そもそも前立腺とは?
前立腺とは、膀胱のすぐ手前、『会陰』(陰嚢と肛門の間)にある、クルミ大の男性特有の生殖器。
主な働きは、精液の精製、射精や排尿時の手助けと言われています。
前立腺の中を尿道が通っており、前立腺に異常があると排尿痛や残尿感といった症状がみられる。
前立腺炎の症状
前立腺肥大症は中高年に多い病気ですが、前立腺炎は10代からでも発症する可能性があります。
症状としては、会陰部・下腹部・股間部・睾丸・尿道などに感じる痛みや不快感。排尿痛、射精痛、頻尿、残尿感などがあり、40℃を超えて発熱する場合もあります。
これら前立腺炎の症状は多くの男性が1度は経験すると言われ、全男性の25%~50%は経験したことがあるといわれているほど、男性にとっては身近な病気と言えるでしょう。
前立腺炎の検査方法
まずは直腸診と呼ばれる前立腺の触診。炎症を起こしていると圧痛を感じます。
他には尿検査を行い、白血球や細菌の有無を調べる事で原因を特定します。
これで原因が特定できない場合は、性感染症を検査します。
前立腺炎の種類と原因
一般的に『前立腺炎』と呼ばれる物は、その症状と原因により4つの種類に分類されます。
カテゴリー1:急性細菌性前立腺炎
細菌が原因となり前立腺となった場合、急性細菌性前立腺炎と診断されます。
原因となる細菌は主に『大腸菌』や『ブドウ球菌』。
尿道から逆行したものが、主な感染経路と考えられ、細菌が血管内に入り込むことで発熱するのが特徴でしょう。
カテゴリー2:慢性細菌性前立腺炎
カテゴリー1の急性細菌性前立腺炎の症状が残り、再発を繰り返すケース。
発熱の症状は見られなくなるが、代わりに会陰部など下腹部に違和感を覚えるようになります。
カテゴリー3:慢性非細菌性前立腺炎
前立腺炎の症状はあるが、原因となる細菌が見つからず、白血球のみが発見されるケース。
確かな原因は分かっていませんが、『クラミジア』『マイコプラズマ』などの性病から発症することもあります。
カテゴリー4:前立腺痛(前立腺炎様症候群、慢性骨盤痛症候群)
症状はあるが、細菌も白血球も見つからない場合、カテゴリー4に分類されます。
座りっぱなしで前立腺がうっ血している。生活習慣やストレスが原因とも言われますが、医学的にはっきりした原因は不明。
その為、治療が長期にわたり、再発を繰り返す事も珍しくありません。
前立腺炎の治療法
内服薬による治療と、前立腺マッサージによる前立腺の排出が主な治療法になります。
細菌性前立腺炎のケース
細菌に合わせた「抗生物質」による治療が行われます。期間は約4週間から6週間。
慢性となっている場合は、抗生物質の効き目が弱く、治療に数か月かかる事もあります。
非細菌性前立腺炎のケース
前立腺マッサージが効果的とされていますが、全ての医師が行うわけではありません。
また多くは、炎症を抑え排尿を促進する『セルニルトン錠』や漢方が処方されます。
同時に、一般雑菌による合併症も考え、抗生物質が処方される事もあります。
治療期間は約2週間から4週間。
前立腺痛のケース
前立腺痛の原因は分かっておらず、確実な治療法が確立していません。
非細菌性と同じく、セルトニン錠や漢方が処方されますが、満足な効果が得られない事もあります。
自宅でできる改善法
ここで紹介する方法は、前立腺炎に効果があるとされていますが、はっきりとした研究結果は出ていません。
よく行われるのは『水分を取る事』。尿の量を増やし患部を洗い流す効果が期待できます。
また血液の循環をうながし、うっ血が解消されるとして温座浴も行われます。
他にも、前立腺液の中に有る膿性分泌液を排出する為に前立腺マッサージも良いでしょう。また射精にもマッサージと同等の効果があります。
前立腺炎の予防法
清潔に保つ事で、細菌性の前立腺は予防できるでしょう。もちろん、性感染症の予防も忘れてはいけません。
原因のはっきりしない前立腺痛ですが、ストレスとうっ血が原因の可能性が高いと言われています。
ストレスを溜めない生活。デスクワークでは1時間ごとに席を立つ。お風呂に入り血行を良くする事が予防になると言われています。
おかしいと思ったら、すぐに医師の診察を受けましょう
前立腺炎は、慢性化すると治療が難しい病気です。
一方で非常に多くの男性を悩ませている病気である事も知っておくべきです。
もしも異常を感じたら、恥ずかしがらずに医師の診断をうけましょう。