【5分で理解】買主を詐欺から守る『瑕疵担保責任』の基礎の基礎|トピックスファロー

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2013年2月4日
【5分で理解】買主を詐欺から守る『瑕疵担保責任』の基礎の基礎

買主が購入後の不動産の修繕費を売主に求める事ができる「瑕疵担保責任」。どれだけ安い物件を購入したとしても、この制度を知らなければ、リフォーム代で数百万円の出費が掛かる事も。そこで不動産購入の前に知りたい瑕疵担保責任について調べました。

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瑕疵担保責任とは

売買が終了し、不動産が売主から買主へ引き渡された後でも、瑕疵(欠陥)が見つかった場合、売主は買主に対して責任を持たなければならないという制度です。
瑕疵担保責任では、「瑕疵があるかどうか」が重要で、例え売主が欠陥を知らなかったとしても、責任を追及する事が可能です。
ちなみに、この『責任』とは、損害賠償や修理費を受け持つ事であり、もしくは契約を破棄する事を表します。

瑕疵とは欠陥の事

不動産における瑕疵とは、『構造部分など、外からでは分からない欠陥』の事を言います。
具体例を上げるとすると、「雨漏り」「シロアリ被害」と言った建物の欠陥。
「土壌汚染」「地面に埋まった障害物」などの土地に関する問題。
「事故物件」などの心理的欠陥も、瑕疵として認められる事があります。

全ての場合で責任を問えるとは限らない

このように、買主が詐欺のような物件を買わされない為の瑕疵担保責任ですが、全ての瑕疵を売主に請求できるわけではありません。

買主が瑕疵の存在を知っていた

瑕疵担保責任を『隠れた瑕疵』について責任を問うものです。
契約前に説明があった場合や、一目で瑕疵と分かるような場合では、「瑕疵を納得したうえで契約した」とみなされ責任の追及はできないでしょう。

発見から1年以上時間が経っている

民法では、損害賠償などを請求できるのは、買主が瑕疵を発見してから1年以内と定められています。
つまり、不具合を見つけた後、1年以上経過してからでは請求できません。

保障期限が切れている

瑕疵担保責任は、引き渡しから10年間と民法では規定されています。
しかし、往々にして保障期限が別に定められている事の方が多くあります。

  • 中古物件の場合では、契約内容によりますが、2ヶ月から半年程度。
  • 新築では、「基本構造部分」に関しては10年保証が義務化。
  • 不動産が仲介に入っている場合は、宅建業法により2年とするのが通例です。

老朽化・経年劣化によるもの

建物は老朽化するのが当然です。
築年数の経過した物件に対しては、不具合があるのが当然とされますので、新築同様の環境を求める事は難しいでしょう。
また、この場合、どこまでが老朽化という明確な規定はありません。
責任を追及できるかどうかは、買主と売主が交渉するほかありません。

売主が瑕疵と感じていなかった場合

エアコンやボイラーなどの調子が悪くても、売主が「問題はない」と使用し続けていた場合は責任の追及は困難でしょう。
何を持って瑕疵とするかには個人差があります。
少なくとも売主が問題ないと感じ、使用していた場合には瑕疵と認められないケースがあります。

「瑕疵担保責任は免責する」という契約を結んでいる

契約書において、「瑕疵担保責任は負わない」あるいは「免責する」という一文があった場合は、契約後にどのような瑕疵が見つかっても、原則として瑕疵担保責任を追及する事は出来ないでしょう。
他には「瑕疵担保責任免責」「現状有姿」「現況渡し」と言った表現をする事もありますが、内容は同じです。

免責でも責任追及ができる事もある

しかし、売主は買主に対して、物件の説明をする義務があります。
その為、『売値を上げる為に、瑕疵の存在を意図的に隠していた』場合は、免責が認められていたとしても、責任を追及する事は可能です。

しかし、現実問題として、売主が瑕疵の存在を知っていたのかを客観的に証明する事は難しく、買主が全額負担となるケースがほとんどです。

瑕疵担保責任を信用し過ぎてはいけない

瑕疵担保責任を問えば、物件を修復や契約を破棄する事は可能です。
しかし、瑕疵担保責任があったとしても、それだけで安心するわけには行きません。

「どういった場合は修復するか」「どこまでが修復の範囲なのか」など、具体的なトラブルを想定し話し合う事が重要になります。
それらを怠ると、不動産や売主と直接交渉をし、決着がつかなければ裁判で勝利するしかありません。

修復は全て自分で行うくらいの心構えが必要

免責がある場合、瑕疵の存在を認めさせるのは困難です。また、瑕疵を認めたとしても、売主に支払い能力が無ければ、返済は不可能でしょう。

不動産の購入には、必ず内覧を行い疑問点や不審な点に関しては、納得いくまで質問する必要があります。
あるいは、建物診断を専門家に依頼するのも良いでしょう。
費用は掛かりますが、購入後に数百万円のリフォームが必要になると考えれば安い物です。

契約には、最悪の場合、全ての修復を自分で行うくらいの心構えと危機感を持って、準備をすることが必要となるでしょう。

著者:渡辺芳樹

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学生時代からライターとして活動。小さな会社に就職したおかげで、ライター以外に、編集からWEBサイト製作など、幅広く経験。現在はフリーランスとなり、いくつかの会社と契約を結んで執筆活動してます。