親もびっくり、テストで好成績の不思議
息子は小学校の5年生から、ほぼ完全に登校しなくなりました。途中までしていた通信教育も、全然しないので解約し、塾にも行っていませんでした。
学校に行かなくなってから、新しい教科書が配られると、私は息子に「教科書くらいは目を通しておきなさいね」と声をかけました。ひと通り読んではいたようですが、算数は教えてもらわないと出来なかったため、分かるものと分からないものがありました。例えば距離の計算は得意だけど分数は苦手、というふうに。
6年生になり、都内の学力テストを受けに、1日だけ放課後に登校。親としては勉強していない息子の姿を見ているので戦々恐々、というかあまりの分からなさに傷つく息子の姿を想像し、胸を痛めていました。
数週間後、テストの結果を先生から受け取り、驚きました。なんと、国語、算数、理科の3教科とも都内上位で、国語は中でも都内で3位に入っていました。これには私よりも先生がびっくりし、不思議がっていました。
読み聞かせが読書好きに
原因を私なりに考えた結果、小学校に上がるまでは、興味のあることは飽きるまでとことんさせたことや、毎日2時間以上散歩できる、自然の豊富な公園があったことが幸いしたのではないかと思い至りました。主婦の友社「育脳Comoキッズ」によると、外遊びは脳の発達に必要な五感を、すべて働かせるのに非常に良いとのことでした。
また、読み聞かせにはこだわり、寝る前の読み聞かせは毎日の日課でした。あるアンケートによると、東大生と一般の大学生の決定的な違いは、幼い頃の読み聞かせの量だということです。もちろん、当時はそんなことは知らずに、ただ本や日本語が好きになってほしいと思ってしていたことですが。
おかげで本当に読書好きになり、学校に行っていない間は、好きな戦国時代の資料や史実に基づいた漫画を読んでいたり、シリーズものの児童小説を読んだりしていました。私も経済的に許す限り、本ばかりは欲しいというだけ与えました。
私自身がライターになって本当に思うのですが、本は語彙を増やすだけでなく、物語の組み立てや流れ、韻の踏み方や因果関係を推測したりするのに役立ちます。息子も本が好きになったおかげで、読解力が身についたのではないかと思っています。息子は低学年の頃、学校で友達から言葉をたくさん知っていると言われると言っていました。
また、本の内容自体も好きなことはどんどん吸収するので、今では戦国武将やその時代についても、大人顔負けの知識を持っています。本以外にも、歴史や自然科学などの好きなテレビ番組は、楽しんで観ていました。
特に小学生に上がる前から図鑑が大好きで、宇宙の図鑑や自然の図鑑をよく読んでいました。小学校に上がってからの成績は、中の上くらいでしたが、理科は図鑑の影響で成績が良かったように思います。ただ、算数に関しては、苦手なものと得意なものとの差がとてもあり、成績もずっと中程度でした。
保育園時代から小学校低学年まで子ども用の通信教育を取っていましたが、声をかけるとやっと取り組む程度。あまりやっていませんでした。
また、習い事もさせようとしましたが、とにかく人といることが苦手。見学に連れていっても号泣する始末で、習い事はひとつもできませんでした。
やりたいこととやりたくないことがとてもはっきりとしていて、小さい頃からやりたいことには時間を忘れてのめりこみ、やりたくないことは本当にやらない子どもでした。
眠れない日は自分で夜食を作る
息子はしばしば眠れない時、自分で工夫して、簡単な夜食を作っていました。私は子どもが火や包丁を使うのも、正しく教えれば危なくないと思っていたので、息子が5才の頃にレクチャーし、それからは必要に応じて大人がそばにいながら、自由にさせています。
ご存知のように、料理は組み立てや予測が必要な作業です。炒め物一つ作るにしても、素材を切って鍋に入れる順番や、調味料の量、火加減などを考えなければなりません。
料理と勉強の進め方に関する、自律化コンサルタントの専門家のインタビューがあったので、専門家のコメント部分を抜粋してみます。
勉強をはじめ,物事のコツを掴むためには,理想を設定し,現状を理想に近づける方法を筋道立てて考える力が必要です。理想実現の方法を実行してみて,理想が実現しなければ,振り返りを行い,対策変更を行う。理想が実現するまで,このサイクルを回し続けるのです。
~中略~
料理でも,どのような料理をつくりたいか,まず理想を設定する。その料理を作るために必要な食材を準備したり,実際に調理をしたりして,理想実現方法を実行する。出来上がった料理が,想定していた理想と異なれば,どこが悪かったか分析し,次回に向けた対策を立てる。学習面以外にも適用できる考え方ですね。社会を生きていく上でとても重要な考え方だと思います。
~中略~
だから,勉強ができる子は,部活・習い事も器用にこなすことが多いんですね。理想設定→対策立案→対策実行→振り返り→改善のサイクルを回すことができれば,勉強以外のコツまで掴むことができるからですね。
出典:「自律した人のつくり方 自律化のテラックが家庭教育do’s and don’tsを紹介します」
http://terakinc.hatenablog.jp/entry/2015/12/17/050000
息子の料理は、レシピなどは見ずに、何度も失敗を繰り返しながら、やっと納得のいく味になっていくようです。失敗するたびに、どの調味料が多かったか、何が足りなかったかを振り返って分析し、次の料理に活かしていると言っています。まさに、理想設定から改善までのサイクルを繰り返しています。
息子になぜあの時、テストで好成績がとれたと思うか聞いてみました。すると、元々得意な国語や理科は、考え方や表現の仕方だから、問題さえ理解すれば埋められた、だけど漢字や算数の分からないところは埋めることができなかったと言っていました。私は、理科の知識に関しては、図鑑や自然科学のテレビ番組などの情報の蓄積が役立っているのではと思っています。