治療開始から終了まで、歯列矯正の流れ
できるだけ早期に、6~10歳で治療をスタートさせるのが望ましいとされている歯列矯正。
矯正歯科で受けられますが、具体的にどんな流れで治療を行っていくのかとても気になりますよね。
歯列矯正の治療開始から終了まで、流れをまとめてみましたので参考にしてください。
ステップ1:急速拡大装置で、顎の骨を広げる
まずは永久歯がきれいに整列して生えるようにする為に、土台となる顎の骨を整えることから始めます。
それには急速拡大装置(ラピッドエキスパンジョン)が用いられます。
急速拡大装置は歯に引っ掛ける金属製バンド・中心に位置する拡大ネジ・双方を繋げるワイヤーの3部品から構成されているのが特徴です。全体を見ると蝶々のような形をしていますが、それ以外にも色々なバリエーションがあります。
この装置を上顎もしくは下顎に装着し、少しずつ中心のネジを回していくことで、顎骨の拡大を図ります。
装置装着から3~4日間は違和感や食事時に痛みが生じることもありますが、徐々に慣れていきます。
顎骨は約1か月で広がりますが、その後しばらくは装置をつけ続ける必要があります。
理由は早々に外してしまうと、せっかく広がった顎骨が元に戻ってしまうからです。それを防ぐために、約半年間は装置の装着を持続しなければなりません。
ステップ2:永久歯が揃ったら、矯正器具を装着
顎骨が広がって定着したら急速拡大装置を外し、永久歯がすべて生え揃うまで待ちます。
生え揃ったら、いよいよ矯正器具を用いた本格的な治療が始まります。矯正方法や器具には以下のようには色々な種類があり、症状に合わせて使い分けがされます。
それぞれの長所や短所、特徴などを理解しておきましょう。
【ブラケット矯正】
ブラケットと呼ばれる器具を歯の1つ1つに接着し、そこにワイヤーを通すことで歯列矯正を図る方法です。全体的な歯並びを整えるために行われます。素材はステンレスやスチール・チタンなどの金属のほか、目立たない白や透明のセラミック・プラスチックがあります。
金属のものは丈夫で安いという長所がありますが、見た目が良くないのが欠点です。
白や透明のセラミック・プラスチックのものは審美性に優れますが、金属のものより強度が劣り値段も高めです。
【リンガル矯正】
舌側矯正や裏側矯正とも呼ばれる方法であり、主に前歯の矯正をするために行われます。
ブラケット矯正と仕組みは同じですが、歯の裏側に矯正器具を取り付けるという特徴があります。
口を開けても治療中とバレないメリットがありますが、会話がしにくい、仕上がりは歯科医の腕に左右されるといったデメリットがあります。
【ヘッドギア】
ヘッドギアは、ヘッドキャップ・スプリング・フェイスボウ等でできており、上顎前突症(出っ歯)を防ぐために装着する装置です。一日10~12時間ほど装着する必要があり、装着時間が長ければ長いほど効果的とされています。
かなり目立つため嫌がる子供も多いですが、人前に出る時は外す、家の中での装着に限定するなど、精神的負担を軽減させる方法はあります。
【バイトプレート】
バイトプレート(咬合挙上板)は、噛み合わせが深すぎる過蓋咬合を改善する目的で用いられる器具です。上顎の天井部分を高くする役目をもった厚みのある樹脂プレートに、歯を引っ掛けるワイヤーが埋め込まれた構造になっています。
【マウスピース】
マウスピースは軽度の反対咬合(受け口)の治療に適しているとされる矯正器具です。
透明で取り外しができる、歯磨きしやすい、痛みがない、見た目を気にしなくて済む等さまざまなメリットがありますが、矯正力が強くないため重度の反対咬合には向きません。
ステップ3:矯正器具を外し、リテーナーを装着する
矯正器具の装着期間は約2年です。
歯並びが改善されたことを確認できたら器具を外します。器具を外した後はレントゲン撮影などの検査で顎や歯の状態をチェックし、問題がなければリテーナーを装着します。
リテーナーとは後戻り防止装置のことであり、歯並びが元に戻ってしまうのを防ぐ効果があります。
リテーナーを装着したら、3ヶ月~1年に一度のペースで矯正歯科にメンテナンスに行きましょう。
装着期間は1~2年が目安であり、これが終われば装置を外して治療完了となります。