10歳前後の子供の約半分が、歯周病の初期症状
一昔前までは、40代~50代の中年世代がかかる病気とされていた歯周病。
食生活の乱れや変化に伴って、どんどん低年齢化が進んでいることが問題になっています。
現代においては20代~30代での発症は当たり前となっており、ついには10歳に満たない小さな子供にまでみられるようになりました。厚生労働省の調査報告によると、5~9歳では40%、10~14歳では50%が歯周病の初期症状に罹っているそうですから、事態はかなり深刻です。
歯肉炎が悪化すると、歯が抜け落ちる歯周炎に!
歯周病の初期症状とは歯肉炎のことであり、歯肉炎は歯肉(歯茎)が炎症を起こしている状態です。
字が似ている歯周炎と混同されがちですが、歯周炎は歯肉の炎症のみならず、歯を支えている組織群(セメント質や歯槽骨など)が破壊されるまでに至った状態のことを指します。
歯周炎まで悪化すると、歯がグラついて食事に影響するようになり、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。そうなると永久に自分の歯が再生することはありません。インプラント治療は成人するまで不可能ですから、予備軍の段階にある歯肉炎のうちに、悪化防止のためのケアを習慣的に行うことが大切です。
毎日のブラッシングで歯垢をしっかり磨き落とそう
歯肉炎の原因となるものは、歯にこびりついた歯垢(プラーク、バイオフィルム)や歯石です。
具体的には歯垢の約20%を占めている細菌が、有害な酸や毒素を発することにより、歯肉の炎症を引き起こしているのです。
歯垢が石灰化すると、自力では除去できない硬い歯石へと変化してしまいます。
歯石は歯医者のクリーニングでなければ除去することができません。クリーニングにはお金がかかりますから、毎日の念入りなブラッシングで歯石の前身である歯垢をしっかり磨き落としましょう。
ブラッシングには、電動歯ブラシやデンタルフロスを利用するのがお勧めです。
普通の歯ブラシでは、歯垢の60%程度しか除去できないと言われていますが、これらを使用することにより除去率を25~30%もアップさせることができます。
こんな子は歯周炎のリスク大。親がチェックしてあげよう
こんな子供は歯周炎のリスク大、もしくはすでに罹っている可能性が高いです。
子供は自分で自分の口のなかの健康状態を判断することはできませんから、ご両親がこまめにチェックしてあげてください。
- 歯磨きを嫌がる、ブラッシングがいつも適当
- 歯と歯のすき間が黄色い
- 歯並びが悪く汚れがたまりやすい
- 歯肉が赤く腫れている
- 歯肉が歯に覆いかぶさっており、歯が短い
- 歯磨き時に出血がある
※歯肉が引き締まっていて健康的なピンク色をしていたら、セーフです。
親から子供への細菌感染にも気を付けましょう
毎日きちんとブラッシングを行っても、子供が歯周病に罹ってしまうことがあります。
考えられるケースは親から子供への細菌感染であり、細菌を媒介する物質は親の唾液です。
親が使ったスプーンや箸で子供に食事を与えたり、スキンシップで口付けしたり。
愛情ゆえの行為なのですが、残念ながら歯の健康という観点から考えると決して良い事ではありません。
たった1度の接触で感染するとは限りません。また万が一感染しても、ブラッシングやうがい等のケアで発症を防ぐことはできます。しかしやはり、やらないに越したことはありませんから注意しましょう。