グルメ大国イタリアでもうすぐ開幕する『2015年ミラノ国際博覧会』とは?|トピックスファロー

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2015年3月25日
グルメ大国イタリアでもうすぐ開幕する『2015年ミラノ国際博覧会』とは?

今年、2015年5月1日から約半年間開催される『ミラノEXPO』は、国際万博史上初となる「食」がテーマ。日本をはじめ世界140カ国が参加する。有名プレーヤーが対戦するサッカーのエキシビジョン・マッチなど、多彩なイベントも行われる。

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●写真提供/イタリア政府観光局(ENIT)

テーマは「食」。地球規模の問題からグルメまで、幅広く情報発信

今、ファッションの街、イタリア・ミラノが万博ムード一色に染まっている。
2015年5月1日から10月31日まで、184日間の日程で行われる『ミラノEXPO』(ミラノ国際博覧会)のためだ。
想定入場者数は2,000万人。世界中から人々が集い、世界がひとつになる。

「地球に食料を、生命にエネルギーを(Feeding the Planet, Energy for Life)」をテーマに、食料不足や食育、食の安全性、食文化など、幅広い視点で「食」に関する問題提起や未来の方向性を模索する。
これまでの160余年にわたる国際万博史上で「食」をテーマに取り上げるのは、この『ミラノEXPO』が初めてとなる。
さすが、世界屈指のグルメ大国イタリアだといえるだろう。
「食」にまつわるどんな体験ができるのだろう?と興味がそそられる。

万博って、派手なものから地味目なものまでいろいろあるが・・・

各国が自国の文化や技術、理念などをアピールするのが国際博覧会(通称万博)だ。
しかし、「万博といっても大々的に行われているものと、地味に開かれているものと、いろいろあるよね?」と思ったことはないだろうか。
メディアが頻繁に取り上げる万博と、実は開催されていることすら気づかないほど耳慣れない万博もあったりする。

国際万博は大きく分けて2種類あった!?

国際万博は、登録博覧会として5年に1度開催される万博が大規模なもので、そのあい間に認定博覧会という比較的小規模な万博が開催される。

1970年に大阪で開催された『日本万国博覧会』、2005年に愛知県であった『愛・地球博』や2010年の『上海万博』は前者の登録博覧会。
2008年にスペインで行われた『サラゴサ国際博覧会』や2012年韓国で開かれた『麗水国際博覧会』は後者の認定博覧会にあたる。

今年の『ミラノEXPO』は『上海万博』から5年目の登録博覧会にあたり、大規模な万博だ。
イタリアでは1906年にミラノで開催されて以来ほぼ100年ぶりの万博でもある。だからその分、国内外から期待が集まっている。

運河と緑がふんだんに配された『ミラノEXPO』会場

『ミラノEXPO』の会場はイタリア・ミラノ市の北西部に位置し、街の中心部から鉄道で40分ほどと近い距離にある。
会場面積約110万m2。実に東京ドームにしておよそ23個半もの広さだ。

敷地の周囲は緑地と運河が取り囲み、会場全体がまるで一つの大きな島のような構造になっている。
そこに、約11,000人を収容する「オープンエアシアター」、花火やコンサートなどが催される直径90mの「人工湖」、スローフードに関する展示がなされる「地中海の丘」など、伝統文化と未来を融合させたイタリアらしいデザイニングがなされる。

各国パビリオンのモダン建造物で近未来型の異文化体験

会場のメインストリートは幅35m、全長1.5kmで、古代ローマ時代「東西の大通り」を意味した「デクマヌス」と名付けられている。
そのメインストリートの左右20mごとにイタリアをはじめとする各国のパビリオンが配置される。それぞれが凝ったデザインの建築も見ものの一つだ。

エコロジーなリサイクル素材を使って「巣」をイメージしたユニークな外観のイタリア館。無数の灯りのオーブをハチの巣状に造形したイギリス館は激減しているミツバチが農業に果たす役割を訴えている。
UAE(アラブ首長国連合)館には、まるで砂丘を思わせるような波打つ二つの壁が140mにわたって続き、砂漠の迷宮都市の路地を歩いているような錯覚を体感させてくれる。UAEは次回2020年の登録博覧会開催国でもある。

最先端技術を使って伝統の味や流行文化を発信する日本館

我が国日本が出展する日本館は、面積は参加国内最大規模の4,170m2。2階建てで外壁は世界初の3D木格子でおおわれる。
これは、奈良の法隆寺にも使われている日本古来の伝統建築技法に、最新技術を組み合わせた「立体木格子」。エコロジーかつ居住性が高く、夜のライトアップは印象的に演出してくれる。
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●写真提供/日本貿易振興機構(ジェトロ)

日本館の出展テーマは「Harmonious Diversity -共存する多様性-」。
日本食や日本の食文化に詰め込まれたさまざまな知恵や技や味覚を、香り、彩り、空間など五感で訴えかける。

1階の展示ゾーンでは最新のデジタル技術やプロジェクションマッピングなどを使いインタラクティブに情報を発信する。また、アニメなど海外で人気のクールジャパン、ジャパンカルチャーも紹介する。2階は日本食レストランやフードコート、イベント広場になっている。
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●写真提供/日本貿易振興機構(ジェトロ)

ちなみに日本館の特別大使は海外でも絶大な人気を誇るハローキティだ。
日本人デザイナー荻野いづみ氏が手がけるミラノ発ブランド『アンテプリマ』の衣装を着たキティちゃんが早くも話題を呼んでいる。

世界のグルメが一堂に!各国の旬の料理が楽しめる

なんといっても「食」がテーマの万博だけに、イタリアはもちろん、参加各国の名物料理や特産品など、バラエティ豊かなグルメを味わえるのが最大の魅力だ。
多くのパビリオンでは、観光では訪れることの少ない小さな自治体もブースを出すので、一般には知られていないレアな味覚とも出会えることだろう。
一方、当地では旬の人気料理人がプロデュースするレストランや国民食ともいえるローカルフードの屋台などを出展する国も多い。その国のフード事情をリアルタイムで体験できるはずだ。
healthy and tasty Italian food collage
また、ワイン好きならイタリア館で設けられるワインパビリオンも見逃せない。そこにはイタリア全土のワインが一堂に集められ、本場ソムリエのサーブで試飲もできる。

サッカーやエンタティンメントなどイベントも盛りだくさん

お楽しみは料理だけではない。開催期間中は6000にも及ぶイベントが催される。
日本でも人気の高い「シルク・ドゥ・ソレイユ」が夜間のイベント「エキスポ・バイ・ナイト」で5月6日〜8月23日まで公演する。ミラノ万博のための特別バージョンでの上演となる。

また、お膝元であるミラノのサッカーチーム「インテル」を中心に世界のプレーヤーが参加するエキシビジョン・マッチも行われる予定。キックオフは現地時間、5月4日午後9時〜。

そのほか期間中は各参加国にスポットを当てた「ナショナル・デー」が設けられ、記念式典や文化パフォーマンスなどが披露される。

イタリア流人生観から学ぶ大人の「食育」

『ミラノEXPO』の根底に流れているのは「食」を取り巻くさまざまな問題だ。貧しい国では飢餓や栄養不足が蔓延する一方、豊かな国では食料廃棄やそれにともなう環境問題、飲食過多による健康へのダメージ、持続可能な農業のあり方などなど多岐にわたる。
「食」はあらゆる分野と密接に関係していることを痛感させる。
もちろん、そうした問題に目をつぶるわけにはいかないが、地球の「食文化」という多様性を認める一方で、日々の食生活をいかに大切にするかを意識するだけでも大きな一歩になる。

むずかしいことはさておき、まずはイタリア人がよく口にする「マンジャーレ、カンターレ、アモーレ(食べて、歌って、愛する)」という人生の極意を、現地で感じ取ってみたい。それが多忙な日常を送る大人の「食育」につながるのではないだろうか。
Restaurant terrace elegant couple celebrate sunny day
『ミラノEXPO』公式サイト
http://www.expo2015.org/en/learn-more/the-theme
イタリア政府観光局
http://visitaly.jp/expo-milano-2015/
日本館公式サイト
http://www.expo2015.jp

著者:本田らじゃこ

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旅とカフェをこよなく愛するライターです。ジャンルにこだわらず、役に立つこと、知って得すること、「へぇ〜」とうなずいてもらえるような情報を発信していきたいと思っています。