なぜバーチャルオフィスは大都市に集中するのか
バーチャルオフィスやレンタルオフィスはどの都市に有っても一定の需要が得られる、伸び盛りの業種であると言っても過言ではないでしょう。
しかし、どこの都市に有るわけではなく東京・大阪・福岡などの大都市圏とそのほかの政令指定都市に有るくらいで、しかも圧倒的に東京・大阪・福岡などの大都市圏に集中しているのです。
なぜ、バーチャルオフィスは東京などの大都市に多く存在し、今も増え続けているのでしょうか?
信頼できる住所が欲しい
東京などの大都市にバーチャルオフィスが多い理由の一つとして言えるのが、「信頼性の高い住所」を欲しがっている会社が多いということです。
なぜ大都市の住所は信頼性が高いかというと、「大都市=地価が高い」「大都市の住所=取得するのに大金が掛かる」「大都市の住所を掲示した会社=すごく儲かっている大会社」という三段論法的なイメージが付いてくるからです。
つまり大都市圏にバーチャルオフィスが多いのは、レンタルオフィス部分に魅力を感じているからではなく住所部分に魅力を感じている利用者が多いことが理由の一つになっているのです。このように大都市のバーチャルオフィスから住所を借りる地方の会社は少なくありません。
レンタルオフィスにも一定の需要がある
バーチャルオフィスの多くはレンタルオフィスとしての一面を持っており、バーチャルオフィスを形成している住所貸しと電話・郵便物の転送が、事務所レンタルとセットになっている所が多く見受けられます。
大都市圏ほど入居可能な賃貸事務所は少ない上に、家賃が高い傾向にあります。そのため家賃が安めで即日入居可能なレンタルオフィスは非常に高い人気があります。バーチャルオフィスがレンタルオフィスと兼用になっている所は、レンタルオフィスが空いていない場合も少なくありません。
空きビルの再利用
バーチャルオフィスを運営するためには、中規模以上で築年数もそう古くなく1フロア丸ごと空いているビルが準備出来ることが条件の一つになっているといえます。
このようなビルは、地価や開発計画などの関係で中小規模の都市よりも大都市圏に多く見受けることが出来ます。
地価が高い大都市というのは土地・家屋の需要が高い一方で、家賃の高さや利便性の関係などで借主が現れず塩漬けになっている物件も多いものなのです。そういった微妙な物件を借り上げて、バーチャルオフィスに転用しようという業者も多く出てくることが大都市にバーチャルオフィスが集中する理由の一つになっているのです。
ネット回線などのインフラの整備状況
現在の会社経営には、光ケーブルのような高速ネット回線が必要不可欠なものになっています。また、社員の福利厚生を考えると、綺麗な水洗トイレ完備と飲食を行うための給湯室も完備しておくことが求められます
しかし、このような高速ネット回線や上下水道は地方に行けばいくほど普及率が低くなります。東京でも23区内なら下水道普及率は100%ですが、23区外の多摩地域だと99%というように差が見られます。地方都市でも光回線が行渡っておらず、ADSL頼りになっている地域も少なくありません。
つまり、地方都市だとインフラが充分に整備されていない可能性があるため、バーチャルオフィス・レンタルオフィスがビジネスとして成立しにくいのです。
大都市圏の方がビジネスチャンスは多い
起業したばかりの会社にとって、ビジネスチャンスを掴み顧客を固定することは非常に重要な要件となります。しかし、会社の業種と会社の所在地によっては物にできるはずのビジネスチャンスがつかめないどころか、やってこないことさえあります。
このようなビジネスチャンスをつかみ取るためには大都市圏に進出することが一つの手となります。大都市圏は同業他社も多いものですが、その分だけビジネスチャンスに接触できる機会も増えるのです。
そういった意味で、バーチャルオフィスを利用して大都市圏への進出を図ることも重要な経営戦略になりうるのです。