「ただの日焼け」ではなく「日光皮膚炎」かもしれません
日焼けをすると、肌が赤くなってヒリヒリしてきます。この症状は、すでに「日光皮膚炎」です。ひどくなると全身症状を引き起こすこともあるので、甘くみないで適切な対処をすることが必要でしょう。
日光皮膚炎とは??
日光皮膚炎とは、その名の通り、日焼けで起こる炎症です。そのため、誰にでも起こります。
紫外線は肌の表面に当たっているだけでなく、肌の奥まで透過して真皮層(真皮乳頭体)に達してしまいます。真皮層で炎症反応が起こることによって、肌が赤くなってヒリヒリするんです。
肌が赤くなってしまう日焼けは、日光皮膚炎のことです。
日光皮膚炎の症状
日光皮膚炎の症状は、「肌がヒリヒリして痛い」「肌が赤くなる」という症状だけではありません。
ひどくなると、次のような症状も起こるんです。
- 皮膚のむくみ
- 水ぶくれ
- 頭痛
- 寒気
- 発熱
- 吐き気
- 嘔吐
- 食欲の低下
など
さらにひどい日焼けでは、命にも関わる症状を引き起こすこともあり、緊急入院となる場合もあります。(血圧の低下・意識がもうろうとするなどの症状がある場合には、生命に危険を及ぼすこともあります。)
日光皮膚炎かな?と思ったら…
日光皮膚炎は、まず冷やすことが大切です。「日光皮膚炎かな?」と思ったら、冷やしたタオルなどを使い冷やしましょう。
炎症が強い場合や炎症を起こしている範囲が広い場合には、早めの受診が必要でしょう。この場合、脱水を引き起こしやすい状態なので、水分を多めの摂るようにすることも必要です。
日光皮膚炎の治療
日光皮膚炎の治療には、ステロイド外用薬や非ステロイド性炎症外用薬が使用されます。
炎症が軽い場合は、非ステロイド性炎症外用薬を用いて経過をみますが、重度の場合にはステロイド外用薬を用います。全身症状がみられる場合には、内服薬での治療も併用します。
炎症が強い場合には、薬を塗るだけでも痛みが生じますから、スプレータイプの薬を用いる場合もあります。
日光皮膚炎の美容への影響
日光皮膚炎は炎症を起こすというだけでなく、肌を黒くしてしまいます。これは、ただの日焼けと同様ですが、肌の奥でメラニン色素を生成し、肌を黒くするのです。シミやそばかすなどの原因にもなります。
紫外線によって、皮膚(表皮)にあるメラノサイトが刺激され、メラニン色素がたくさん作られます。メラニン色素は、皮膚のさらに奥の真皮層まで紫外線の悪影響が及ばないように、紫外線を吸収する役割があるのです。
日光皮膚炎は、シミやそばかすなどの色素沈着の原因にもなり、美容にも悪影響を及ぼすので注意が必要でしょう。
日光皮膚炎を予防する方法
日光皮膚炎を予防するには、衣類などで肌の露出を抑え、紫外線から皮膚を守ることが大切です。また、日焼け止め(サンスクリーン剤)が多く市販されていますが、日焼け止めも肌を紫外線から守る効果がありますから、併用すると良いでしょう。
日焼け止めの肌を紫外線から守る効果とは??
日焼け止めと一言で言っても、大きく分けて「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2つの種類があり、働きが異なります。
どちらも紫外線から肌を守る効果がありますが、衣服に擦れたり、皮脂や汗が出たりすると、日焼け止めは落ちてしまい十分な効果を発揮しません。一度塗れば良いのではなく、適度に塗り直すことで紫外線から肌を守る効果が得られます。
紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収することによって、肌に紫外線の悪影響が及ぶのを防ぐ効果があります。
紫外線吸収剤が吸収した紫外線は、肌の上で熱エネルギーに変えられます。この化学反応を起こす化合物が紫外線吸収剤には含まれているので、肌の弱い人は(紫外線吸収剤を塗ると)ピリピリすることがあります。
そのため、敏感肌の人や子どもの場合には、紫外線吸収剤は避けた方が良いとされています。
紫外線散乱剤
紫外線散乱剤は、紫外線を乱反射させることによって、紫外線が皮膚を透過するのを防ぎ、肌を守る働きがあります。
ノンケミカルと表記された日焼け止めが販売されているのを見かけたことがある人も多いと思いますが、ノンケミカルと呼ばれているのが、この紫外線散乱剤です。化学反応が起きないため、肌の弱い人でも安心して使えるとされています。