「お気に入りの結婚指輪なのに、金属アレルギーになってしまって身につけられなくなってしまったら」
「赤ちゃんが金属アレルギーになって、指輪をつけて抱っこ出来なくなったら」
金属アレルギーは、避けられるなら、なるべく避けたいものです。
ですので、最近の技術革新と13年に渡る研究成果から、金属アレルギーにならない指輪の選び方をお伝えしたいと思います。
金属アレルギーは治らない?
じつは、金属アレルギーの根本的な原因は、現代の医学でも見つかっていません。
金属アレルギー反応とは、不安定な金属(金属イオン)に、人体が過剰に反応している状態ですが、なぜ人体は金属イオンに過剰に反応してしまうのか?その明確な理由は明らかにはなっていないのです。
しかも、一度アレルギー反応が出てしまうと、元に戻ることはほとんど無い、と言われています。
つまり現時点では金属アレルギーになってしまう体質を、根本的に直すことは非常に難しいと言えます。
また、もし仮に体質が改善したとしても、ふたたび金属アレルギーの体質に逆戻りする可能性もぬぐい去ることはできません。
金属が溶け出す環境の現代
そんな根本的な原因が分からない金属アレルギーですが、金属アレルギーの原因になる金属を取り除くことで、症状はなくなります。
つまり、反応する体を変えることは出来ないが、反応する対象を取り除くことは出来るということです。
ポイントは、金属アレルギーになる要素を排除することです。
現代生活を送る人の肌は、身に付けた金属が不安定になりやすい(溶け出しやすい)環境にあります。
というのも、汗の中に含まれる塩化物や、大気中のNOX(窒素酸化物)、それらの混合によって生じる強力な酸に触れて、ほとんどの金属は不安定になってイオン化し、金属アレルギーを引き起こしてしまうのです。
したがって、金属アレルギーを防ぐには、金属を身に付けないか、あるいは強力な酸に触れてもイオン化しない金属を選ぶか、どちらかしかない、ということが言えます。
アレルギーを引き起こす金属とは?
それでは、気をつけたほうがいい金属のほうからご紹介していきます。
金属というのは、身近な鉄や銀(シルバー)などの他にも、白金(プラチナ)や金(ゴールド)などの貴金属など、よく知られているものの以外にも、全部で67種類もの金属があります。
宇宙に存在する全てを構成するのが118の元素なので、そのうち67元素が金属であるということは、宇宙の半分(の種類)は、金属だといえます。なので、非常にたくさんの金属があります(宇宙を構成するのは元素の状態以外にも、プラズマ状態や電子、光子などの状態もあるので全てではないのですが、ここでは手に取れる物質を扱うので、このように書いています)。
その中で、アレルギーを引き起こすかどうか、という視点で見た場合、67種類もある金属元素の中で、日常生活で触れる可能性のあるものにしぼり、その中で安全なものと肌に触れることを避けたほうがいいものを分類すると分かりやすいのではないかと思います。
アレルギー反応が起こりやすい金属
・ニッケル
・コバルト
・スズ
過敏な人は避けた方がいい金属
・パラジウム
・クロム
・鉄
・アルミニウム
・銅
アレルギー反応がほとんど起こらない金属
・プラチナ
・イリジウム
・銀
・金
・チタン
・ジルコニウム
・ニオブ
・ハフニウム
まったくアレルギー反応の心配がない金属
・タンタル
合金にも注意
金属元素は67種類ですが、金属はそれぞれ違うものどうしを混ぜ合わせると、別の性質を持つ特性があるので、混ぜ合わせて使われることが多いです。これを合金(ごうきん)といいます。
たとえば、鉄にクロムとニッケルを混ぜると、サビなくて強靭なステンレススチールという合金になります。他にも、金にパラジウムを混ぜると、金色が消えて銀色で適度な硬さを持つホワイトゴールドという合金になります。他にも、銀に銅や亜鉛を混ぜると融点が下がってロウ付け溶接に用いる銀ロウという合金になる、といった具合です。
この合金は、3種類、4種類、更にはもっとたくさんの種類を混ぜることも可能な上に、混ぜる比率によっても性質が変わるので、合金の種類は多すぎて数えることができません。
ここでは、アレルギーを引き起こすかどうか、という観点で、気をつけたほうがいい身近な合金を挙げておきます。
金属名 | 内容 |
---|---|
医療用サージカルステンレス | 鉄とニッケルとクロムからなる合金です。クロムの不動態膜によって比較的安定していますが、ニッケルが含まれているので、アレルギーの原因になりやすいです。 |
プラチナ900 | プラチナに10%のパラジウムを混ぜて硬さを持たせた宝飾用プラチナです。パラジウムは統計によると約50%の人がなんらかの陽性反応が出るといわれています。 |
シルバー925 | 銀に7.5%の銅を混ぜて、硬さと鋳造時の流動性を高めた、宝飾用の銀です。銀はアレルギーの心配がほとんどないですが、含まれる銅によって過敏な方は反応が出ます。 |
18金 | 金に銀12.5%と銅12.5%を混ぜて、硬さと鋳造時の流動性を高めた、宝飾用の金です。こちらも金はアレルギーの心配がほとんどない金属なのですが、含まれる銅によって過敏な方は反応が出ます。 |
ホワイトゴールド | 金にパラジウムを45%~25%混ぜて、プラチナに似せた宝飾用の合金です。やはりパラジウムは統計によると約50%の人がなんらかの陽性反応が出るといわれています。 |
銀メッキ、ロジウムメッキのアクセサリー | 銀、ロジウムはともにアレルギー反応が起こりにくいですが、ロジウムメッキの下地にはほとんどの場合ニッケルメッキが施されており、またメッキがはがれた土台の金属は真鍮(銅と亜鉛の合金)であることが多いので、避けたほうが賢明です。 |
その他、20年以上昔のホワイトゴールドには、ニッケルが用いられていたりするので注意が必要です。
その他、デザイン上の注意点も
金属アレルギーに留意した場合、金属の種類に気をつける以外にも、デザイン上の注意点があるので、書いておきたいと思います。
それはなぜかというと、汗や雑菌などもかゆみや肌荒れの要因になるからです。
複雑な形状やデザインは、そこに汗や汚れが溜まり、雑菌が繁殖しやすいのです。たとえば指輪の内側に深い刻印が刻まれていると、そこに汚れが溜まりかゆみを引き起こす可能性があります。
また、指輪表面の仕上げ加工については、なるべく凹凸を少なくして鏡面のようにピカピカに磨いてあるほうがいいでしょう。
鏡面仕上げの指輪であれば、付いた汚れなどは拭き取ったり、一緒にお風呂に入ってお湯で洗い流せば、ほとんどの汚れはきれいに落とされて、清潔に保たれます。
以上、金属アレルギーにならない結婚指輪の選び方をご紹介させていただきました。