通信販売は返品やトラブル回避が可能なのか?
今や大多数の人が利用できる通信販売は、なくてはならない存在です。自宅にいながらお目当ての商品が手軽に購入できるので、何らかの理由で外に出る事が困難な方でも利用できます。
しかし、この手軽な購入手段が、時としてトラブルを生みます。
『紹介されていた商品と違うものが届いた』『1個でいいのに何個も届いた』『商品の質が悪すぎる』というトラブルは後を断ちません。
購入者側からしますと、そういう商品は返品したいと思うものですが、実際の所返品不可能な場合が多いのです。
なぜでしょうか?
それは、返品を可能にしているクーリングオフ制度の内容によるものです。
本来返品を可能にしている制度が、逆に返品を不可能にしているのです。
こんな事ってあるのでしょうか。
もしそうなのであれば、通信販売利用後におきてしまうトラブルは避けられない事になってしまいます。
何とかしてトラブルを回避する方法はないのでしょうか。
答えはあります。回避する方法や返品する事は十分可能なのです。
通信販売で返品ができない理由
どうして『返品できる制度』が返品できない理由になっているのでしょうか?
それはクーリングオフ制度の内容によるものです。
本来、クーリングオフ制度とは『業者が突如訪問し、消費者が購入の判断ができない状態で物品を購入してしまい、後日消費者が再考をして一定期間内なら返品ができる』という制度です。
これらの場合は、不意による販売になり、消費者は不利な状況で契約してしまうケースが多いです。
その際、返品がきかないと、自分の意思とは反して高額な請求を受け入れる事になってしまいます。
こういうトラブルを避ける為に、一定期間内なら返品できるようにしたのがクーリングオフ制度なのです。
ですから、これらの条件が当てはまらない場合は、クーリングオフ適用“外”になってしまうのです。
3つの理由のために通信販売でクーリングオフがきかない
通信販売は原則としてクーリングオフはききません。
その理由は以下の通りです。
購入は自己責任
通信販売の場合は、“不意による業者の販売”が適用されません。
消費者には写真や画像を見て商品を熟考する時間が与えられていますので、購入はしっかりとした判断によるものとされます。そのため、クーリングオフ制度という法律は当てはまらないのです。
消費者がリスクを承知
通信販売のメリットは、自宅にいながらのショッピングが可能という所です。しかし、それは商品を直に見ないで購入する事になります。『実際に手にとり、目で確かめる事ができない』という事を、消費者側は承知している事になります。そういうリスクがあるという事を消費者側が承知している以上、返品する事が難しいのです。
消費者は不利な立場ではない
消費者が不利な立場に追い込まれた時(訪問販売、電話勧誘販売、マルチ商法、キャッチセールス等)は、クーリングオフ制度は適用されます。しかし、通信販売は消費者に不利な立場とはいえません。
商品の写真や画像を見て『買おう』という意思のもと購入しているので、極論から言いますと“自主的”な買い物になるのです。
通信販売業者と消費者を取り持つ新たな政策
上記の3つの理由ゆえに、通信販売においてはクーリングオフがききません。しかし、それだと悪質な通信販売業者が野放し状態になってしまいますので、クーリングオフに類する決まりが定められました。
平成21年12月1日より施工されていますが、販売元には『返品ができるかできないか』『返品をするための条件(送料の負担等)』などの返品特約を掲載する様に義務付けられています。
これにより、通信販売でも返品が可能になるようにしています。
ただし、業者側が『返品には応じられません。』と掲載してしまえば、それが特約になってしまうので、返品は不可能になってしまいます。
通信販売を利用する前には、必ず返品特約をチェックする事が大事です。それに加えて『返品が不可能』な所は利用しない方が賢明でしょう。
クーリングオフの正しい理解&賢明な選択、それが失敗しない通信販売の利用
通信販売はクーリングオフがきかない購入方法です。
しかし、それは悪質な販売方法から消費者を保護しようとする目的があるためだったのです。決して理不尽な理由ではないのです。しかも、最近ではより通信販売を利用しやすくするために、クーリングオフ制度に類する政策も施行されています。通信販売利用者には、より購入しやすい環境が整っているのです。
通信販売でのトラブルを避けるには、『クーリングオフの正しい理解』と『販売業者の賢い選択』が大切です。この二つを踏まえて通信販売を利用するなら、トラブルや失敗を防ぐことができるでしょう。