生命保険の中途解約で発生する解約返戻金
生命保険は、生涯の中で発生しうる病気・事故・災害などの健康へのリスクによって被った被害を補償するための自主的なセーフティネットといえます。
その一方で、補償金が発生するような事態に直面するか物入りになるまでは保険料を積み立ておこうという長期貯蓄としての一面を求められているといえます。
しかし生命保険を中途解約した場合に発生する「解約返戻金(かいやくへんれいきん)」は、今までに払い込んだ保険料の総額よりも高かったり低かったりするのです。
解約返戻金とは何か
解約返戻金は、生命保険などの保険契約を期間満了までの途中に保険契約の解除、保険料未払いによる失効などが起こった際に保険会社から契約者に払い戻されるお金のことです。
解約返戻金の額は保険契約の内容と保険料を払い込んでいた期間の長さによって変化します。
大体の場合は、契約期間が長いと高額、契約期間が短いと少額の解約返戻金が返ってくるものと考えてよいでしょう。
解約返戻金=積立金全額ではない?
多くの人が勘違いしているのが、「生命保険を中途解約すると積み立てていた保険料が全額戻ってくる」ということです。
毎月払い込んでいる保険料は、全額全てが積み立てられていると言うわけではありません。
保険料は補償金等の積み立てに回る「純保険料」と保険会社の経費などに利用される「付加保険料」で構成されています。つまり、毎月の支払い分に付加保険料が組み込まれている時点で「積立金=保険料全額」ではなくなるのです。
解約返戻金が戻ってこない保険もある
契約期間満了後の保障が付かない定期保険、いわゆる掛け捨て型の生命保険では中途解約しても解約返戻金は戻ってこないものとなっています。
掛け捨て型の保険は、解約返戻金に充当される積立金が設定されていないため毎月の保険料が安く入りやすくなっています。
定期保険は、解約返戻金だけでなく満期保険金も発生しない性質を持った保険でもあるので貯蓄目的で保険に加入しようとしている人は注意しなければなりません。
終身保険は解約返戻金がお得?
解約返戻金は保険料の支払い総額よりも低くなるようになりますが、払い込みが満期を迎えた後も保障が続く終身保険の場合、解約返戻金が保険料の支払い総額を上回る逆転現象が発生することがあります。
終身保険では支払い満期が近づくと、解約返戻金の積立額が急に右肩上がりに増大します。最終的には満期を過ぎると保険料の支払い総額を上回る解約返戻金が発生することになります。
しかし、終身保険のメリットは「満期を過ぎても一生涯保障を受けられること」なので、満期後に解約するのは逆効果になってしまうことも考えられるのが悩みどころです。