株式会社と個人事業主の主な違い
【手続き・初期費用の違い】
個人で事業を始めるには、税務署に開業届を提出するだけで良いですが、株式会社を設立するには、多くの手続きが必要になり、手続き完了までに1週間以上かかります。また、手続きに伴い印紙代や定款認証代、登録免許税など…会社設立に伴う手続きだけで20万円以上の費用もかかります。
かつては株式会社を設立する際に必要な資本金は1000万円でしたが、現在では資本金1円でも会社が設立できるようになっています。資本金が少なくて良いとはいえ、やはり法人化するだけで費用がかかります。
【債務責任の違い】
株式会社の責任は有限(出資額以内)ですが、個人事業主の場合は、個人の債務となり、債務を限りなく背負うことになります。つまり、ビジネスに失敗した場合、個人事業主なら個人の財産を失ってしまいますが、株式会社の場合は個人の財産を失うということはないのです。
なぜなら、会社の損失であって、会社社長個人に返済の義務は発生しないからです。
株式会社の社長に債務責任が課せられる場合も…
会社の債務ではありますが、社長が連帯保証人となっている場合には、社長個人に債務責任が生じます。この場合は、個人事業主と同様に、無限の債務責任となります。
【税務の違い】
「節税対策に法人化する」という人もいますが、株式会社にすることで支払う税金が大幅に減る場合もあります。
それは、法人の場合の税率は収入に関係なく一律なのに対し、個人事業主の場合は収入が高くなるほど税率も高くなってしまうからです。また、法人には消費税の免税措置もあります。
ここだけを見ていくと、税金の面では絶対的に株式会社にした方が良いように思えるかもしれません。しかし、法人には法人税を支払う義務があります。どちらも考慮した上で、どちらが得なのか判断する必要があるでしょう。
【信用の違い】
株式会社と個人事業主では、株式会社の方が信用を得やすいと言えるでしょう。
ネットショップなどで買い物をする際、株式会社と個人事業主ではどちらが安心して買い物できるでしょうか?やはり、株式会社の方が社会的な信用が高いのです。
また、信用だけでなく意欲なども株式会社の方が高いとされがちです。そのため、株式会社の方が融資を受けやすい傾向にあります。
【助成金の違い】
さまざまな助成金がありますが、法人のみを対象にしている助成金が多いというのが実情です。もちろん、個人事業主を対象としているものもありますが、法人の方が受けやすいと言えるでしょう。
【社会保険の違い】
法人は健康保険・厚生年金といった社会保険に加入することができますが、個人事業主は社会保険に加入できません。
株式会社の場合は、社会保険料の負担が必要になりますが、保障が手厚いという点も踏まえると決してデメリットではありません。株式会社と個人事業主で比較すると、将来の年金の受取額は、個人事業主の方が少なくなります。