アニマルセラピーにはAATとAAAの2種類がある
さまざまな動物を患者のメンタルケアに役立てる療法のことをアニマルセラピーといいます。
アニマルセラピーには大きく分けて2種類あり、1つは医療施設・関係者が治療プログラムの一環として行っている動物介在療法、もう1つは主にボランティア団体が動物との触れ合いサービルを提供している動物介在活動です。
前者の動物介在療法のことをAAT(アニマル・アシステッド・セラピー)、後者の動物介在活動のことをAAA(アニマル・アシステッド・アクティビィティ)と略して呼ぶこともあります。
馬、イルカ、犬などがセラピーに活用されている
アニマルセラピーに活用されているのは、以下のような動物です。
馬を用いた『ホースセラピー』
乗馬によって身体能力の向上や精神的健康の回復を促すのがホースセラピーです。
モンゴル、ドイツ、スイスなどの国で盛んですが、日本でも少しずつその存在が知られるようになってきています。
代表的なところでは、NPO法人の北海道障害者乗馬センターがホースセラピーの活動を行っています。
~得られる効果~
- 精神的ストレスの軽減
- 足腰の筋肉が鍛えられる
- 循環器や消化器など内臓機能を向上させる
- 自分に自信がもてるようになる
- コミュニケーションスキルの向上
イルカを用いた『イルカセラピー』
イルカセラピーは、主に自閉症児や精神疾患を抱える患者を対象に行われています。
自閉症の女の子とイルカとの触れ合いなど、テレビの特集でも頻繁に取り上げられているので知っている人も多いでしょう。
とても知能が高く人間とのコミュニケーションに積極的で心優しいイルカは、最高のセラピー動物として世界中から注目されています。
~得られる効果(自閉症児の場合)~
- 集中力持続
- アイコンタクト回数が増える
- 他者に対する恐怖心の軽減
- 情緒安定、不眠症の改善
- 社会性やコミュニケーションスキルの向上
※両親への愛情を示すようになった子もいるそうです。
犬を用いた『ドッグセラピー』
訓練されたセラピードッグを用いて、メンタルケアを図る治療・活動のことをドッグセラピーといいます。
対象となるのは認知症高齢者や精神疾患を抱えた患者などさまざまです。命を脅かすほどの事故や虐待体験により心に大きな傷を負った人を対象に行われることもあります。
~得られる効果(認知症患者の場合)~
- 記憶力の回復
- 車椅子からの自立歩行
- 言葉を発する、笑顔など表情を取り戻す
- 自分の力で手洗いに行く
大人気の『猫カフェ』もセラピー効果を得られる
ホースセラピーやイルカセラピーは高い効果が認められているものの、あまり一般的ではありません。
なぜならば、セラピーを受けるためには高いお金がかかる、体調を考慮し手間ヒマをかけて現地に赴かなくてはならないといった現実問題があるためです。
こういった現実問題をクリアできれば、心を病んだ全ての患者が彼らの恩恵を受けられるようになるのですが、実現はなかなか容易ではありません。
では限られたごく一部の、経済的に豊かな人しかセラピーを受けられないのかというと、決してそんなことはありません。専門的訓練を受けた動物のサポートが必要なほどに深刻な病状でなければ、ペットと一緒に暮らしたり野生の動物と触れ合ったりするだけでも、十分にセラピー効果を得ることが可能です。
もしペットを飼えない状況なのであれば、動物との触れ合いサービスを提供している動物園や近年人気の猫カフェに行く…といった方法もあります。老人ホームや福祉施設などでも、動物との触れ合いの機会を設けているところがありますから、ぜひ利用しましょう。