【第81回】1945年5月7日、第二次世界大戦の西部戦線が終結した場所-その2|トピックスファロー

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2019年6月11日
【第81回】1945年5月7日、第二次世界大戦の西部戦線が終結した場所-その2

パリから北東140kmにあるランスで、ドイツ軍は西部戦線の連合軍に降伏しました。ランスには降伏調印された建物が博物館として残っています。「その2」では、博物館の中を紹介します。

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降伏博物館の中の様子

博物館の1階では、一定の時間になると20分ほどのドキュメンタリー映画を見ることができます。

フランス語で流れますが、英語の字幕もあります。

2階は展示室。第二次世界大戦中のフランスを中心にダンケルク撤退、レジスタンス活動、ディエップの戦い、ノルマンディー上陸、バルジの戦いなどが当時の写真や新聞記事や当時の兵士の軍服、軍事品などが展示されています。

ナチスドイツの旗を引きずり下ろしたと思われるアメリカ軍の兵士ナチスドイツの旗を引きずり下ろしたと思われるアメリカ軍の兵士

ドイツ軍の将校ドイツ軍の将校

特に、アメリカ軍の連合国軍の最高司令官、ドワイト・デビット・アイゼンハワー元帥(後のアメリカ大統領)に関する展示が多いです。

アイクの愛称で呼ばれたアイゼンハワーアイクの愛称で呼ばれたアイゼンハワー

彼は降伏調印に立ち会った人物で、ドイツ国防軍からは、降伏文書調印の権限を与えられた、ドイツ国防軍最高司令部のアルフレート・ヨードル大将が立ち会いました。

ヨーロッパ戦線が終結したことを発表するアイゼンハワーヨーロッパ戦線が終結したことを発表するアイゼンハワー

2階の展示室上がる階段にあるアメリカ国旗2階の展示室上がる階段にあるアメリカ国旗

2階の展示室の見所は、実際に降伏調印が行われた「地図の部屋」と呼ばれる部屋です。

地図の部屋には、当時の降伏調印が行われたテーブルと椅子が再現されています。また、当時、連合軍の司令官たちが作戦会議に使った地図が部屋中に掲げられていました。現在の部屋の地図は、第二次世界大戦の戦いの跡地や進撃ルートを示す地図となっています。

フランスの路線図を表す地図フランスの路線図を表す地図

地図に囲まれたテーブルの手前側の椅子に、ヨードルをはじめドイツ軍の代表団3人が座ります。奥側に連合国の代表団の8人が座り、左から2番目と3番目の間付近に立っていたのがアイゼンハワーでした。ヨードルは手前の真ん中の椅子に座ります。

再現されたテーブルと椅子再現されたテーブルと椅子

当時の様子当時の様子

1945年5月7日、午前1時41分、アイゼンハワーとヨードルが無条件降伏文書に調印して、西部戦線の戦いは終結したのでした。

「地図の部屋」には、勝者である連合国のイギリス、アメリカ、ソ連、フランスの国旗が掲げられています。この4ヶ国が戦後のドイツを統治分割して、戦後、ヨーロッパの秩序を築いていきます。

連合国各国の旗連合国各国の旗

ドイツが降伏したことを伝える新聞ドイツが降伏したことを伝える新聞。右下に次は日本だ!という見出しもある

イントロダクション

降伏博物館
正式名称 :MUSEE DE LA REDDITION
住所   :12rue Franklin Roosevelt – 51100 Reims
入場料  :6.5ユーロ(クレジットカード支払い可能)
開館日時※:10:00~18:00(休館は火曜日、1/1、5/1、11/1、12/25)
公式サイト:http://musees-reims.fr/fr/musees/musee-de-la-reddition/

※開館日時の詳しい内容は、公式サイトで確認してください。

ランスとベルリン。ドイツ軍が降伏調印をした2つの場所

ランスで無条件降伏文書に調印した翌日の5月8日、ドイツ軍はベルリンで東部戦線のソ連軍に降伏する調印を結びます。

ソ連軍への降伏調印場所については、「【第12回】1945年5月8日、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線が終結した場所」編をご参照ください。

戦勝国となった国と敗戦国となった国にある、2つの降伏調印の場所。

一番の大きな違いにランスは博物館入場料を取り、ベルリンの博物館は無料で開放していることです。
さすがにドイツは敗戦国という後ろめたさもあり、入場料を取るわけにはいかないのでしょう。

ベルリンの博物館はランスの博物館より、ソ連色が強く出ている展示になっています。そこに東部戦線では長い間、単独でドイツ軍と戦ってきたソ連軍のプライドが感じられます。

ドイツ国内とはいえ、敗戦国という現実、戦後はソ連の息のかかった旧東ドイツだった歴史経緯もあり、ドイツの意思を挟むことは難しいのです。今でもドイツは敗戦国だと感じてしまうのがベルリンの博物館です。

ランスの博物館では、ポスターやマグカップなどがお土産で売られ、エンターテイメント性もあるつくりになっているところに戦勝国の余裕を感じます。

お土産のパンフレットやマグカップお土産のパンフレットやマグカップ

売られているポスター売られているポスター

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【第81回】1945年5月7日、第二次世界大戦の西部戦線が終結した場所-その2

同シリーズが「ヒトラー 野望の地図帳」として書籍化

同シリーズが書籍化され、各書店の歴史の棚の世界史やドイツ史のコーナーに置かれています。web記事とは違う語り口で執筆していて、読者の方々からは、時代背景が簡潔でわかりやすい、学者とは違うテイストが新鮮、という感想をいただいております。

歴史好きはもちろん、ちょっとマニアックなヨーロッパ旅行をしたい方々の旅のお供になる本です。

ヒトラー 野望の地図帳

ヒトラー 野望の地図帳
著者名:サカイ ヒロマル
出版社:電波社     
価格 :1,400円(税抜) 

【連載】ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡(第1回~第100回)

著者:ヒロマル

戦争遺跡ライター
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1979年神奈川県生まれ、神奈川県逗葉高校、代々木ゼミナールで1浪、立教大学経済学部卒業。

大学在学中からヨーロッパ、アジアなどを海外放浪してハマってしまい、そのまま新卒で就職せずフリーターをしながら続ける。その後、会社員生活をしながらも休み、転職の合間を利用して海外放浪を続ける。50ヶ国以上訪問。会社の休暇を利用して年に数回、渡欧して取材。

2012年からライター業を会社員との二足のわらじで開始。
2014年からwebメディア(株)フォークラスのTOPICS FAROで2つのシリーズを連載中。

▼もんちゃんねる(You Tube)
https://www.youtube.com/channel/UCN_pzlyTlo4wF7x-NuoHYRA

▼「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡」シリーズ
https://topicsfaro.com/series/warruins
ヨーロッパ各地を取材し、第二次世界大戦に関する場所を紹介。
軍事用語などは極力省き、中学レベルの社会の知識があれば楽しめる記事にしています。
同シリーズが2017年に書籍化。
「ヒトラー 野望の地図帳」(電波社)から全国書店の世界史コーナーで発売中。

▼「受験に勝つ!世界史の勉強法」シリーズ
https://topicsfaro.com/series/wh
2018年から主に世界史を中心とした文系の勉強方法について執筆。
大学受験だけでなく、大学生や社会人の大人の教養としての世界史の勉強方法にも触れて、
高校生、大学生、社会人とあらゆる世代を対象としています。

世間の文系離れを阻止して、文系の学問の復権に貢献することが、2つの連載の目的です。

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