意外な結果?うつ病が社会問題になっている国とその理由|トピックスファロー

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2014年3月5日
意外な結果?うつ病が社会問題になっている国とその理由

世界中の先進国で患者数が増加している、うつ病。これまで詳しく知られていなかった、うつ病患者数の増加と国別のうつ病患者数の割合を明らかにして、WHOが行った調査結果を基にうつ病患者増加の原因を説明します。

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急激な経済成長でうつ病患者が増えるインド

世界保健機関が行ったうつ病患者に関する調査で、うつ病患者の増加が顕著だったのがインドです。インドは90年代後半から急激な経済成長を遂げて先進国の仲間入りをしました。

中国に次ぐ人口を擁しているインドは国内だけの内需でも経済が回りますが、教育水準が高く英語を話せる人が多いために、世界的企業のカスタマーセンターがインドにおかれることが増えました。

中国に進出が済んだ世界的な企業が、中国に次ぐ巨大なインド市場に進出し始めたことでインドの経済は急成長し、インド国内でも欧米型のビジネススタイルが定着しました。元来、インド人はのんびり屋で、欧米型のビジネススタイルとは対照的でしたが、欧米の企業進出と共に大量の欧米資本が入ってきて、欧米型のビジネススタイルに従わざるをえなかったのです。

この欧米型のビジネススタイルの導入とインド国内でのうつ病患者の増加には密接な関係があり、欧米式のビジネスのやり方や生活に適応できなかった人がうつ病を発症したと考えられています。人口分布が独特なインドの人口は都市部に集中していて、急激に増加しているうつ病患者も都市部に集中しているので、インドの都市部は世界有数のうつ病患者密集地域です。


インドとともにうつ病患者が増え続けるブラジル

急速な経済発展がうつ病患者を増加させるのはインドの例を見ても明らかですが、インドと同じく急速な発展に伴ってうつ病患者が増えているのが南米のブラジルです。

ブラジルでのうつ病の発症のプロセスもインドと同じと考えられており、ブラジルの人口が集中する都市部のうつ病患者の増加が、ブラジルのうつ病患者数の割合を上昇させています。ブラジルもグローバル化の波に無関係ではいられなくなった21世紀の経済は、欧米流のやり方に従わざるをえないのが現状で、ラテン的な気質のブラジル人も適応を余儀なくさせられました。

適応しきれなかったうつ病患者数は、ブラジルの経済が発展すれば発展するほど増加し、まだ増加し続けています。経済的に優勢な他国の資本が入り続けている間は、うつ病を予防する根本的な防止策はなく、ラテン的な気質で日照時間も長い、本来ならうつ病の発症割合が低いとされる気質と気象条件が揃っているブラジルでも、うつ病患者の増加を止めることができていないのが現状です。

ブラジル政府が経済発展重視の政策を推し進めていて有効なうつ病患者増加の防止策を提示できていないのも患者の増加に拍車をかけていて、ブラジルでのうつ病対策はこれからが本番です。

人口10万人あたりのうつ病患者の割合が世界一のアメリカ

世界保健機関の調査で人口10万人あたりのうつ病患者の割合が最も多かったのがアメリカです

。アメリカのうつ病の割合は人口10万人あたり1450人を超えて世界最高です

。アメリカの高いうつ病罹患率は様々な要因があり、医療関係と社会的な目線での解説が必要です。世界最大の経済大国であるアメリカは、現在世界中で敷衍しているビジネススタイルのお手本で、圧倒的な影響力から先進国の生活の様式もアメリカ化しています。先進国で最初にうつ病が問題視されたのはアメリカで、うつ病の診断基準もアメリカの医学会の診断基準が世界中でスタンダードになっています。

診断基準が改正されるたびに、これまでうつ病と診断されていなかった症状でもうつ病と診断されるケースが増えます。アメリカは自由診療が中心で、具合が悪くなったら先ずホームドクターの診断を受けてから病院へ行きます。

そのためうつ病を中心とする精神病の通院にも抵抗がなく、気分の落ち込みは薬で治療できるという考え方が定着しています。世界中の先進国でもアメリカほどうつ病の検診に病院へ出かけることに抵抗が少ない国はなく、医療機関への受信へ行く人の数の多さがうつ病患者が大きい要因で、うつ病薬市場の拡大も患者の増加を後押ししました。

著者:加賀原まこ

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