大手セレクトショップからの大量の受注は嬉しいですが、重要なのはその受注が継続的に行われるかどうかです。理想はブランドの規模に合わせて少しずつ受注数が増えていくこと。シーズン毎にデザインの反省と改善を繰り返して徐々にブランドを広められるようにしましょう。
【連載】ファッションブランドの作り方

著者:yu-ki

ファッションライター
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英国にてロンドンコレクションブランドでのデザインアシスタント経験後、東京コレクションブランドのセールススタッフ、海外ブランドのPR会社を経てファッションライターに。
ファッション業界の内部での活動から得た情報やファッション業界だけの常識など、他の業界とは違う特殊な世界をご紹介致します。