中野の街を歩いてみよう!
JR中野駅北口を出ると中野サンモール商店街が続いています。その奥には中野ブロードウェイがあります。ここは「サブカルチャーの聖地」として有名です。
ところで、「サブカルチャー」略して「サブカル」とは一体何なのでしょうか?文学や美術など、多くの人たちに支持される主流文化に対して、一部の人たちの間でしか支持されない文化を「サブカルチャー」といいます。アニメやマンガ、ゲーム、SF、オカルトなどが一般にサブカル扱いされます。
サブカルに興味を示すのは主に若者です。彼らに人気のスポットが中野ブロードウェイなのです。
サブカルチャーの聖地!中野ブロードウェイ
「サブカルチャーの聖地」といわれる中野ブロードウェイですが、サブカル系の店舗だけでなく、理髪店や薬局、衣料店など、サブカル系以外の店舗もたくさんあります。とにかく店舗が密集しているので、初めて訪れる人は現在地や目的地を見失いがちです。
迷わないためにも、無料の『中野ブロードウェイ ガイドブック』を入手しましょう。ガイドブックは南口近くの案内所でもらえますし、各所に設置されています。では、ブロードウェイ内の店舗を紹介していきましょう。3Fと4Fを中心に歩き回ったみみずくが、気になったお店を取材してきました。
まんだらけ 中野店
中野ブロードウェイの1Fから4Fの各フロアに店舗を構えるのが「まんだらけ」です。
「漫画専門の古書店」と紹介されることの多いお店ですが、取扱商品の幅は広く、マンガやアニメグッズ、同人誌、フィギュア、セル画、コスプレ衣装など、サブカルを語る上で欠かせないものを網羅しています。
激レアな古書やアンティークグッズから、最近発刊されたコミックやCD・DVDまで、「時を司る集団」を自称するに恥じない品ぞろえです。また、各階の店舗ごとに取扱商品が細分化されていて、お客さんは自分の欲しいものを見つけやすいのが特徴です。
まんだらけは、大人から子どもまで楽しめるお店として、中野ブロードウェイの中核を担っています。今回、まんだらけのスタッフさんに、代表的な店舗を案内していただきました。
まんだらけ 変や
4Fへ通じる中野駅側階段を昇ったところにあるのが「まんだらけ 変や」です。赤い鳥居のインパクトが強く、初めて変やを訪れる人はびっくりすることでしょう。取扱商品は、昭和レトログッズやアンティークグッズなど、懐かしさを感じさせるものばかり。
連続鳥居をくぐって入店すると、昭和時代にタイムスリップしたかのような錯覚に襲われます。私が商品を眺めていたとき、「お探しの物はございますか?」と店員さんが声をかけてくれました。人情味ある接客サービスも、お店の雰囲気にマッチしていました。
まんだらけ スペシャル6
「まんだらけ スペシャル6」は、2014年10月25日、4Fにオープンした新しい店舗です。変やの斜向かいにあります。取扱商品は、超合金やガンプラなど、ロボットTOYに特化しています。ショーケースに並んでライトアップされるロボットたちが壮観ですね。
お客さんには、成人男性が多く見られました。子どもの頃に好きだったロボットを、大人になっても愛し続けているということでしょうか?一方、カップルで入店するお客さんの姿も。
「あのガンダム、カッコイイよね!」などと言いながら、若い男女がまんだらけデートしている様子は微笑ましいものがありました。
まんだらけ 本店
ユニークなオブジェが印象的なのは「まんだらけ 本店」です。少年漫画や少女漫画を中心に、全国でも有数の在庫数を誇る漫画専門店です。「最新のコミックだけでなく、少し前に発売されて、今では一般書店に並んでいないコミックも取りそろえています」と話すスタッフさん。
欲しいコミックがあるけれどもうどこにも売っていない・・・そんな悩みを抱えている人は、まんだらけ本店を覗いてみることをお勧めします。また、お店の前には、立ち読み自由な100円本コーナーがあります。1冊100円の本も3冊だと200円で大変お買い得!
「こちらは、まんだらけの中でも特に人気のコーナーです。毎回ふらっと立ち寄って、本を買っていかれるお客さんも多いですね」とスタッフさんに説明していただいている間も、新しいお客さんが足を止めていました。
営業情報
フロア:1F・2F・3F・4F
営業時間:12:00~20:00
定休日:年中無休
URL:http://www.mandarake.co.jp/
GALLERY リトルハイ
「小さくてコンパクト(LITTLE)な空間の中で高い価値の贅沢で上質な(HIGH)アートに誰もが出逢えるように」をコンセプトにしたレンタルギャラリーが「GALLERY リトルハイ」です。
私がリトルハイを訪れたときは、ちょうど「諸星大二郎 原画展」が開催中でした。諸星大二郎先生といえば、『西遊妖猿伝』『妖怪ハンター』などの代表作がある漫画家です。その個性的な発想と画風は、マンガの神様・手塚治虫に「天才」と言わせたほど。そんな諸星先生は、熱狂的なファンから支持され続けています。
今回の原画展は、『文藝別冊 諸星大二郎 マッドメンの世界』(河出書房新社)の出版記念イベントです。見どころは、『マッドメンの世界』に収録されている描き下ろしマンガ「追跡ルポ 波子を探して」の生原稿と、初の現地取材に赴いた諸星先生がパプアニューギニアで描いたスケッチです。また、既刊本や関連グッズも販売されていました。
「1970年代の『マッドメン』の原稿と2015年に描かれた原稿とで、諸星先生の画風が全く変わっていないんです。諸星先生は40年間漫画家を続けていらっしゃいますが、しっかり自分を確立されているんですね。そういう視点で原画展を見ていただくと面白いと思います」と話すのは『マッドメンの世界』編集担当者さん。
諸星先生の過去の絵と現在の絵とを比較しながら鑑賞できる貴重な展覧会でした。諸星先生のファンである私は、一つ一つの展示物に目が釘付けになってしまいました。
「諸星大二郎 原画展」は2015年6月8日で終了しましたが、その後もリトルハイではさまざまな作家さんの作品が展示されます。詳細は、公式HPで確認してください。また、諸星先生の原画展は、2015年7月には関西へ巡回予定です。関西のファンの方はぜひ足を運んでみてください。
営業情報
フロア:4F
営業時間:12:00~19:00
定休日:不定休
URL:http://www.little-high.com/
タコシェ TACO ché
サブカル愛好家の間では有名なお店が「タコシェ TACO ché」です。タコシェでは、一般の書店ではあまり流通していない書籍やCD、雑貨などを取りそろえています。ミニコミ誌などのマイナー商品も豊富で、「こんなのがあるの?」という驚きとともに、ディープな世界にのめり込んでいく感覚を楽しめます。
一方で、丸尾末広や花輪和一、駕籠真太郎といった、アングラ漫画界の重鎮たちの作品も充実しています。他では手に入らない海外出版物やサイン本、オリジナルグッズはマニア垂涎です。店内イベントも不定期で開催されます。
2015年5月には、奇想漫画家・駕籠真太郎先生の『Panna cotta (TH ART Series)』(書苑新社)が刊行されたのを記念して、「駕籠真太郎 原画展示販売会」が開催されました。店内には、貴重なモノクロ原画の数々が展示されました。会期中に行われたサイン会は、たくさんのファンが詰めかけて大盛況だったそうです。
約1万点の商品がずらっと並ぶ本棚や陳列棚は、サブカル愛好家なら、眺めているだけで心躍ります。実際に商品を手に取って品定めし、欲しいものは思い切って購入することをお勧めします。
営業情報
フロア:3F
営業時間:12:00~20:00
定休日:年中無休
URL:http://tacoche.com/
昭和レトロ懐かし玩具専門店 ガオッチ
ウルトラマンや仮面ライダーのソフビ人形、SDガンダムのガシャポン人形、ビックリマンシール、メンコ、お面、昭和アイドルのプロマイド写真・・・昭和レトロ懐かし玩具専門店「ガオッチ」には、思わず「懐かしい!」と声を漏らしてしまうグッズがショーケースにずらっと並んでいます。
30代以上の大人にとっては、自分が子ども時代に遊んだものばかりです。当時の思い出に浸りながら商品を眺めていると、どれもこれも欲しくなってしまいます。お客さんの中には、若い世代や子どもも多いそうです。彼らは、親から話を聞いて、昭和グッズの存在を知ります。昭和の魅力は、親から子へと受け継がれているのです。
ガオッチで買い物するときは、店長さんにもぜひ声をかけてみましょう。まず驚かされるのがその知識の豊富さです。探し物をしているお客さんには、たとえば「ビックリマンシールで●●が欲しいなら第何弾」などとアドバイスしてくれます。次に、そうした知識に裏付けられた世間話がとても面白いのです。
オモチャの話や昭和アイドルの話など、店長さんが情感を込めて話してくれます。お客さんは、時が経つのも忘れて話し込んでしまうので要注意です(笑)。ガオッチは、昭和グッズならほとんど手に入る品ぞろえと店長さんのお人柄を楽しめるお店です。
営業情報
フロア:3F
営業時間:12:00~20:00
定休日:年中無休
フィギュア専門店 ロボットロボット
国内外のフィギュアやキャラグッズの販売・買取を行う専門店「ロボットロボット」は、ブロードウェイの2Fと3Fに3店舗を構えています。
今回私が訪れたのは3Fの2号店でした。こちらの店舗では、モンスターズインクやタートルズ、ディズニーなど、アメリカの人気キャラクターグッズを主に扱っています。お客さんは、自分の好きなキャラクターをショーケースや陳列棚で見つけると立ち止まり、じっくり品定めしていました。
商品の品出し・陳列を行うため、店員さんは慌ただしく店内を動き回っていました。一方で、お客さんに対する気配りを決して忘れない雰囲気にホッとさせられます。
「欲しいものがありましたらお見せしますよ」と言う店員さんに、「でも、見てしまうと絶対に欲しくなるって分かっているので、ちょっとためらっているんです」とお客さんが答えていました(笑)。
ロボットロボットでは、毎日、お客さんとフィギュアの運命的な出会いが生まれているのです。
営業情報
フロア:2F・3F
営業時間:12:00~20:00
定休日:年中無休
URL:http://www.robotrobot.com/hub/
PARABOX 中野ブロードウェイ店
「人形」と聞くと、思わず身構えてしまう人も多いのではないでしょうか?アンティークドールやビスクドールを扱うお店は入りづらいし、オタク御用達の人形専門店に入るのもちょっと・・・そんな思いを抱いている人でも安心して入れるのが、「PARABOX」中野ブロードウェイ店です。
PARABOX店内に入ると、明るい空間と心地よい香りに包まれます。「人形」という言葉からイメージされる古めかしさやアングラ感が見事に払拭されます。初めて入店した私が「ここはコスメショップなのかな?」と錯覚してしまうくらい清潔感に溢れていました。
「ここには、年齢も性別もバラバラのお客さんがいらっしゃいますね」と笑顔で話す女性店員さん。彼女になら、自分の愛する人形のことを安心して相談できますね。
お取扱商品は、カスタムドール本体に加えて、ボディやヘッドなどのドール素材、ウィッグや衣装などの関連グッズです。PARABOXオリジナルデザインのドールたちは、誰もが手に取ってしまいたくなる美しさ・可愛さを備えています。
ドールファンはつい見とれてしまうことでしょう。大小様々のキューピー人形も気になりますね。完成品だけでなくさまざまな素材を入手できるので、「自分だけのドールが欲しい!」というファンにも嬉しいお店です。
営業情報
フロア:3F
営業時間:12:00~19:00
定休日:年中無休
URL:http://www.parabox.jp/index.html
中野貴雄の進化するCafe&Bar!大怪獣サロン
中野ブロードウェイを散策していると、あっという間に数時間経ってしまいます。楽しいひとときに満足してふと時計を見ると午後3時!どこかでランチを食べようと思っていたのに、おやつの時間になってしまった!飲食店がどこも開いていない!!
そんなときは、ブロードウェイ北口を出て、薬師あいロード商店街を歩いてみましょう。ここには、午後から営業開始する「大怪獣サロン」があります。
大怪獣サロンは、『ウルトラマンギンガS』『ウルトラマンX』の脚本も手がける映画監督・中野貴雄さんがプロデュースするCafe&Barです。マンションの地下1階に店舗を構えています。入り口前にピンクの怪獣が立っているので、すぐに場所は分かるはずです。この怪獣は、怪獣ホステス・ムーチョです。
営業時間は通常15時~23時。以前は、毎週水曜日と毎月第2土曜日にレンタルスペースで営業していました。2015年3月11日に新装開店した後、毎日営業となりました。
飲食店が休憩時間に入る平日の午後に開店するので、ランチ難民となった観光客やサラリーマンにも嬉しいお店です。
人間体のムーチョさんが中心となってお店を切り盛りしています。曜日によって他のスタッフも入ります。中野貴雄さんと会えるのは毎週水曜日です。お客さんは、小さな子どもから「大きなお友達」まで、多彩な顔ぶれです。特撮やオモチャに詳しい人が多く、そちらのジャンルに興味のあるサブカル好きは話が盛り上がることでしょう。
各界の重鎮や有名人が来店することもあり、何気ない会話を交わした人が実は・・・ということもしばしば。怪獣だけでなく人との出会いも楽しめます。では、早速お店に入ってみましょう。
怪獣たちと遊ぼう!
平日夜と土日祝日は混雑する大怪獣サロンも、平日の早い時間は空いています。ゆったりとランチを楽しみながら、スタッフさんと会話したり、大画面テレビで流れている特撮やアニメを鑑賞したりできます。
店内の至るところに怪獣ソフビ(ソフトビニール製人形)が並んでいます。「みんなに見てもらったり遊んでもらいたくて、スタッフがソフビを持ち込むんだよね」と苦笑いするムーチョさん。お客さんが飲食するためのスペースにもソフビが進出しています(笑)。
入り口のところに設置されたショーケースには、大怪獣サロン自慢のオリジナルソフビが陳列されています。写真のソフビは、日本テレビ『ST 赤と白の捜査ファイル』で大活躍したガッキーくん。カラフルなガッキーくんはどれも可愛らしいですね。ガッキーくんの生みの親であるピコピコさんも大怪獣サロンのスタッフなのです。
店内奥に見える怪獣のマスクは着用可能!
私も、怪獣ゲロゲラーに変身して、ムーチョとツーショットを撮ってきました!
楽しく飲んだり食べたりしよう!
大怪獣サロンは、終日チャージなし・飲食代だけで楽しめるお店です。18時まではランチ営業、18時以降はバー営業となります。営業時間によってサービス内容に変わりはありませんが、バー営業時間のときは、全てのドリンクが800円になります。では、飲食メニューを見てみましょう。
ドリンクメニュー
ドリンクは、アルコールとソフトドリンクがあります。ビールやサワーなどの定番から、オリジナル大怪じゅーすまでそろっています。私は、オリジナル大怪じゅーすを注文してみました。
左が「銀河サイダー」。サイダーの中に浮かぶ星屑がとても綺麗です。右が「コイジャラスジンジャー」。辛口ジンジャエールの底にコイジャラスの卵が沈んでいます。「コイジャラスって何?」という質問が飛んできそうですね。
コイジャラスというのは、ピコピコさんが生み出した怪獣の名前です。他にも、「ロシアンムーチョ」「ベッコスメロン」「ツノゴンゆず」という大怪じゅーすがあります。大怪じゅーすはお酒入りにもできます。怪獣の名前を冠したお酒でほろ酔い気分になってみてはいかがでしょうか?
フードメニュー
フードは、500円のおやつ・おつまみと、800円のお食事があります。お食事メニューは、満腹感を味わえるガッツリ系!定番の「大怪獣カレー」「チーズパスタ」に加えて、日々メニューが増えています。「今日は『大怪獣ドリア』があるよ!」というムーチョさんの言葉に心惹かれて、私は「大怪獣ドリア」を注文。
実は、プラス200円で大盛りにできます。というわけで、大怪獣ドリアの大盛りを注文したら、大きなどんぶりに入った、チーズたっぷり・焼きナス入りのドリアが出てきました。
これがまた美味しい!そして、ボリューム満点!!普通の飲食店の大盛りメニューでは満足できない私も、大怪獣サロンではいつもお腹いっぱいになります。
ただ、食の細い人は、大盛りを注文すると食べきれない可能性があります。自分の食欲と相談しながら、お食事を楽しんでください。
営業情報
住所:東京都中野区新井1-14-16 ライオンズマンション中野第5 B1F
営業時間:15時~23時(ラストオーダー22時)
定休日:毎週月曜日
(ただし、イベントなどで休みの日は変わります。下記URLでチェックしましょう)
URL:「小悪獣ムーチョの日記」http://blog.livedoor.jp/besamemuchomucho/l
中野の街を歩き終えて・・・
今回は、中野ブロードウェイと大怪獣サロンを中心にサブカルスポットを紹介しました。こうしたスポットの影響もあり、中野の街全体がサブカル色に染まりつつあります。飲み屋街となっている路地裏でも、面白い看板や特撮ヒーロー・アニメキャラの人形を見かけました。
JR中野駅前は再開発の流れで整備されていますが、「サブカルチャーの街」としてのカオスな雰囲気は今後も残っていくのでしょう。サブカル好きは、ぜひ中野へ足を運んでみてください。