【自家歯牙移植】失った歯を取り戻す親知らずの可能性|トピックスファロー

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2012年12月24日
【自家歯牙移植】失った歯を取り戻す親知らずの可能性

歯牙移植とは、自分の親知らずを使用して抜け落ちた歯を補填する治療法です。保険が使える上に成功率も高くインプラントが普及する以前からある治療法ですが、その知名度は高くありまえん。そこであまり注目されていない歯牙移植について調べてみました。

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歯牙移植とは

自分の親知らずなど、抜いても問題が無い歯を必要な場所に移植する治療法です。
知名度は低いですが、インプラントよりも古くからある治療法で、成功率は8割から9割。
一部は、保険の対象になっており、保険適応で3,000円から4,000円程度。
また保険適応外でも、2万円から10万円で治療する事ができます。
ただし、抜いた歯(移植歯)は、薬事法で「生物製剤」というものに分類され、抜いた本人にしか使えません。その為、『自家歯牙移植』とも呼ばれています。

歯牙移植のメリット

  • 牙移植は、自分の歯を使用するので拒絶反応や感染症を防ぐ事ができます。
  • ブリッジの様に、移植先の左右の歯を削る必要がありません。
  • 保険が適用されればインプラントに比べて、安く治療費を抑える事ができます。
  • 入れ歯と違い、顎に収まりますので固いものでも、しっかりと噛むことができます。
  • 歯根膜も移植できるので、入れ歯では難しい「噛み心地」を感じることが出来ます。
  • インプラントができない子供でも行うことができます。
  • 歯の状況によっては20年以上も使い続ける事が可能。

歯牙移植を行うための条件

インプラントよりも簡単で費用の掛からない歯牙移植ですが、実際に受けた人が少ない理由には、治療を受ける為の条件が厳しいという事があげられます。

  • 親知らずなど、移植に適した健康な歯(移植歯)がある事。
  • 移植歯の形が複雑ではない事。(歯根が複雑だと抜歯ができなかったり、移植先に合わない)
  • 虫歯や歯周病が無い、もしくは軽度な事。
  • 移植する先に、移植歯を受け入れるだけのスペースや土台がある事。
  • 年齢が若いほど成功率は高い。

まず、薬事法により移植には自分の歯しか使えない為、親知らずや矯正などで出た『抜いても問題ない歯』が、なければそもそも移植を行えません。
また、移植歯と移植先の状況が違い過ぎる場合や、歯が抜けてから時間がたち、穴がふさがっている場合も移植は困難です。
さらに、若い人ほど生着する確率が高く、40歳を過ぎる辺りから成功率が下がり始めます。
歯の状態に合わせて調節できるインプラントの方が、治療の自由度は高いと言えるでしょう。

保険が適用される条件

インプラントと異なる点に、『歯牙移植は保険がきく』ということがあります。
しかし、全ての場合において保険の適応になる訳ではありません。
また、移植後に歯の形を整える為に被せ物を行う場合もありますが、この治療には別途費用が掛かります。

保険が適応されるのは以下の場合のみです。

  • 移植歯に『親知らず』を使った時。
  • 抜歯したその日に移植を行った時。

例えば、使用できる親知らずが無く、矯正によって不要になった歯を使用した場合には保険は適用されません。
また、何らかの理由により、抜歯から移植まで時間を置く事になった場合も保険を使う事は出来ません。

歯牙移植にかかる費用

歯牙移植に掛かる費用は、『歯牙移植代』と『被せ物の治療費』が必要になります。
全てを保険(親知らずを移植+銀歯)で仕上げた場合は、1万円前後。
保険適用外で行った場合でも、4万円から25万円程度。
インプラントは安くても平均で30万円以上とされている為、歯牙移植の方が安く治療を行うことが出来るでしょう。

歯牙移植のこれからの可能性

不要な歯を再利用できる歯牙移植はメリットも多いのですが、条件が厳しいのが特徴です。
必要な時に、たまたま健康な親知らずが残っている事はそうそうなく、これが歯牙移植があまり認知されていない原因でしょう。
健康な歯を冷凍保存する『ティースバンク』はすでに実用化されています。
しかし20年間の保管で1本ごとに12万3千円という費用が掛かりますので、誰でも気軽に利用できるわけではありません。

ただ、歯の移植が必要になった場合、歯牙移植を行える可能性があるのなら、インプラントの他にも『歯牙移植』という選択肢を選ぶ事も可能です。

著者:伊藤義雄

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書きたいものがありすぎて書かせてもらっているライターです。趣味は鉄道旅行、写真を撮ることもあるが実際に乗車して車両の個性を体験したいタイプ。尊敬する人は宮脇俊三さん。目標は全国鉄道制覇