生命保険も相続の対象となる?
「生命保険に加入するのは金の無駄遣い」と豪語している人も少なくありませんが、そんなことはありません。
何時自分が交通事故に巻き込まれたり、伝染病に感染してしまったり、地震や台風などの天災に遭遇したりして命を落とすことになってしまうかわからないのです。もしも、自分に家族が居て家族の生計を一手に担う立場であった場合、命を落とす事態になってしまったら家族はどうなるでしょうか?
そんな時を思えばこそ、生命保険への加入は大事なのです。しかし、場合によっては生命保険も相続税の課税対象となってしまうのです。
生命保険金が課税対象になるケースとは
本来の相続は、故人(被相続人)が亡くなった場合に被相続人が所有していた現金・貴金属・美術品・不動産・有価証券などの資産を故人の家族・親戚・遺言書で指名した人などの相続人が受け継ぎ、相続額に応じて課税された相続税を支払うというシステムです。
対して生命保険は、保険会社と加入者の間に「加入者が死んだ場合に保険金を支払います」という契約を結んで、その時が来た場合に契約履行で家族などの受取人に保険金が支払われるというシステムです。
一見すると「生命保険によって発生する保険金は保険加入者=被相続人の資産ではないので、相続税が発生しないのではないか?」と思われるかもしれません。
しかし、保険金の原資の一部となる毎月の保険料を保険加入者=被相続人自身が支払っていた時、生命保険金は相続税の課税対象となります。
要するに、保険金が被相続人の資産を元にして発生したのであれば「保険金=相続対象」と見做されるということです。
逆に言えば、被相続人名義の保険でも被相続人の家族が保険料支払人兼受取人という形になっていれば相続の対象にならないということです。
生命保険の非課税額は?
「相続税は税率が高い」というイメージが強くついて回りますが、実際には非課税金と控除が発生するので、相続税を納税することになる相続は全体の5%程度とも言われています。
もちろん相続税の課税対象となった生命保険金にも非課税金と控除が発生するため、場合によっては課税を気にしなくて良い場合があるのです。
非課税金は法定相続人で決まる
生命保険が課税対象になった時に発生する非課税金は法定相続人一人に付き500万円となっています。
例えば、被相続人に妻と子供二人いれば保険金は3×500万円=1500万円までが非課税になります。
また、妻と実子二人と養子二人というように実子が居て養子もいる場合、法定相続人は5人ではなく、養子のうち一人だけが法定相続人として扱われるので、4×500万円=2000万円までとなります。
逆に妻と養子二人というように実子がなく養子が居る場合は養子のうち二人までが法定相続人と扱われるので、3×500万円=1500万円までが非課税になります。
また、保険金の受取人が法定相続人以外の場合は課税対象にはなりません。
保険金-非課税金=課税対象
このように、法定相続人の人数に合わせて発生した非課税金を保険金総額から差し引いた残りが相続税の課税対象となります。
つまり、5000万円の保険金で妻・子供二人の場合は5000万-1500万=3500万円が課税対象になるわけです。
そして保険金の受取人が妻であった場合、3500万円そっくりそのまま妻の相続分と見做されるため、3000万円以上5000万円以下に掛かる税率は20%、控除額が200万円なので、課税対象額は3300万円で相続税は660万円となるのです。