【アニマルセラピー】うつ病患者がペットを飼うのは有効か?|トピックスファロー

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2013年4月25日
【アニマルセラピー】うつ病患者がペットを飼うのは有効か?

海外ではうつ病を含めた精神病の治療にアニマルセラピーが用いられています。そこでうつ病患者がペットを飼う事でアニマルセラピーと同様の効果を得る事ができるのでしょうか?ネット上でも是非の別れるこの問題を調べてみました。

取材ライター
  

アニマルセラピーとうつ病

日本では、目的や医療従事者の有無により『動物介在療法(AAT)』『動物介在活動(AAA)』『動物介在教育(AAT)』の3つをまとめて、アニマルセラピーと呼んでいます。

海外での歴史は長く、うつや自閉症の患者が乗馬療法やイルカ療法を保険で受けられるほど、医療としての効果が認められています。

一方、日本においては病院や老人ホームなど、一部の施設において気晴らしやストレス発散目的で導入している以外では、その活動を目にする事はほぼありません。

一般的なうつの症状

ペットを飼う事のメリットとデメリットを分かりやすく比較する為に、代表的なうつ病の症状を確認しましょう。

代表的な症状としては、次のようなものが上げられます。

  • ひどくゆううつになり、理由もなく泣き出しそうなほど悲しくなる。
  • 何をしても楽しくない。興味が無くなる。
  • 何かに急き立てられるように落ち着かなく、イライラする。
  • 自分には価値もなく、ここにいる必要がないと思い込む。
  • 集中力がなく、物事を決断できない。
  • 自殺したいと考えるようになる。

ペットがうつ病に与えるメリットとデメリット

動物が『精神病の患者に対して良い影響を与える』として、ペットを飼う事を推奨する声を聴く事があります。
反対に、『うつ病の患者がペットを飼う事で悪化する』と訴える人も存在します。

そこで、それぞれの理由を元に、【うつ病患者がペットを飼う事は病気の改善につながるのか】を考えてみたいと思います。

動物を飼う事のメリット

動物の愛くるしい姿による癒しの効果は言うまでもありません。
また、ふわふわの柔らかい毛並みと温かい体温に触れる事は、血圧を下げリラックスできると心理学においても有効とされています。

朝方の生活がセロトニンを増やす

「毎朝、同じ時間にペットが起こしに来る」という体験をする人は少なくありません。

脳には心のバランスを保つ『セロトニン』というホルモンがあり、抗うつ剤にも使用される程、うつ病とセロトニンは重要な関係にあります。
そのセロトニンは、2,500ルクス以上の強い光を浴びる事で生成されますが、室内の明るさでは500ルクスから1000ルクスと光量が足りません。

朝はうつの症状は最もつらく(日内変動)、太陽の25,000から100,000ルクスの光を浴びずにセロトニンを作る機会を逃しています。

しかし、ペットに起こされる事で、貴重な朝の太陽光を浴びる機会が増えます。

軽い運動がうつを改善する

犬を飼うのなら毎日散歩をさせる必要もあります。

アメリカにおいて『運動がうつ病に与える影響』を調べる研究がありました。
その実験では『有酸素運動を続けたグループの90%に改善がみられ、再発率はわずかに8%』だったそうです。

つまり、朝に犬を散歩させることは、うつ病の治療法として理にかなった方法と言えるでしょう。

ペットの存在が自殺を防ぐ

ペットの世話をすることで、自分が死んだ後のペットの事を考えるようになれば、自殺したいと思った時のストッパーの1つとなります。

動物を飼う事のデメリット

ペットを飼うという事は、『その命に対して責任を負う事』でもあります。
例えば、うつ病の症状が重い中で、散歩に行ったリ、エサを与えたりとペットの世話を行う事は困難です。
また『ペットの世話もできない自分』を責める事も考えられるでしょう。

親愛の行動が疎ましくなる

さらに調子の悪い時は、飼い主を心配してすり寄ってくる行動や鳴き声すらもイライラする原因となります。

思い通りに行動しないペットが腹立たしい

また、言葉の通じない動物の事、思い通りに動いてくれるとは限りません。
そういった動物の気まぐれな行動に対して、過敏に反応する事は容易に想像できます。

ペットロス症候群の可能性

あるいはそれらの問題を乗り越え、絆を結んだ関係であればあるほど、ペットが他界した時に感じるストレスは大きくなるでしょう。
ペットロス症候群により、うつ病が悪化する可能性も否定はできません。

うつ病患者がペットを飼う事は無理なのか?

ペットが多くのうつ病や精神病の患者にとって、良い影響を与える事は十分に考えられますが、問題は、患者自身がペットの世話をできない事にあります。

対処法1:家族の力を借りる

うつ症状の軽い場合、日頃の世話は問題なく行えることでしょう。
そこで、うつがひどい場合にのみ、その間の世話を他の家族が行うという方法があります。

対処法2:レンタルペットを借りる

1人暮らしや、自宅でペットが飼えない場合はレンタルペットを利用する方法もあります。
レンタル期間は20分程度の散歩1回から1週間程度。
基本的に、しつけのできている動物なので初めてでも、馴染みやすいのが特徴です。

対処法3:動物園・動物カフェ

いくつかの動物園では、ふれあいランドやタッチングコーナーとして、動物と触れ合える場所があります。
また、直接動物に会いに行けるのなら、猫カフェやうさぎカフェなどを利用するのもいいでしょう。

対処法4:ペットロボット

セラピー用アザラシ型ロボット『パロ』(大和ハウス工業株式会社)は、2002年に「世界で最もセラピー効果のあるロボット」としてギネスにも認定され、現在ではスウェーデンやアメリカなど世界の多くの施設で利用されています。

価格はメンテナンス付き3年保証が420,000円と、安くはありませんが、ペットに必要なエサ代や病院代を考えると、ずば抜けて高額という訳でもないでしょう。

『うつになった。だからペットを飼う』は危険

ペットやアニマルセラピーのコンパニオンペットとのふれあいがうつ病に効果があるのは、動物がおとなしく人を信頼している所が大きいでしょう。

ただペットがかわいいから。うつ病にペットがいいらしいという理由から、ペットを飼い始める事は、信頼関係の構築やしつけの必要性から考えても、やめた方がいいでしょう。

それでもなおペットを飼いたいと考えるのなら、ペットを飼う事のメリットとデメリットを確かめたうえで、主治医とよく相談する事をおすすめします。

著者:和田ちえみ

取材ライター
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三度の飯より書くこと聞くことが好き。インタビューやプロフィール作成、企業社内報など堅い文章も書けます。人の話を聞き、それをまとめるお仕事が多いです。