出っ歯に有効な治療方法はたくさんあります
不正咬合には色々な種類がありますが、そのうちで出っ歯は特に厄介なものです。
機能的な問題もありますが、一番大きな問題はやはり『見た目』でしょう。出っ歯がコンプレックスになってしまい、性格やメンタル的な部分に少なからず影響を及ぼすからです。
しかし歯科技術が進歩している現代において、出っ歯は決して不治のものではありません。
有効な治療方法が色々あり、劇的に改善した症例もたくさんあります。生まれつきのものだから等と諦めずに、自分にとってベストな治療方法を探しましょう。
オーバージェットが5~6mm以上だったら出っ歯
出っ歯という言葉は俗称であり、正式名称は上顎前突症といいます。
噛み合わせの悪さつまり不正咬合の一種で、前歯や上顎の骨が前方に突き出している状態のことを指します。
数値で表す場合、オーバージェットが5~6mm以上だったら出っ歯と診断されます。
オーバージェットとは、上顎中切歯と下顎中切歯(上下の前歯のことです)の前後の距離のことです。
正常値の目安は2~3mmですから、見た目で判断がつきにくい場合は実際に測ってみましょう。
※歯科では、+5mmといった具合に、数字の前に+をつけた形で表記されます。
生まれつき(遺伝)だけが原因ではない
出っ歯は生まれつきのものという認識の方が多いですが、遺伝だけが原因になるわけではありません。
乳児期におしゃぶりを使っていたり、指吸いや爪噛み・口呼吸のクセがあったりすると、出っ歯になりやすいことが判っています。
顏の骨格や歯の大きさといった体の特徴は、親から子へと遺伝するものです。
ですからもし自分や両親など身内に出っ歯の持ち主がいる場合は、子供にこういった悪習慣やクセを身につけさせないよう、特に気を配ってあげる必要があります。
虫歯、歯周病、顎関節症などに罹りやすくなる
出っ歯は見た目の悪さだけでなく、健康面の問題や機能的な問題をも生じさせます。
口を完全に閉じることができないので、口の中が乾きやすくなり虫歯や歯周病に罹りやすくなります。
ドライマウスは、「唾液による再石灰化で初期虫歯を治す」という自己治癒的効果の妨げになるためです。
その他にも噛み合わせに影響するため、頭痛、腰痛、肩こり、首こりといった体の不調が起こったり、厄介な顎関節症に罹りやすくなってしまいます。絶対に罹るとは限りませんが、人によってはこれらリスクを抱えていること自体に不安やストレスを感じてしまうこともあるでしょう。
歯列矯正、差し歯、マウスピースなどで治療する
出っ歯の治療法のうち最も代表的なものが歯列矯正です。
歯列矯正の治療は本来、顎の骨が柔らかく歯を移動させやすい子供のうちに受けるのがベストですが、大人になってからでも受けることができます。
前歯のみが突き出ている場合は、前歯だけに矯正器具を装着する部分矯正によって治療を行います。
歯や歯茎・顎の骨が全体的に前方に突き出ている場合は、小臼歯を抜きワイヤーを歯に通すブラケット治療などが適用されます。歯が大きくて矯正の邪魔になる場合は、移動スペースを作るために削って小さくすることもあります。
結婚式が控えているなど早急に治したい事情がある場合は、差し歯治療という方法があります。
ただし歯の神経を抜くなど体に負担の大きい治療となるので、受ける前によく検討することが大切です。
早ければ1~2ヶ月で治療完了できますが、歯茎の突出までは改善できませんので注意しましょう。
症状によっては手軽なマウスピースでの矯正が可能なこともありますので、歯科医によく相談しましょう。