せっかく起業した会社を長続きさせるためには?
日本人の根底には「男に生まれたからにはいつかは一国一城の主」という思想があるもので、賃貸ではないマイホームの購入もそういった思想の賜物と言えます。
そして「一国一城の主」思想が最も大きく発露しているのが、起業家という存在です。人に使われる立場でなく、自分が人を使う立場になり大きな仕事をやり遂げようという功名心や使命感がないまぜになった気持ちが原動力になって自分の会社設立にまい進することになるのです。
バーチャルオフィスは、そういったがむしゃらに会社設立を目指す起業家にとって渡りに船の貸事務所となるのですが、会社が成長してバーチャルオフィスを出ていく人はほんの一握りで、それ以外は廃業によってバーチャルオフィスから撤退していくものです。
なぜ、せっかく立ち上げた会社が日の目を見る前に廃業することになってしまうのでしょうか?
「自分の強み」を知り、最大限に生かす術を知ろう
起業家の多くは、自信に満ち溢れていて何をやっても失敗する気がしない万能感を感じているものです。しかし、こういった自信に裏打ちされた事業は脆く、大抵設立2~3年の内に屋台骨から崩れていくものです。
それはなぜかというと、自信があるばかりに「自分の強み」を見過ごして、強みの活かせない分野に挑戦してしまうからです。自分の強みを理解することは会社組織を運営していくうえで欠かせないもので、強みが分からないまま動くことは自滅を早める結果になるのです。
会社運営の武器となる「自分の強み」とは何か、それを活かすのはどうすればいいのかを起業前から考えておくことが重要なのです。
経営の勘を磨こう
どんなに優れた才能のある人でも、それを上手にお金に返還する経営手腕がなければ宝の持ち腐れです。例えば画家のゴッホは、名画「ひまわり」で有名ですが生前に売れた絵は1枚だけだったことは非常に有名な話です。企業もゴッホと同じことで、どんなに優れた商品を作れる会社でもそれが売れなければ資本金をあっという間に使い尽くして倒産してしまうのです。
会社を運営していくうえでは、才能だけでなく経営能力が要求されます。経営能力を育てるには座学を勉強しているだけでは身につかず、実際に働いて経営者が何を考えているのか、どのような意図で案件を処理しているのかなどをつぶさに見て分析していくことが経営能力を磨くことに繋がるのです。
「斬新なアイデア」だけで勝負しない
起業家や起業志望者の間には「発明偏重主義」とでも呼べばいいのか、「素晴らしいアイデアを思い付けばそれだけで一生食っていける」というような斬新なアイデアを賛美する傾向が見られます。
この傾向には「斬新で素晴らしいアイデアを思い付いたのだからそれだけで尊敬されるべき」「斬新なアイデアを受け入れられないのは時代に追いついてない民衆が多いだけ」、というような自己弁護の複線まで敷かれていますが、商売として成り立たない理由にはなっていません。
斬新なアイデアを思いついても、それだけで起業しようと考えるのは早計です。アイデアの内容がどのようなもので今すぐ実現可能か、需要はあるか、消費者は幾らまでなら商品にお金を出してくれるかといった部分までを考えてはじめて、アイデアが起業のための武器になるのです。
仕事を作る努力をする
折角起業した会社が廃業に追い込まれてしまう原因の一つには「仕事が無くなって資金繰りの見通しが立たなくなった」ということが言えます。
独立して会社を設立した当初は、友人や前職でのコネから仕事が舞い込んでくるので安心している人が少なくないものです。しかし、コネからの仕事というのは早晩枯渇するものと相場が決まっていてコネ頼りで会社を運営していた人は瞬く間に仕事激減による影響を諸に受けてしまうものなのです。
友人や前職でのコネで来た仕事はそう長続きするものではないので、起業当初から仕事づくりのための営業を欠かさずに行うことが大事です。