戦争遺跡ライターは、身に危険がある仕事なのか?|トピックスファロー

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2017年1月17日
戦争遺跡ライターは、身に危険がある仕事なのか?

中東の紛争地域を取材をしている戦場ジャーナリストが、武装勢力に拘束される事件がよくニュースになります。戦争遺跡ライターに危険はあるのか?旅行者の戦跡巡りの際の安全性にも参考になるように検証してみたいと思います。

戦争遺跡ライター
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紛争に巻き込まれないから戦争遺跡ライターの道を選んだ

現代の紛争地域は、世界大戦時のようにヨーロッパではなく中東です。イラク戦争直後に中東を旅した時は、戦場ジャーナリスト、戦場カメラマンと名乗る人たちが、各都市の日本人のバックパッカーの集まる安宿に宿泊していました。

そこでイラクやイスラエルの情報を手に入れて現地に乗り込みます。現地の武装勢力に拘束されて拉致事件になり、日本で報道されるのもそういう人達だったりするのです。

当時の私も戦場や紛争地域に行ってみたい気持ちもありましたが、危険を犯してまで行くことには消極的でした。

しかし、現在、紛争中の戦場を取材するジャーナリストはいても、戦争が既に過去のものになった戦場を取材している人はあまりいません。それなら戦争が終わった場所なら危険もないし、ジャーナリストになった気分で気軽にやってみようと思ったのが、戦争遺跡ライターをやるきっかけだったのです。

それに中東地域の紛争史よりもやはり、海外に興味を持つ原点だった第2次世界大戦のヨーロッパ戦線の方がはるかに興味を持てる。興味を持てるほうが長く続くだろう!そんなノリでした。

【1】
ノルマンディーにあるレプリカの対空砲、本物ではないのでやられる可能性0

戦跡や博物館は観光地化が進むヨーロッパ

ヨーロッパの戦跡というと、アウシュビッツ強制収容所、アンネ・フランクの家をイメージしてしまいます。そのため、ユダヤ人の迫害、虐殺という負の歴史なので重たいイメージを持たれるかも知れませんが、実際のヨーロッパの戦跡や博物館は親子連れで楽しめる場所になっていることが多いのです。

戦勝国、敗戦国関らず、戦争系博物館は整備されているので、カフェ、レストラン、お土産ショップが充実しています。見学者も若い親子連れなども多く、一種のレジャー施設と言っても大げさではないかもしれません。

戦跡は、ガイドブックに載っていないようなマイナーな街や街の外れにあることが多く、アクセスが悪いことも多いです。しかし、紛争中の戦場に行くよりははるかに安全です。 【2】
子供連れで賑わうロンドン郊外の空軍博物館のカフェテリア

ヒトラーはヨーロッパでタブーなのか?

ヨーロッパでは、治安の問題が心配というよりは、ヒトラーやナチスについて触れることは嫌がれるのではないか?という方が気になる方が多いと思います。

以前、イギリスの旅行会社がヒトラーの痕跡を巡るドイツの旅のツアーを企画したら、ドイツ政府から、ナチス賛美に繋がるとクレームが入ったということがありました。

しかし、ドイツ国内には、ナチスやホロコーストに関連する記念館などがたくさんあります。ヒトラーやナチスの鉤十字の写真などは普通に展示されています。

また、街中ではナチスに関連した施設跡には説明文の碑があったり、書店にはヒトラー、ナチス関連の本もたくさん並んでいます。「ナチス」「ヒトラー」という言葉を発することが絶対的な悪というわけではありません。

「ハイルヒトラー!」などのナチス式敬礼をしたり、ナチスのSSや軍隊を連想させるような格好をしなければ、特に問題はないと思います。

【3】
フランスの上陸博物館で展示されていたヒトラーの写真と鉤十字

ヒトラーの生家がある街では嫌な顔はされない?

ヒトラーの足跡を巡ってみるオーストリアの旅、少年時代編」でも紹介した、オーストリアのブラウナウにあるヒトラーの生家の取り壊すか否かの議論がありました。※

その理由は、ネオナチの聖地となりつつあるために、ヒトラーの痕跡を取り除こうということのようです。テレビのニュースでもインタビューを受けたブラウナウ市民がその件に触れたくないと、受け答えせずに去る場面もありました。さらに、ヒトラーよりブラウナウの歴史ある街並みを見に来てほしいと、言っていました。

実際に、私がブラウナウに行った時は、通りすがりの親子にヒトラーの生家までの道を尋ねましたが、嫌な顔せずに教えてくれました。ツーリストインフォメーションでも観光マップには観光拠点の1つにヒトラーの生家も記載され、職員の方も快くヒトラーの生家の場所を教えてくれます。

戦跡に関らず、どんな物事でも現場とメディアを通じて流れてくる情報には、少なからず温度差というものがあるということです。

※2016年12月、改修して存続が決定。

【4】
ヒトラーの生家の前のバス停
【5】
ヒトラーの生家の前のスーパー

地元の生活に溶け込んでいるヒトラーの生家

ヒトラーの両親の墓の近くでは嫌な顔をされた?

ヒトラーの足跡を巡ってみるオーストリアの旅、青年時代編」では、リンツ郊外のレオディング村というところに、ヒトラーの両親が眠っている墓がある教会に行きました。

その教会の近くにヒトラーが一時期住んでいた家があるそうです。

web上にある家の写真を手がかりに探してみました。教会の近くを歩いていたご老人に尋ねようと思って、写真を見せた瞬間、そんなの知らない?と拒否されて、離れて行ってしまいました。

その老人の態度はヒトラーの家が原因かどうかはわからないですが・・・。

そして、とりあえずヒトラーの家の可能性がある教会周辺の民家をランダムに写真を撮っていたら、近所の方に「なんで撮っているの?」と怪訝な顔されました。

変な東洋人らしき人間が怪しい行動していると通報されるのも嫌だったので、すぐにバス停へ向いました。ヒトラーの家は探せないまま、逃げるようにレオディングの村を離れてリンツへ引き返したのです。

思い過ごしかもしれませんが、観光地ではないところを散策しているので、地元の方々に多少怪しまれる可能性はあるかもしれません。

【6】
レオディング村の中心部にあるバス停、あまり写真が撮れなかった・・・

戦跡巡りで注意することは、普通の海外旅行と同じ

基本的には、現地で最低限の常識を守っていれば特に問題はないです。

現代のヨーロッパは戦場ではありませんが、中東問題絡みで難民が流入したり、テロが起こることも多くなりました。危険はどこでもつきものです。

しかし、海外だから危ないというのもおかしな発想です。日本国内だって、テロの危険性もありますし、空き巣や強盗などもたくさんいます。私の住んでいる場所は首都圏の閑静な住宅街ですが、近所では空き巣の被害が多く注意の回覧板がまわってきます。殺人事件もありました、発生から10年以上経ちますがまだ解決されていません。

それに日本は地震、台風といった自然災害が多発する国です。3.11の東日本大震災の時、ヨーロッパを旅行中だったおかげで、地震の被害を受けなかった知人もいました。 生きている以上はどこにいようが多少なりとも危険はあるので、海外は危険だから行かないという思い込みはただの固定観念だったりします。

【7】
ナチスのオカルト儀式が行われていたお城の街のお祭り
【連載ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡

著者:ヒロマル

戦争遺跡ライター
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1979年神奈川県生まれ、神奈川県逗葉高校、代々木ゼミナールで1浪、立教大学経済学部卒業。

大学在学中からヨーロッパ、アジアなどを海外放浪してハマってしまい、そのまま新卒で就職せずフリーターをしながら続ける。その後、会社員生活をしながらも休み、転職の合間を利用して海外放浪を続ける。50ヶ国以上訪問。会社の休暇を利用して年に数回、渡欧して取材。

2012年からライター業を会社員との二足のわらじで開始。
2014年からwebメディア(株)フォークラスのTOPICS FAROで2つのシリーズを連載中。

▼「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡」シリーズ
https://topicsfaro.com/series/warruins
ヨーロッパ各地を取材し、第二次世界大戦に関する場所を紹介。
軍事用語などは極力省き、中学レベルの社会の知識があれば楽しめる記事にしています。
同シリーズが2017年に書籍化。
「ヒトラー 野望の地図帳」(電波社)から全国書店の世界史コーナーで発売中。

▼「受験に勝つ!世界史の勉強法」シリーズ
https://topicsfaro.com/series/wh
2018年から主に世界史を中心とした文系の勉強方法について執筆。
大学受験だけでなく、大学生や社会人の大人の教養としての世界史の勉強方法にも触れて、
高校生、大学生、社会人とあらゆる世代を対象としています。

世間の文系離れを阻止して、文系の学問の復権に貢献することが、2つの連載の目的です。

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