バーチャルオフィスの住所で会社の登記を行う
会社を興して経営していくためには、必ず法人登記を行って会社の存在を公のものとしなければなりません。会社ではない個人商店規模の自営業が、開業届を提出しなければならないのと一緒です。
しかし、会社の場合は自営業よりも縛りが厳しく、自宅兼事務所で設立することが出来ない業種が多いのが起業家にとっての悩みどころと言えます。
自宅が法人登記に使えない
これは開業しようとしている会社のジャンルにもよるのですが、法人登記を行う際に本社の場所として自宅を指定することが出来ない場合があります。
特に自宅が賃貸物件であった場合、自宅を事務所兼用にしていいかどうかは店子ではなく持ち主である大家の判断で決まるので、うかつに自宅兼事務所で届出を出すと家を追い出されてしまう可能性も出てくるのです。
このような場合、事務所を自宅と別に用意しなければならず相当の出費を払わなければなりません。
自宅住所を登記と言えど明かしたくない
自宅が持ち家・持ち土地であり、業種ごとの制限をクリアーしていれば法人登記に自由に使えるということになります。しかし、自宅住所をつまびらかにするということはトラブルを招く原因にもなってしまいます。
会社を設立した時点で、会社の規模に関わらずあなたには「初代代表取締役社長」という肩書がついて回ることになります。
そして、「社長」という肩書には「お金持ち」というイメージも付いて回ります。もしも悪人があなたが社長であることを知り、自宅が事務所兼用であることまで突き止め、住所を知ってしまったらどういう結末に行きつくかは想像に難くないことです。
このような防犯上の理由もあって自宅を会社事務所に使いたくないという人もいるわけです。
自宅がダメならバーチャルオフィスで
このように自宅住所を使って登記出来ない場合は、バーチャルオフィスの住所を使って法人登記申請を行うのが一番です。
法人登記申請の際に記入した住所には公的な郵便物が送られてくることになるので、郵便転送サービスを使って自宅に届けてもらうことも忘れないようにします。
会社の電話番号も携帯番号だと信用性が無いので、電話代行サービスで自宅電話や携帯電話に転送してもらうようにしましょう。
バーチャルオフィスだと法人名義の銀行口座が開設出来ない
会社設立の際には、会社名義での銀行口座を開設・用意しなければなりません。会社名義の口座は経営開始後に使うだけでなく、申請した資本金が確かにあることを証明するためにも必要なのです。
しかし今は、バーチャルオフィスを本社住所として登記している場合、銀行口座を作ることは出来なくなっているのです。なぜかというとバーチャルオフィスを悪用すれば架空名義口座を作ることが出来てしまうからです。
架空名義口座は犯罪に利用されてしまうため、2003年から口座開設者の本人確認が出来ない場合は開設出来ないように法改正されていますが、バーチャルオフィスまでは手が行き届いておらずそこを付け込まれた形になってしまったのです。
その為、会社名義の口座は自宅住所で開設するか会社代表者名義の口座を使うかして作ることになります。
バーチャルオフィス住所での登記手続きの過程は?
バーチャルオフィスの住所を使っての法人登記手続きを行う場合は、特別な手続きや書類は必要ありません。定款などに記載する会社住所をバーチャルオフィスの住所にするだけです。
また、登記手続きが完了して会社設立出来た後にバーチャルオフィスに登記簿謄本の写しを提出しなければならない場合があるので、忘れずに謄本の写しを取得しておきましょう。