世界一周ってできるの?
私が子供のときに大好きだった本で、「80日間世界一周」という本がありました。著名なSF作家、ジュール=ヴェルヌによって書かれた物語です。
ストーリーをわかりやすくいえば、「イギリスの大金持ちの主人公・フォッグが、賭けに勝つためにあらゆる交通手段を用いて80日間で世界を一周する」という話です。世界の色々なところで、様々な出来事に遭遇するわけですが、そのたびに「次は何が起こるのだろう」とどきどきしたことを覚えています。
ちなみにこの本が書かれたのは1872年、19世紀です。「80日間世界一周」の主人公、フォッグは資産家だったので、世界を旅することも叶いました。
しかし、当時の一般の市民にとっては、海外どころか、自分の国の中での移動すらままならないことがほとんどであったはずです。そんな時代に世界を旅行するという小説を書いたのは、画期的なことであったに違いありません。
さて、時はあっという間に過ぎ、今は21世紀になりました。
電車・車・船・飛行機とあらゆる交通手段はテクノロジーの力により発展し、快適に移動をすることができるようになりました(一部、快適じゃないこともありますが)。
また、日本に住む私たちにとっては、経済の発展・海外旅行の原則自由化により世界の様々な場所に行くことができるようになりました。
現実的には、日本人に対するビザの発給が困難であったり、紛争地帯であったりと様々な理由で足を踏み入れることができない国や地域はたくさんあります。それでも、「自由に世界を飛び回ることができる」と言っても過言ではありません。
そこで、こんなことを思ったことはありませんか?
「世界一周ってできるのかな?」
と・・・。旅行することが嫌い、という人はともかくとして、旅行が好きな人なら誰でも一度は夢見たはずのこの願い。現実的にはどうなっているのか考えてみました。
そもそも、世界一周の定義って?
まず、世界一周の定義について考えてみましょう。
世界一周というとどうしても「世界中のあらゆる国をめぐること」と思うかもしれません。
でも、現実的にこれは不可能に近いといっていいでしょう。
先ほども述べたように、紛争地帯であったり、北朝鮮のように一般人が入ること自体が簡単にできなかったり、と「足を踏み入れることができない」場所は確実にあるからです。
じゃ、世界一周はムリかというと、そうではありません。
・太平洋と大西洋を横断すること
・南極大陸以外の5大陸のそれぞれ1都市以上をめぐること
・全ての経線を通過して4万km以上の移動をすること
・太平洋と大西洋を横断し8カ国以上をめぐること
・太平洋と大西洋を各々1回のみ渡って出発地に戻ること
どうもこれらの条件のうち、どれか1つでも達成すれば、「世界一周した」ということをいっても良いそうです。
これらの定義をよく読んでみたら、「太平洋と大西洋を各々1回のみ渡って出発地に戻ること、ならなんとなくやれそうじゃん・・・」と思いませんか?
そこで、「世界一周=太平洋と大西洋を各々1回のみ渡って出発地に戻ること
を条件として、話を進めていきたいと思います。
●世界一周航空券って?
現実的に実行できそうだ、と思ったら、次に気になるのはお金のことです。世界一周をする場合、当然それに見合った航空券を手配することになります。
実は「世界一周航空券」と呼ばれるものがあるんです。
「世界一周」という名前のせいか、電車の周遊券のように、好きな場所で乗ったり降りたりできるチケットを想像するかもしれませんが、現実は違います。
あらかじめ、先ほどいった「太平洋と大西洋を各々1回のみ渡って出発地に戻ること」の条件を満たすルートで滞在地を決め、それに見合ったフライトを組み合わせて作ってもらう航空チケット、と考えるとわかりやすいでしょう。
世界一周の見積もりはアライアンスごとに
これを読んでいる皆さんの中には「アライアンス」という言葉を聞いたことがある方が多いはずです。
これは「航空会社の提携連合」ともいうべきものなのですが、世界一周航空券はこのアライアンスごとに発売されています。
例外もありますが、最近はアライアンスごとの世界一周航空券が主流のようです。
つまり、旅のスケジュールはそのアライアンスに属する航空会社のフライトを組み合わせて決まります。
アライアンスの例としては、日本の全日空が加盟する「スターアライアンス」、同じく日本航空が加盟する「ワンワールド」、台湾のチャイナエアラインや韓国の大韓航空が加盟する「スカイチーム」などが挙げられます。
「自分はどこの国に行って何をしたいのか」ということをあらかじめ決めた上で、チケットを手配してくれる代理店に頼めば、自分が納得のいくチケットを購入できるでしょう。
なお、気になる航空券のお値段ですが、アライアンスによって料金体系が異なります。
行った大陸の分だけ料金がかかる「大陸制」を採用している場合と、総飛行距離の分だけ料金がかかる「マイル制」を採用している場合があるためです。
先ほどの3大アライアンスでいえば、スターアライアンスとスカイチームがマイル制、ワンワールドが大陸制を採用しています。
最安値はスターアライアンスが344,200円、ワンワールドが335,000円、スカイチームが400,600円からとなっています。
「それぐらいならいけるかも・・・」というお値段だと思いませんか?
●実際に、世界一周航空券を使って旅した人の話を知りたい!
ここまで読んで「もしかしたら自分にもできるかもしれない」という希望を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。
でも、巷にあふれている世界一周旅行記は「1年以上海外に行っていました」と旅行期間が長いものが多いです。すごい人になると、3年や4年近くかけて世界を回っていた、ということもあります。
社会人はもちろん、学生の方でもそんな長い期間、旅行に行くのは現実的ではありません。
そして、そういう人はある意味「プロの旅人」になって戻ってきます。
単純に自分に重ね合わせて考えるのは難しいでしょう。
それでも、「あっ、でも1ヶ月くらいならなんとかなるんだけどな・・・」という方はいませんか?そうなったら、1ヶ月で世界一周した人の体験記を読んでおきたいところです。
ここでご紹介したいのが、イラストレーターの水谷さるころさんです。
・『30日間世界一周!1』(イースト・プレス)
・『30日間世界一周!2』(イースト・プレス)
・『30日間世界一周!3』(イースト・プレス)
・『35日間世界一周!! Part1 アジア編』(イースト・ブレス)
・『35日間世界一周!!Paet2 ヨーロッパ鉄道編』(イースト・プレス)
・『35日間世界一周!!Part3 南欧南米・世界遺産編』(イースト・プレス)
・『35日間世界一周!!Part4 南米・天空都市編」』(イースト・プレス)
・『35日間世界一周!!Part5 カリブ海リゾート&NY・ハワイ編』(イースト・プレス)
という、世界一周をした体験を執筆された本を出されています。
世界旅行を企画・執筆
さるころさんが世界一周にチャレンジすることになった経緯はこうです。
仕事のスケジュールが空いていた時、とある番組制作会社から「世界一周航空券を使って旅行をしませんか?」という企画を持ちかけられます。
その企画に対してさるころさんが出した提案は「厄年でついていないのでパワースポットをめぐって厄落としをしたい」というものでした。
その提案がみごと採用。
準備期間を経てさるころさんと担当ディレクター、プロデューサーが1ヶ月の世界一周に出かけるのですが、様々なイベント(トラブル?)に遭遇します。
そんな体験話を読み進めるうちに、最初に述べた「80日間世界一周」のごとく、「次は何が起こるんだろう」とわくわくしてくるのです。
さるころさんは、とても絵は上手です。間違いなくイラストレーターとしてはプロ中のプロです。でも、旅人としてはプロではないからこそ、面白いし、話に引き込まれるのかもしれません。
結局、「旅をするのに、プロである必要はない。ちょっぴりのお金とちょっぴりの時間があったら、実際に旅に出てみるのもいいかもしれないよ?」ということをこの本は語りかけてくれていると思います。
参考URL:http://www.amazon.co.jp/dp/4781601146
http://www.amazon.co.jp/%E6%B0%B4%E8%B0%B7-%E3%81%95%E3%82%8B%E3%81%93%E3%82%8D/e/B0087QOQJA
●まとめ
昔に比べると、世界一周はだいぶ身近なものとなりました。
世界一周航空券を使って旅に出る人も増えているようです。
世界一周といっても、防犯対策をしっかりする、保険には必ず入るなど注意すべき点をしっかりまもれば、決して怖いものではありません。
お金と時間の許す人は、いつかは世界一周にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。