助成金・投資家の力を借りて起業・経営のための資金を集める
起業を志す人の前に立ちはだかる大きな壁の一つ、それがお金です。
とかくこの世はお金が物を言うもので、事務所を借りるにしても設備を整えるにしても人を雇うにしても全てにお金が掛かってきます。
起業資金までは自腹で済ませられるような額でも、会社の経営資金となると個人のポケットマネーでは賄えないほどの額に膨れ上がるし、経営者個人の生活費用も必要になってきます。
つまり、会社を興すには自分以外の財布からお金を集めることも大事なのです。ではどうやって自分以外の財布からお金を集めればよいのでしょうか?
起業を志すなら助成金を利用しよう
会社経営のための資金を集めるには、やはりお金があるところから引っ張ってくるのが最善であり基本といえます。しかし、社会的な信用も十分に気づきあげていない新米経営者では銀行も早々大金をポンと融資してくれるわけがありません。
ですので、起業したての頃に資金を調達するためには国や地方自治体が運営する助成金制度を利用するのが一番です。助成金制度は融資と違って原則返済義務がないので、利益が上がるまで時間が掛かる晩成型の事業を展開する会社にとっても渡りに船といえます。
受給資格者創業支援助成金
受給資格者創業支援助成金は、雇用保険の受給者が起業する際に支給を受けることが出来る助成金です。そのため受給資格は「雇用保険の加入期間が5年以上ある人が創業者であること」となっています。
受給資格者創業支援助成金では、創業後三か月以内に支払った経費の3分の1が最大150万円まで支払われます。つまり、使った経費が300万円なら100万円、450万円を越えたら一律150万円支払われることになります。
また、創業後一年以内に雇用保険受給者を二人以上雇用すると上乗せ分として50万円加算されます。
つまり、脱サラから独立開業を目指す人対象の企業助成金なのです。
地域再生中小企業創業助成金
地域再生中小企業創業助成金は、雇用情勢の改善の動きが弱い地域で、地域住民を雇用して地域再生分野で起業を図ろうとする人を支援するための助成金です。
そのため、助成金を受けられる地域は限られていて東京・大阪・愛知のような雇用情勢が良好な大都市圏では制度自体がありません。
受給の条件には、「雇用情勢の改善の動きが弱い地域に主たる事業所を設置していること」「法人設立から一年以内に65歳未満で雇用保険の被保険者として6か月経過している労働者を2名以上雇用していること」などがあります。
助成金の額については地域ごとに異なるので、最寄りの公共職業安定所にお問い合わせの上ご確認ください。
起業前にまとまったお金が必要なら投資家を頼るしかない
国や地方自治体の助成金は返済義務がない分、受給資格などの制限があるのが難点といえます。それに加えて会社の創業後でないと受給できないため、IT関係のような初期の設備投資が必要な業種での起業には不向きな面もあります。
そのため、業種によっては助成金を頼りにするのではなく投資家からの資金提供を受けて起業する必要があります。
ベンチャーキャピタル
ベンチャー企業の成立と急成長の立役者として取りざたされるベンチャーキャピタルは、投資家によって形成された投資ファンドのことで、有望な未上場企業に他の企業や投資家から集めた資金を投資して企業価値の向上を図るのが目的です。企業価値の向上によって、初期投資した資金を株式上場等で膨れ上がらせて回収するのが狙いです。
ベンチャーキャピタルの利用は誰でもが出来るというわけではなく、ベンチャーキャピタルが「有望である」と判断した起業家・企業に対して自発的に融資を行うため、よほど有望な経営計画と事業内容が用意できないと利用できません。
エンジェル投資家
エンジェル投資家は個人版のベンチャーキャピタルと言える存在で、有望そうな起業家や若者に対して自身の資産を元手に資金提供を行い、起業支援を行う個人投資家です。
もちろん、投資先の企業が成長して企業価値が向上すれば株式や転換社債などの形で投資先から見返りを受け取ることになるのですが、エンジェル投資家はお金を稼ぐことよりも起業支援を行うことを目的としている篤志家としての面があります。
ビジネスインキュベータ
ビジネスインキュベータとは、起業を志す人の支援を行う事業者または団体のことです。起業支援の範囲は設備や事務所などから書類の作成、資金調達先の紹介など幅広い分野にわたります。
一般の起業志望者が、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家との接点を持つことは非常に困難です。そのため、ビジネスインキュベータの支援を受けて資金援助を受けられるように模索することが必要になってくるのです。