手足を補う義手・義足を作る義肢装具士になりたい!
SF小説などで描かれてきた21世紀では、不慮の事故に遭って四肢を欠損した登場人物が、再生医療やサイボーグ手術によって、四肢の欠損を治療するシーンがたびたび描かれてきました。
しかし、実際の21世紀は、まだ再生医療もサイボーグ技術も実用化できていません。
最新鋭の技術を盛り込んで進歩を続ける義手・義足などの義肢によって、四肢の欠損がカバーされているのです。
五体満足を夢見る人たちの助けとなるべく、日夜義肢の製造と研究に努めているのが義肢装具士なのです。
義肢装具士の仕事
義肢装具士は事故や病気で手足を失った人のために義手・義足などの「義肢」や、事故や病気で機能が低下した身体に装着するコルセットやサポーターなどの「装具」を製作する人たちのことです。
現在の義肢は、SF小説に出てくるような、手足の機能を完全再現できるようなものではありませんが、普通に歩いたり物を掴んだりする分には十分な機能を持っています。
義肢の制作は意外に高度
義肢の制作は、患者の身体のサイズを図る採寸と身体の形に合わせる採型を入念に行うことが求められます。
なぜなら、義肢を装着することで歩行が困難になることがあるからです。
人間の二足歩行は、ただ足を前に出しているわけではなく、歩行によって変化する重心の移動を考慮した上で行っているものです。
この重心の移動を考えていない義肢を装着すると、前身しても2・3歩で転んでしまうことがあるのです。
そして、体の重心は人それぞれの体型によって異なってきます。
それに重心を考慮して義肢を設計・製作していても、患者の手足の長さに合っていなければ見栄えも良くないし機能も充分に発揮されません。
つまり、義肢装具士には物理学的な知識や美術的な知識と、それを活用できる技術力が求められるのです。
義肢装具士になるには?
義肢装具士は国家資格で、義肢装具士法に基づき、文部科学大臣が指定した学校もしくは厚生労働大臣が指定した義肢装具士養成所で、3年以上の教育を受けて知識と技術を学ばなければ受験資格が得られません。
また、厚生労働大臣が指定する科目の単位を、学校または養成所で取得することも条件となっています。
義肢装具士コースが用意されている学校は、
- 北海道工業大学医療工学部
- 新潟医療福祉大学医療技術部
- 人間総合科学大学保健医療学部
以上、大学三校。
- 国立障害者リハビリテーションセンター学院義肢装具学科
- 北海道ハイテクノロジー専門学校
- 早稲田医療技術専門学校義肢装具学科
- 神戸医療福祉専門学校三田校義肢装具士科
- 専門学校日本聴能言語福祉学院
- 熊本総合医療リハビリテーション学院
- 西武学園医学技術専門学校義肢装具学科
以上の専門学校7校となっています。
義肢装具士の収入
義肢装具士のような技能職だと、貰える収入もさぞ大きいのだろうと皮算用を始める人も少なくないでしょう。
義肢装具士の収入は実務経験年数に応じて変わってくるため、経験の浅い30代では年収400万円台、ベテランと言える50代で年収800万円台というのが平均収入のようです。
独立開業すれば収入は高くなるように思えますが、独立のためには個人工房を準備して加工機械を導入しなければならないため、相当の初期投資が必要になってきます。