【医学の常識】知らないと危険な歯周病菌が招く3つのリスク|トピックスファロー

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2012年10月5日
【医学の常識】知らないと危険な歯周病菌が招く3つのリスク

歯周病菌がもたらす健康のリスクは歯周病にとどまりません。血管を通って全身を巡る歯周病菌は時に重大な病気を引き起こすきっかけになる事もあります。いかにして歯周病菌が健康を蝕むのか、その過程を調べてみました。

都内在住のフリーライター。犬猫と仲良く暮らしてます。
  

なぜ全身に広がっていくのか

歯周病が全身に拡散していくパターンは2つあります。

1つ目は「口腔内感染」といって口から直接体内に人がっていくパターン。
2つ目は「血液感染」で、傷ついた歯茎の血管に潜り込み血液と一緒に全身に運ばれるパターンです。

また病気の原因となるのも歯周病菌そのものが悪さをする場合と、歯周病菌が原因となって作り出した炎症を起こす物質などが悪影響を与える場合があり、その感染経路と原因によって引き起こされる症状も変わってきます。
その多くが命を脅かす危険を秘めています。
しかし歯周病が直接の原因となっている訳ではなく、リスクを高めている事をご理解ください。

糖尿病の重症化

免疫力の低下から様々な合併症を起こし、脂肪するケースもある糖尿病の症状を悪化させます。

糖尿病とは血液内のブドウ糖濃度(血糖値)を下げる事が出来ない状態の事を指します。本来、食事によって上がった血糖値はインスリンの働きによって正常値へ戻されます。しかし糖尿病の患者はインスリンが無い、もしくはインスリンの活動が非常に悪く血糖値の調整を行えません。
高血糖の状態が続くと意識障害(糖尿病性ケトアシドーシス)を起こし、昏睡へ至るケースも報告されています。
その為、重度の糖尿病患者は注射などで外部からインスリンを取り入れ、血糖値をコントロールする必要があります。

歯周病になると歯茎が炎症を起こし、そこでサイトカインというタンパク質が生成されます。
このサイトカインが血液中に入るとインスリンの動きを阻害します。
そうなると外部からインスリンを取り入れても、血糖値のコンロトロールが上手くいかず症状が悪化する原因となってしまいます。
逆に歯周病を治療したことで糖尿病の症状が改善したという報告もあり、この2つが関係している事は疑いようがありません。

心臓病になる確率が70%も上昇する

血液が集まる心臓は、最も歯周病の影響を受けやすい臓器です。
その中でも注意しなければいけないのは「心内膜炎」と「心筋梗塞」の2つです。

心内膜炎

心臓を内側にある「心内膜」が炎症を起こし、心機能が低下する病気。
正常に機能しなくなりますので動機などが起こり、心臓を区切っている弁膜が破れるような事になれば心不全となり、人工弁を心臓に取り付ける手術が必要になります。
特に歯周病など細菌が原因とされる場合は「感染性心内膜炎」、あるいは「細菌性心内膜炎」と呼ばれます。

心筋梗塞

心臓へ送られる血液量が減り、心臓が虚血(心臓を動かす栄養が足りない)状態になる虚血性心疾患の事。血液を送られない心臓は急速に弱まり壊死を起こす。
冠動脈へ血流が送られなくなる原因は、動脈硬化による所が大きく、血管中に入り込んだ歯周病菌はこの動脈硬化を促進します。

動脈硬化。すなわち血管が詰まり血液の流れが止まってしまうのは、血管の内部に傷がつきかさぶた状の物(血栓)ができる事や、脂肪が血管の内部に付着する事が原因とされています。

血管に悪影響を与える歯周病菌は少なくとも3種類あるとされ、それぞれが脂肪を付着しやすい状態に変えたり、炎症を起こして血管内部に傷をつける事が確認されています。

アメリカで1996年に、18年の追跡調査を経て発表された論文によると、歯周病菌が多数生息する歯周ポケットの大きさが3ミリを超えていた場合、健康な歯を持つ人と比べ、血管の病気にかかるリスクは3.6倍。さらに死亡するほどの重病となるケースは1.9倍になるという結果が出されています。

肺炎を発症するリスクの増大

肺炎は、肺が炎症を起こしている状態の事。主な原因は細菌やウイルス。
特にインフルエンザにより肺炎を発症させ、そのまま死に至るケースは毎年のようにニュースになっています。
日本人の死因の第4位となっており、特に65歳以上の死亡原因の96%がこの肺炎によるものです。

歯周病が原因のなる肺炎は特に老人に多く発症し、就寝中に歯周病菌の混じった唾が誤って肺に流れていく事があります。
通常、気管に唾が入った場合は、むせる等の反射により体外へ排出し、多少入り込んだとしても免疫力によって無効化されます。

しかし気管の機能が弱まっている老人はうまく排出することが出来ず、歯周病菌が炎症を起こしてしまいます。
このような場合は肺炎の中でも「誤嚥性肺炎」として区別されます。
口内の細菌を全て除去する事は不可能ですが、歯周病の治療や日常的なブラッシングにより、口の中を清潔に保つことにより、例え誤嚥したとしても肺炎が発症する確率を押さえる事が可能です。

口の健康は全身の健康につながる

歯周病菌による健康被害を中心にまとめてみましたが、他にも妊娠中の胎児への影響や、神経痛などの原因ともなりますし、歯が抜け落ちた事による噛み合わせに起因するトラブルには別の病気が付きまといます。

1本欠けただけで全身に影響を及ぼすほど、歯は健康と密接な関係にあります。
健康な生活を考えるのなら、口内の健康にも気を付けてください。

著者:坂下モド

都内在住のフリーライター。犬猫と仲良く暮らしてます。
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ペットを飼っている関係上、ペット関連の記事を多く執筆。現在ではジャンルを問わず、政治・経済なども