保険診療で安くインプラント治療を受けるための条件|トピックスファロー

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2012年10月24日
保険診療で安くインプラント治療を受けるための条件

デンタルインプラントが健康保険の適用対象になった、というのは喜ばしい話ですが実際には条件付きでの適用であることを知らない人も多いようです。適用対象外の状態でインプラント治療をして高額な治療費に悩まされないためにも、インプラント治療の健康保険適用条件に付いて解説していきます。

都内在住のフリーライター。犬猫と仲良く暮らしてます。
  

どうすればインプラントに健康保険が適用されるのか

歯の治療は、健康保険の効く保険診療と健康保険が効かない自由診療が混在しています。例えば、虫歯の治療で穴の開いた歯を削って神経を抜き、銀の詰め物をするならば保険診療、詰め物を歯に調和する白いセラミック製のものを選べば自由診療という具合です。

インプラント治療は長い間自由診療の範疇であったため、患者は決して安くない治療費を負担してきましたが平成24年4月から条件付きで保険診療の範疇に含まれることになったのです。
では、インプラント治療を保険診療で受けるためにはどのような条件が必要なのでしょうか?

保険が適用される患者の条件

インプラント治療に健康保険を適用するためには、患者と施術する歯医者側それぞれに課せられている条件を満たさなければなりません。

顎骨・歯槽骨の損傷または欠損

腫瘍・顎骨骨髄炎などに病気や事故による外傷が原因となって顎の骨や歯茎の下の歯槽骨が激しく損傷または欠損してしまうことがあります。
こうなってしまうと、天然の歯は土台となる顎骨または歯槽骨がないため自然に脱落してしまうことになってしまいます。その為、骨の再建を含めたインプラント治療が保険の適用対象となります。

ただし、病気・外傷での顎骨・歯槽骨の損傷・欠損の範囲が全体の三分の一以上でないと保険適用にはならないので注意しましょう。
また、既に骨移植手術による損傷・欠損部位の再建を受けている場合でも保険適用になります。

先天的な顎骨の欠損・形成不全

人によっては、生まれつき体のパーツや骨の形などが正しく形成されていなかったり、先天的な疾患によって欠損してしまっていたりすることがあります。
このような先天的な形成不全や欠損は手術でカバーできるものの、顎の骨に先天的な形成不全や欠損を全体の三分の一以上に渡る広範囲で起こっていた場合、歯列にも影響が及びます。わかりやすく言えば、顎の骨が先天的に欠損・形成不全を起こしている部位には歯が生えてこないことがあるのです。
このようなケースでのインプラント治療にも、健康保険が適用されます。

保険診療が受けられる病院の条件

保険診療での歯科治療は日本中どこの病院・歯科医院でも受けられますが、インプラント治療に限っては条件を満たした病院・歯科医院でないと保険診療内での施術を受けることはできません。

病院の条件を満たしていること

病院・医院側に課せられている保険診療でのインプラント治療を行うための条件の中で大きいのは、「入院用ベッドが20床以上ある『病院』である」ということです。
これは法律的な区分で、入院用ベッドが19床以下なら医院、20床以上あれば病院ということになります。
つまり、入院設備がないデンタルクリニックは医院扱いになるので保険診療でのインプラント治療は受けられません

歯科または口腔外科があること

病院であればどこでも保険診療のインプラント治療を受けられるというわけではありません。
病院に歯科または口腔外科が設置されていることが条件の一つです。
口腔外科は虫歯・歯周病以外の口腔内の疾患を治療する外科で、取り扱う内容も多岐にわたります。しかし、日本では医師免許または歯科医師免許で標榜出来て、歯科とセットになることがほとんどです。

経験のある医師が務めていること

インプラント治療は職人芸的な面が大きいため、出来ることなら安心できる腕前と経験を積んだ医師に頼みたいものです。インプラント治療では未熟な医師が執刀して、後遺症が残ったというケースも少なくないのです。
その為か、保険診療適用には「その病院の歯科または口腔外科で5年以上の実務経験を積んでいる医師」、または「インプラント治療の実務経験を3年以上積んでいる医師」を二人以上常勤させていることが条件となっています。

当直体制が整備されていること

病院というものは救急指定されていなくても、24時間何が起こるかわからないものです。小康状態を保っていた患者の様態が急変したり、救急車で急患が運ばれて来たり、来週から入院する予定だった妊婦が陣痛を起こして担ぎ込まれて来たりと、予想していなかったことが起こるので夜中も医師と看護師を当直として詰めさせておかなければなりません。
このような当直体制の整備も、インプラント治療の保険適用の条件となっています。保険診療でのインプラント治療は、病気・外傷の治療に含まれる形となるため患者の様態の変化に対応できるように当直体制が整っていることが求められます。

医療設備・医薬品が正しく管理されていること

いかに経験豊富な医師が揃っていて、24時間体制で患者をサポートできる病院でも設備や医薬品が正しく管理されていないようでは台無しです。全身麻酔が必要な手術なのに、麻酔の補充をしていなかったので部分麻酔になったとか、レントゲンが不調で全体を映しきれずに腫瘍を見逃してしまったなんて話は笑い話にもなりません。
その為、国の基準通り医療設備や医薬品を正しく管理できていることもインプラント治療を保険診療で行うための条件となっています。

著者:坂下モド

都内在住のフリーライター。犬猫と仲良く暮らしてます。
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ペットを飼っている関係上、ペット関連の記事を多く執筆。現在ではジャンルを問わず、政治・経済なども