歯ブラシだけでは虫歯予防できない?その理由とは
大事なお子さんの乳歯を虫歯にしたくないと、親なら誰もが望まれていると思いますしっかり磨いているつもりでも、色が茶色くなってきた、虫歯ではないかと歯医者さんに慌てて駆け込む、なんていう事もあるかと思います。
乳歯から永久歯に生え変わる次期は、歯並びなどの心配事がただでさえあるものですから、虫歯にはしたくないものです。ここでは、口の中の虫歯菌説や、ブラッシングなど周知されている事実はなるべく省いて、免疫力による歯に対しての影響を考えてみたいと思います。
虫歯や歯周病は、口の中だけでなく、全身の病気との因果関係が近年指摘され始めてきています。最近の研究でも歯周病は、糖尿病や肺炎などと密接に関係があり、虫歯や歯周病を治したら、全身疾患が良くなったなどの報告があります。
これらが何を意味するのか?突き詰めて考えていくと、私達の身体はすべて繋がっていて、一つの疾患でも実は全身的な症状と関係があると言えるということです。虫歯が細菌の出す酸によって溶かされ、虫歯になってゆく。これは事実です。しかし根本的な原因はいまだに解明されていないようです。 口の中には億単位の常在菌が存在しています。
何かのきっかけでPHバランスが乱れると、口の中が酸性に傾き、虫歯が作られやすい環境になりますが、一定の時間が経過するとまた元に戻ろうとします。つまりこのバランスが非常に大切なのです。そしてこのバランスを保つ上で大切なものが免疫力になります。
もちろん頻繁に口の中に何かが入っている状態は好ましくありません。甘いお菓子と言えるものでなくても、でんぷん質を含む食品であれば、多少でも歯の表面が溶かされるのです。そういった意味では、食事と食事の間の感覚をおく、口の中のPHバランスを乱さないという事はとても大切となります。
糖質が歯を溶かすというのは、皆さん聞いた事があると思います。代表的なものが、ストレプト・コッカス・ミュータンス菌です。しかし、実はそれ以外の菌も酸を作ります。
歯の表面が溶ける事を脱灰といいます。この脱灰が進むとやがて虫歯へと進行する訳ですが、最初の段階でまず歯の表面が白く濁り、白濁という状態になりますが、この時点では虫歯はまだ初期症状なので良くブラッシングすると完治します。
ですので、お子さんの歯を普段から良く観察する事が大切になります。では、進行してしまった歯はどうなのかというと、これは判断が分かれるところですが、虫歯の進行度によると思います。
大人に比べ乳歯はエナメル質がうすく、虫歯の進行が速いという弱点があります。しか、し前述したように初期の虫歯ではまだ治療する段階ではありません。歯科医院でいえば、フッ素塗布をする段階ですが、一生懸命歯ブラシをしていれば治ります。では進行して穴があいた歯についてはどうなのでしょうか?
これについては多くの歯科医院ではおそらく、立派に治療の対象になるかも知れません。しかし多少穴があいていても、口の中の環境を整える事により、その状態のまま永久歯の交換を待ち、虫歯のない綺麗な歯が萌出してくるという事実もあるようです。
もちろん、根の状態がきちんと残されていて、かつ永久歯の萌出に影響がない、ということが前提となります。
歯科医院で乳歯を削ると大抵詰め物をして終了となります。しかし、幼児などは暴れまわったりして、なかなか治療が進みません。そのために、全ての虫歯をとれずに終えるという事もあるようです。
これらの事を考えると、子供の歯を虫歯にしないためには、幼少期から糖質を可能な限り除去するということが大切になるのです。虫歯にしない為には歯ブラシを良くしましょうというのは、実によくいわれることです。
しかし、いわゆる細菌の塊である歯垢や歯石がべったりと歯に張り付いているのに、虫歯になっていない人もいます。つまり細菌が虫歯を作るというのは覆されるのです。
砂糖を排除する事が虫歯を作らない理由とは?
大変興味深い研究結果があります。世界を旅した米国の歯科医W.A.プライス博士の提唱する研究結果によれば、先住民族であるイヌイットやアボリジニなどは健康状態が非常に良く、虫歯はおろか歯周病にさえかかっていなかったとの記述があります。彼らは当然歯ブラシなどの習慣がありません。それにもかかわらず大変健康状態が良いというのは何を表しているのでしょうか。
W.A.プライス博士著「食生活と身体の退化」によれば彼らが総じて、近代食である砂糖を摂っていないという事が挙げられます。現代のような精製された糖質を口にしていなかった。これらが虫歯はおろか健康的な身体を育んでいたといっても過言はないようです。
逆に先住民族であっても、工業化によってもたらされた砂糖を摂る食事をすると、それと共に虫歯やその他の疾患が増えたとのことです。砂糖を摂るという事がそんなに危険なことなのかと驚かれるかも知れませんが、実際様々な身体の不調をきたすということもわかっています。
精製された砂糖というのは本来持っていたミネラル類を除去された人工の甘味料といってもいいでしょう。白砂糖の細かな成分については省きますが、簡単にいえば糖質を大量に摂ると体内の血糖値が上がり、上りすぎた血糖値を下げようと膵臓からインスリンというホルモンが出ます。
これがバランス良く出るのはいいのですが、普段から頻繁に糖質を摂る食事をすると、このインスリンが多量に出てしまうのです。これによりお腹がすいていないのに甘い物を欲しがるという悪循環に陥ります。
それと砂糖には強い依存性があり、甘い物を摂る事により脳からドーパミンという快楽を生み出す神経伝達物質が出ます。何となく疲れた時に甘い物が欲しくなるというのは、脳が砂糖を食べた時の快感を憶えているからなのです。つまり、依存性が強くなかなか止められないのが砂糖なのです。
砂糖の及ぼす害については数々ありますが、カルシウムとの関係も強く、砂糖を大量に摂ることにより体内のビタミンB1やカルシウムが消費されます。少量なら問題ないと思われるかも知れませんが、頻繁にジュースや菓子類を摂ることにより同じような結果がもたらされます。
特に小さなお子さんなどは甘い物に目がありませんので、小さな時から歯ブラシ以上に食べ物との習慣が大事であるといえるのです。
なぜ、糖質を避ける習慣が必要であるかといえば、人の免疫力を下げるからです。精製された砂糖が体内に入ると免疫細胞の働きが低下することもわかっています。つまり歯についても免疫力が大事というのは、先の先住民族の話と一致するところが多く、私達の身体を構成する食べ物といっても過言はありません。
砂糖の話をずっとしてきましたが、遺伝子組み換え食品である異性化糖というのも、白砂糖よりも糖度が強く、危険な糖質です。
これらは既に様々な加工食品などに使用され、もはや自衛するしか術がありません。ブドウ糖果糖液糖などの名称で調味料などにも使用されていますので、糖質をと摂っていないつもりでも実は、私達は想像しているより多く摂取している可能性もあります。
子供達の周りはこういった糖質だらけの生活環境に囲まれているのです。ジュースやお菓子はもちろんの事、可能な限り砂糖を遠ざけ、糖質に依存しない生活環境を整える事で、長期的に虫歯や歯周病などの予防をするという事が大切となります。
いかがでしたでしょうか?砂糖がここまで悪いというのは、信じられないと思われるかも知れません。虫歯の原因が糖質にある事。それによる免疫力の低下。これらを排除する事により、少しでもお子さんの虫歯が減る事ができれば幸いです。