100人中95人の肌に棲んでいる?!顔ダニって?
“顔ダニ”は時としてニキビのような炎症を引き起こしたり、また、にきびを悪化させてしまうお肌の代表的トラブルメーカーとして知られています。
顔ダニはまたの名をニキビダニといい、皮膚科医の間では毛包虫とも呼ばれています。
ニキビと【顔ダニ】が原因のニキビダニ症の違い
一般的にニキビは皮脂を栄養源とするアクネ菌が関わって進行していく皮膚炎のことを指し、過剰な皮脂分泌が毛穴を詰まらせてアクネ菌を増殖させ、炎症・化膿を引き起こすとされています。
しかし、皮脂の分泌やアクネ菌の存在が必ずしもニキビの発生につながるわけではありません。
皮脂は乾燥から肌の潤いを守り、細菌の侵入を防ぐバリア機能となり、一方アクネ菌は誰の肌にも存在していて肌を弱酸性に保ち他の雑菌の増殖を防いでくれています。
アクネ菌が原因で発生するにきびをニキビダニが悪化させたり、ニキビに似た炎症を起こす皮膚炎は“ニキビダニ症”として区別していることも多くあります。
顔ダニの正体はニキビダニ
哺乳類の分泌腺に寄生するニキビダニは、哺乳類のすべてに特異的な種分化をたどったニキビダニが規制していると考えられています。
人の場合では2種類のニキビダニが異なる部位に寄生しますが、皮脂腺が発達している顔部分の寄生密度が高く、皮脂腺がある毛穴の毛包部分までにニキビダニ(D.folliculorum)が、皮脂腺の内部にはコニキビダニ(D.brevis)が寄生しています。
ニキビダニは毛包上皮細胞をコニキビダニは皮脂腺の細胞を栄養源とし、寿命は3か月ほどといわれています。
大きさは0.1mmから0.4mmで色は半透明のため、肉眼で見ることはできないそうです。
必ず害があるわけではない
アクネ菌と同じように、ニキビダニはほとんどの人に寄生していますが、そのすべての人が肌荒れや炎症などの肌トラブルやニキビダニ症を抱えているわけではありません。
言い換えれば見事に美肌を維持している人にもニキビダニは寄生していると言えるのです。
しかし、普段から肌荒れなどの原因となるわけではないものの、ニキビダニが寄生していることで何らかのメリットがあるわけではないようです。
ニキビダニもアクネ菌やその他の日和見菌同様に数や免疫力の低下など一定の条件下で炎症などの肌トラブルを引き起こす原因となります。
ニキビダニを撃退したい!
一般的にニキビダニ症かどうかの判断は1cm平方あたりの寄生密度を調べます。
ニキビダニ症は皮膚科での治療をお勧めします。
イオウ剤が駆除に有効
イオウを含んだ外用薬がニキビダニにも効果があるとされていますが、もともと乾燥に弱い肌質の場合などは使い方に苦労するケースも多いようです。
綿棒などを用いて患部のみに使用するなどの工夫をしたり、皮膚科医師への相談やアドバイスを受けるようにしましょう。
他にもZZ軟膏などがにきびの治療や顔ダニの駆除など皮膚の炎症性疾患に広く用いられる外用薬として用いられています。
免疫力を弱らせる?!副腎皮質ステロイド剤は禁物
顔ダニが原因の炎症の場合、顔への副腎皮質ステロイド剤の使用は避けましょう。
また免疫不全を引き起こす疾患も顔ダニの過剰増殖を引き起こしてしまうそうです。
ニキビのようでニキビじゃない?!他にもこんな皮膚疾患が。
“にきび”のような炎症を引き起こす疾患は、ニキビダニが原因で起こるニキビダニ症の他にも、真菌や黄色ブドウ球菌などによる皮膚疾患もあります。
脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)
脂漏性皮膚炎はニキビと同じ皮脂の分泌の多い場所に発生する炎症で、真菌(かびの一種)の日和見感染が原因で起こります。
皮脂が真菌によって通常よりも多く脂肪酸に分解されることで炎症となります。
真菌は本来無害の常在菌。
皮脂の分泌過剰や睡眠不足、ストレスなどの条件によりその数が多くなり過ぎてしまうと日和見感染し、炎症となるのです。
新生児~生後三か月くらいまでの乳児期は、母親のホルモンが影響している為に皮脂の分泌が多く、頭やおでこなどに脂漏性皮膚炎湿疹を発症することがあります。
乳児期の場合一般的には皮膚を清潔に保つようにしているとすぐに改善されていきます。
脂漏性皮膚炎の主な症状
炎症・ふけ・かゆみなどが見られます。
耳の後ろなどに発生するとアトピー性皮膚炎のような症状にも見えることがあります。
脂漏性皮膚炎になってしまったら…
- ストレスコーピングを行い、ストレッサーへの対処方法を見つけましょう。
- ビタミンBやCは肌荒れの改善の他、疲労などにも効果があります。
- 薬物療法では抗菌剤やビタミン剤・抗ヒスタミン剤などを服用します。
- 慢性化してしまうと治療期間を要することもあるそうです。
毛嚢炎
複数の毛穴(毛包部分)に黄色ブドウ球菌が感染して起こる細菌感染症の一種で、毛嚢炎や疔(ちょう)と言います。
顔にできた毛嚢炎は“面疔”と呼ばれ、炎症が進み過ぎたり根が深い場合、脳との隔たりが薄い骨しかないケースなどといった面疔の発生場所によっては脳炎や髄膜炎という死に至る症状を併発してしまうこともあるそうです。
複数の毛包が炎症を起こす毛嚢炎に対し、ひとつの毛包が炎症を起こした場合“せつ”と呼びます。
毛嚢炎の主な症状
発生場所は一般的に顔や背中、脚の付け根が多く、赤にきびに似たできものや湿疹が見られます。
皮膚がかたく腫れたような炎症が起き、膿を持つこともあります。
ふともも、臀部などに見られるタイプの特に深い根を持った毛嚢炎は、深在性毛包炎と呼ばれ痛みを伴うケースもあります。
毛嚢炎になってしまったら…
- 毛包に傷がついたり、または長時間にわたり、皮膚が湿った状態が続くと黄色ブドウ球菌に感染しやすい環境となります。
- 汗を放って置くなどせずに日ごろから皮膚を清潔にしておきましょう。
- 毛包炎の発生場所を清潔にしておくことで、自然に治りますが病院では抗生物質の内服薬・外用薬を使用する場合もあります。