ドラマのように円満解決しない…同居生活はストレスまみれ?
テレビドラマの定番と言えば、やはりホームドラマでしょう。視聴者の共感を得やすく、なおかつ憧れるような展開が続くホームドラマには、理想の家族像と理想の人間関係が投影されているのです。
しかし、現実はドラマほど上手くいくものではありません。ドラマのようなご都合主義が入り込まない現実では、人間関係のもつれは早期に解決できないと最悪の結末を迎えることに繋がりかねません。
特に、結婚によって生じる配偶者の親との同居生活は、そんな人間関係のもつれと多大なストレスを生み出す原因にさえなってしまうのです。
結婚で発生する義理の親子関係はストレスの元
それぞれの家庭事情もありますが、多くのカップルは結婚すると配偶者の親とも義理の親子関係が作られることになります。>
「子は親を敬うもの」「老いては子に従え」という道徳観を共有できれば円満な人間関係が醸造されていくのですが、「親子でも上下関係は絶対」という考え方を親世代が持っていると、とたんに人間関係はもつれていく上に、大きなストレスを子供世帯にもたらすことになります。
ストレスをじわじわ溜める「嫁いびり」
既婚女性にとって、姑からチクチクと繰り返される「嫁いびり」はとてつもないストレスの源になるものです。
ドラマでよく見る、障子や窓の桟を指でなぞって「まぁこんなにゴミが」というのはジャブ程度で、「ご近所に嫁のある事ない事言いふらして鬼嫁に仕立てる」「嫁の持ち物を無断で捨てる・売る」「嫁の作った料理を食べる前に捨てる」という具合に、犯罪ギリギリの嫁いびりさえあるとかないとか。
いわゆる「スープの冷めない距離」を離して暮らしていても嫁いびりは発生するので、年がら年中顔を合わせることになる同居生活では嫁いびりの頻度は計り知れないものになり、ストレスも爆発的に増加することになっていくのです。
血の繋がりはなかなか捨てられない
このような嫁いびりに遭遇した時、子供世帯が取るべき最善の行動は「同居の解消、独立」に限ります。生まれも育ちも価値観も違う他人同士の距離を下手に近づけるから、軋轢が起こってしまうのです。
しかし、嫁いびりがあってもなかなか別居に踏み切れない夫は意外に多いものです。なぜなら、自分の配偶者と自分の両親を秤にかけると血のつながりがある自分の両親の方が重いと考える人は結構な数で存在しているからです。
それに対して配偶者との関係は婚姻届・離婚届の紙一枚でつながっているため、「親と断絶するより配偶者と断絶した方が世間体は悪くない」と打算で親を取り、配偶者のストレスをさらに増大させてしまうこともしばしばです。
舅・姑が良い人でもストレスはたまる
同居生活の難しい所は、たとえ舅・姑が嫁いびりをしない人格のできた人であってもストレスが溜まるものです。
良識を持った人同士の付き合いというものは、基本的に譲り合いの精神や思いやりの精神を強く働かせる事で成り立っているもので、「どうすれば相手は喜ぶか」「どこまでなら相手は受け入れてくれるか」というラインを考えながら行動しなければなりません。
「嫁いびりでストレスを溜める」のと「気遣いでストレスを溜める」のとでは、その辛さは比べ物にならないほど違うものです。嫁いびりなら報復する大義名分も立ちますが、人間関係をより円滑にしようとしてのストレスでは拳の振り上げようも振り下げる場所もないので気疲れしてしまうのです。
増える介護のための同居
高齢社会への突入と同時に、親世帯の介護の為に同居生活を始めざるを得なくなった家庭は年々増加しつつあります。介護付き施設は長蛇の列が出来るほどの空き部屋待ちが続き、自宅介護で乗り切ろうとする家庭も少なくありません。
もしもお嫁さんが結婚前に介護施設で働いていた、介護資格取得済みだった、看護師として働いているといった条件を満たしていると、介護のための同居を親世帯から迫られやすくなるのです。
このような介護前提の同居の場合、配偶者は介護に手を出さず全て嫁任せにしてくるケースが目立つものです。手は出さない癖に、「お前の介護の仕方は雑だと父さん(母さん)が言っていた」と介護に口出ししてくることもしばしばです。
このような配偶者の無理解とお節介も、同居生活によるストレス源の一つなのです。