No.21:【歴史能力検定試験】世界史2級、3級に合格する勉強法|トピックスファロー

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2019年6月24日
No.21:【歴史能力検定試験】世界史2級、3級に合格する勉強法

歴史能力検定試験の勉強は、基本的に大学受験と同じだと思ってください。今回は実際に筆者が受験した世界史2級と3級の対策を紹介します。大学受験をする受験生も参考にしてみてください。

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歴史能力検定の世界史3級と2級の出題形式。難易度や対策とは

出題形式

出題形式は3級、2級とも大問が5題あります。各大問には10問の問題があり、合計50問の出題です(1問2点の計100点満点)。

大問5題は、各時代、地域ごとの問題というよりは、戦争、都市、宗教などのテーマ史が中心となります。

3級は全て4択の選択肢問題。
2級は記述式の短答問題(地名、人物名、事件名の単語を書かせる)が5問。残りの45問は4択の選択肢問題です。

歴史能力検定試験の世界史、実際の2級の問題歴史能力検定試験の世界史、実際の2級の問題

難易度

歴史能力検定の公式サイトには各級のレベルについて、以下の説明があります。

世界史2級は、出題されるテーマは高校で学ぶ程度のものですが、比較的高度な歴史知識が要求されます。
世界史3級は、高校で学ぶ基礎的な歴史知識を問う試験です。

筆者の体感では、センター試験(2020年度まで実施)を基準に考えれば、世界史3級はセンター試験よりは若干易しめ、2級は若干難しめの問題が出題されます。2級は中堅私大レベルの問題の難易度があると思います。

合格基準点は60%の正答率がとなりますので、合格を目指すならすべての問題に正解する必要はなく、30問以上に正解すれば合格になります。

大学受験に置き換えて例えると、センター試験で85~90%ラインを目指すなら、3級は95%以上の正解率がほしいです。マーチ以上の有名私大に合格したいなら、2級では80%以上を目指したいところです。

第二次世界大戦に関する問題 世界史2級より第二次世界大戦に関する問題 世界史2級より

対策

2級、3級共に共通する対策が、古代から現代まで全時代、全地域をとりあえず一通りやることです。
出題形式でもお話ししましたが、大問5題とはいえ、テーマ史が中心。そのため特定の時代や地域のヤマを張るより、多少雑でも一通り全範囲に目を通した方が効率が良いからです。

2級、3級共に選択式の問題が中心なので、欧米史、イスラム史などのカタカナのつづりや中国史の正確なつづりより、多少曖昧でも知識を詰め込んで、なんとなく見たことあるくらいの用語を増やしたほうが良いでしょう。選択肢の選択を4つから2つに減らすだけでも正答率は上がります。

問題は基本的に4択問題 世界史2級より問題は基本的に4択問題 世界史2級より

世界史2級、3級個別の筆者の合格体験記と対策

著者の受験経験を元に世界史2級、3級個別の対策を紹介します。

【世界史攻略】大学受験で合格点を目指す勉強法」編でも紹介しましたが、大学受験と同じく、世界史の基本的な勉強方法は下記の3つのステップです。

  1. 参考書で一時代だけザーッと目を通す。
  2. 直後、問題集で、その目を通した時代の問題演習をする。
  3. もう一度、講義用の参考書に戻りその時代を読み返す。

2級、3級とも使用する参考書は、新マンガゼミナール「大学受験らくらくブック世界史」(学研出版)(以下らくらくブック)で対応できました。

らくらくブックについては、「【世界史攻略】世界史で合格点を取るためのインプット用の参考書はマンガ本」編もご参照ください。
古代~近代、近代から現代編と2冊あります。

歴史能力検定試験専用の教材は、過去問である「歴検 実戦!テスト形式 過去問題集」(以下過去問)しかありません。テーマ史として出題される過去問を、時系列の問題集代わりにするのは難しいはずです。

今回は世界史2級、3級を受けた筆者の体験を紹介しますので、参考にしてみてください。

大学受験らくらくブック 世界史(改正前の表紙)大学受験らくらくブック 世界史(改正前の表紙)

世界史3級

まず3級から紹介していきます。

3級は問題演習より広く浅く知識をつける

世界史3級に関しては、過去問はほとんどやりませんでした。らくらくブックを読み込んだだけです。

強いていうなら、試験の3週間ほど前から、スマホのアプリにある世界史1問1答をクイズ形式のゲーム感覚でやっていたくらいです。ただアプリなので、勉強するというよりは英語のリスニングのように右から左へ流していた感じです。

試験3日ほど前から、らくらくブックの2冊を精読しました。それが試験に一番効いた感じがします。らくらくブックは執筆のすき間時間などを利用して何度も読み返していた蓄積もあり、試験直前になれば嫌でも集中力が高まるので、3日間でも一気に読めるものです。

この年は日曜に試験があった週の木曜日が祭日。そのため、木曜と試験前日の土曜と合わせた丸2日間を、らくらくブックの精読に使うことが可能でした。

世界史3級に関しては、試験問題は基礎的な用語や歴史経緯を4択で問うだけなので、無理して問題集をやる必要はないと思います(ただし、過去問で出題形式だけは確認しておきましょう。)。

広く浅くで良いので、全時代、全地域に目を通すことが大切です。らくらくブックは精読というよりはスピードを重視して読んで、何度も反復することが効果的です。曖昧でもいいからとりあえず知識は詰め込んでおく感覚でよいと思います。

筆者は、試験本番では8割5分ほどの正答率でした。

世界史2級

世界史3級合格から試験直前まで得点力は変わらず

世界史3級に合格して、翌年は世界史2級に挑戦しました。試験までの1年間、特に世界史2級に向けた対策をしていたわけではありません。

春ごろから、受験に勝つ!世界史勉強法シリーズの執筆を開始したのもあり、同時期に、記事執筆のための実経験として「世界史標準問題精講」(旺文社)を夏くらいまで一通りやりました。

「世界史標準問題精講」のレベルなどは、「【世界史攻略】入試当日にこれだけをやれ!受験生が頼るべき世界史の問題集」をご参照ください。

しかし、夏に「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡シリーズ」の北欧取材、秋には本シリーズの韓国取材とその執筆があったので、しばらくは歴史能力検定試験対策としての世界史の勉強はできませんでした。

そして、試験の1ヶ月ちょっと前の10月上旬から、世界史2級の試験を意識した勉強を開始。春から夏にかけて、難関私大用の「世界史標準問題精講」を一通りやったとはいえ、あくまでも流しただけに近かったので、得点力が上がるほどはやりこんではいませんでした。
ちなみに難関私大用のレベルが高い問題集なので、世界史2級の試験対策としてはオーバーワークです。

10月初旬の時点で、世界史の得点能力は前年の世界史3級に合格した時と、さほど変わってなかったと思います。それどころか数ヶ月のブランクがあったので、得点力は下がっていたかもしれません。

世界史B 問題標準精講は難関私大向け世界史B 問題標準精講は難関私大向け

要点をまとめた薄い問題集で、直前期を乗り切ろうとしない

世界史の勉強に数ヶ月のブランクがあり、歴史能力検定試験まで残り1ヶ月半ということで、一発逆転を狙うために、「30日間完成 スピードマスター 世界史問題集」(山川出版社)(以下スピマス)という問題集をやることにしました。

120ページ程の薄い本で、見開き2ページにひとつの単元の要点が整理されていて、次の見開きページには、空欄補充の短文の文章が掲載されています。それが30回分あるのです。筆者も3週間くらいかけて、空欄補充を埋めて、世界史2級の過去問と照合して、出題された用語などに要点のページにマーカーを引きました。

空欄補充に単語を記入して、過去問ででたものにはマーカーを引く。

それを一通りやった後、気が付いたことがありました。

これは勉強というより作業であったということ。

この3週間は過去問を分析できた以外、それほど効果があったとは思えませんでした。スピマスの要点と短文だけでは、頭に残りにくいし、空欄補充だけでは、試験に出る形で覚えることもできなかったからです。

大学受験生にもスピマスは人気があるようですが、直前期になって世界史の失速分をカバーして乗り切るために、要点を絞った問題集が人気があるのだと考えます。

もしスピマスを使うなら、要点のページで頭の中を整理するくらいの感覚でいましょう。

スピマススピマス

追い込みで一番効いたのは、使い慣れたらくらくブックの精読

歴史能力検定試験まで残り1週間になった時点で、スピマスは一切諦めて世界史3級の時と同様に、らくらくブックの2冊を内容(地図を含め)全て覚えるつもりで精読することにしました。
1週間で2冊を2度反復できました。試験場に向かう電車の中でも読み続け、試験場の最寄り駅に降りる直前で、やっと読み終えることができたのです。

世界史3級の試験が終わってから約1年間、一貫性のない世界史の勉強になってしまいました。本番ではスペルミスなどケアレスミスでいくつか失点もしましたが、なんとか合格点の66点は取ることができました。

この2年間の歴史能力検定試験で得られた教訓は、1つの使い慣れた教材を徹底的にやることが合格への効率的な近道だということです。

この経験が、「【世界史攻略】受験直前期こそ、今までやってきた勉強を信じる」編の執筆につながりました。
そして、「【世界史攻略】アウトアップ用の問題集は一問一答型か?入試問題で構成された問題集か?」編でも紹介した通り、大学受験の時に、一問一答を一冊だけやれば充分といわれた予備校の日本史の先生のアドバイスを20年後に改めて体感することになったのでした。

世界史2級合格への近道は、らくらくブックと過去問のサンドイッチ

筆者の紆余曲折の勉強だった体験記をお伝えしてきましたが、その反省からこうすれば世界史2級合格に合格する効率的な勉強だったと思うことを紹介します。

  1. らくらくブックを一通り読む。
  2. 過去問で出たものを、らくらくブックでチェック。
  3. 再び、らくらくブックを精読。

世界史2級を受ける人は、世界史の知識は多少あるとは思うので、一気にらくらくブックの2冊を読んでしまいましょう。また、過去問は5年分ありますが、1年分の問題をチェックして、それを繰り返していきましょう。チェックした際にマーカーやペンで出題された場所に色を付けておくとよいかもしれません。

過去問は5年分全てできなくても、歴史能力検定の試験日まで、出題形式を意識しながら何度も繰り返し精読することが大切です。

歴史能力検定試験は、「短期間で知識0から合格する!」と力むたぐいの試験ではありません。普段の生活でじっくり毎日、少しずつでいいから核となるインプット用の参考書(本記事ではらくらくブックを推奨)を隅々まで舐めるようにして読み込んでいく意識が大切です。

歴史能力検定試験の合格証歴史能力検定試験の合格証

歴史能力検定試験の申し込み方法

2019年の歴史能力検定試験の申し込みは、下記の公式サイトのページから申し込めます。

試験日    :2019年11月24日(日)
申し込みサイト:https://www.kentei-uketsuke.com/sys/rekiken/entry
申し込み締切日:2019年10月15日(火)

著書「ヒトラー 野望の地図帳」のご紹介

現在「【受験に勝つ】世界史の勉強法シリーズ」とは別に、「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡シリーズ」も連載しています。
ヨーロッパを中心とした戦跡を巡る旅行記で、実際にその場に行ったからこそ感じる当時の名残と現在の日常風景を、独自の視点で描いています。本シリーズは、おかげさまで書籍化され、各書店の歴史の棚の世界史やドイツ史のコーナーに置かれています。

読者の方々からは、時代背景が簡潔でわかりやすい、学者とは違うテイストが新鮮、という感想をいただいております。歴史好きはもちろん、ちょっとマニアックなヨーロッパ旅行をしたい方々の旅のお供になる本なので、web連載とあわせて、ご興味をもっていただけたら嬉しく思います。

ヒトラー 野望の地図帳

ヒトラー 野望の地図帳
著者名:サカイ ヒロマル
出版社:電波社     
価格 :1,400円(税抜) 

【連載】受験に勝つ!世界史の勉強法

著者:ヒロマル

戦争遺跡ライター
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1979年神奈川県生まれ、神奈川県逗葉高校、代々木ゼミナールで1浪、立教大学経済学部卒業。

大学在学中からヨーロッパ、アジアなどを海外放浪してハマってしまい、そのまま新卒で就職せずフリーターをしながら続ける。その後、会社員生活をしながらも休み、転職の合間を利用して海外放浪を続ける。50ヶ国以上訪問。会社の休暇を利用して年に数回、渡欧して取材。

2012年からライター業を会社員との二足のわらじで開始。
2014年からwebメディア(株)フォークラスのTOPICS FAROで2つのシリーズを連載中。

▼もんちゃんねる(You Tube)
https://www.youtube.com/channel/UCN_pzlyTlo4wF7x-NuoHYRA

▼「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡」シリーズ
https://topicsfaro.com/series/warruins
ヨーロッパ各地を取材し、第二次世界大戦に関する場所を紹介。
軍事用語などは極力省き、中学レベルの社会の知識があれば楽しめる記事にしています。
同シリーズが2017年に書籍化。
「ヒトラー 野望の地図帳」(電波社)から全国書店の世界史コーナーで発売中。

▼「受験に勝つ!世界史の勉強法」シリーズ
https://topicsfaro.com/series/wh
2018年から主に世界史を中心とした文系の勉強方法について執筆。
大学受験だけでなく、大学生や社会人の大人の教養としての世界史の勉強方法にも触れて、
高校生、大学生、社会人とあらゆる世代を対象としています。

世間の文系離れを阻止して、文系の学問の復権に貢献することが、2つの連載の目的です。

▼ご依頼、ご質問はこちらのメールまたはツイッターから
hiromaru_sakai@yahoo.co.jp
https://mobile.twitter.com/HIRO_warruins