これがなくては始まらない。新規就農の必需品まとめ!
農業を始めようとする新規就農者は、年々増加の一途を辿っています。
就職口がない、自然の豊かな田舎で農業をしながらスローライフを送りたい、定年退職したら親元に帰って農業に取り組みたい、大規模農場を擁する農業法人を立ち上げたい…その思いは様々です。
しかし、新規就農した人の全てが農家としてその地に定着し、生活できていると言うわけではありません。
新規就農者から一人前の農家となるには、幾つもの必需品を前もって準備しておくことが絶対に必要なのです。
農家として成功するための必需品とは?
誤解を恐れずに言ってしまえば、新規就農者の中には「夢と元気な身体があれば農業なんて余裕」くらいに楽観的な考えを持っている人が居ます。
こういう傾向の人は、下準備の一つもなく受け入れ先の住民の善意に共倒れになるまで寄りかかって、倒れた途端にさっさと都会に帰ってしまうものです。
このような就農希望者にならないようにするためには、農家として成功するための必需品をしっかり揃えておくことが重要なのです。
生活・農業の基盤となる資本金
農業を始めるに当たって重要な必需品は何かと問われたら、真っ先に挙がるのが「お金」です。
なぜかと言うと、農業を始める為にはとにかくお金が必要になるだけでなく、農家として収入を得られるようになるまで無収入期間が続くからです。
まず、田畑を築くための農地と終の棲家になるであろう住宅を手に入れなければなりません。農地も住宅も賃貸で何とかなる場合がありますが、自己所有のほうが安心感も高いというもの。
次に必要になるのがトラクター・コンバインなどの耕作農機。鍬と鎌があれば充分、という時代はとっくに終わっているのです。最低でも中古のトラクターがなければ今時の農業は立ち行かないのです。
それに種・苗・肥料・農薬なども購入しなければなりません。
無事に作物が実ったとしても、「就農一年目の作物が出荷水準を満たす品質になっている」なんてことは普通にありえないもの。就農から2~3年の間は作物の品質向上の為に試行錯誤する期間みたいなもので無収入になることは当たり前だったりするのです。
つまり、新規就農には都会で会社を立ち上げられるくらいの資本金が必要なのです。
農作業にも近所づきあいにも負けない丈夫な身体
「野菜は一度種・苗を植えてしまえば放っておいても元気に育つ」という思い込みを持っている人は意外と多いものです。実際には毎日の水やりや害虫・病気が発生していないかの確認と対処、こまめな手入れをしないと商品として売り出せる品質を維持できないものです。
流行の有機農業となると農薬が使えないから小さな虫を一匹も見逃さないように注意しながら手作業で駆除しなければなりません。その作業の大変さは想像するに有り余ります。
また、農村では助け合いの実践が求められます。冠婚葬祭や田植え・稲刈りなどで隣近所からの動員要請があるのは当たり前のこと、消防団や青年団などの地元活動に呼ばれることもしばしば。
とにかく昼夜を問わず働き続けられるだけの丈夫な身体が必要になるのです。
すぐに仲良くなれるコミュニケーション能力
農業の中心となる農村は、悪く言えばムラ社会、良く言えば昔ながらの地縁に基づく共同体を形成しているものです。
農村と言う共同体は、「よそ者」を排除する方向で自己保存を図る性質が強いものです。これは新規就農者が離農してしまう原因の一つにすらなってしまうのです。
新規就農者が「その土地の農家」として根付く為には、旧住民との軋轢を乗り越えられるだけのコミュニケーション能力が求められます。要するに「昔からの住民だった」と思われるくらいに他人と仲良くなれる資質がないと、農村で生きていくことは難しいのです。
作物を育てるための農業知識
新規就農者の中には、「家庭菜園をやっていたから経験も知識も充分にある」と過大な自信を持っている人が居るものです。
しかし、ネコの額より狭い庭やプランターで野菜を育てるのと、大規模な畑で露地栽培をするのとでは難易度は明らかに違います。それに同じ野菜でも家庭菜園用の品種と出荷用の品種は育て方が違ってくるものなのです。
それに作物ごとに合わせた栽培法を知らなければ、出荷水準を満たさない出来栄えになるか途中で枯れてしまうかの二つに一つで、莫大な損害を出してしまうことにもなってしまうのです。
農家として生計を立てていくには、作物を上手に育てるための農業知識が必要不可欠になるのです。
農村生活に欠かせない車
農村地域は、都会に比べて交通機関に恵まれていないものです。電車やバスは一時間に1本、タクシーなんか走ってないのが当たり前。交通手段は自分たちで確保するのが当然です。
自家用車に見た目や性能の良さは必要なし、実用性が最優先です。そうなると2ドアのスポーツカーなどは言語道断、普通免許で乗れて可搬性も高い軽トラやワゴン車が大人気なのです。特に軽トラは畑仕事用の道具を荷台に詰め込んでいけるので農村の必需品なのです。
公共の交通機関が充実している都会暮らしでは自家用車はむしろ邪魔に感じられることが多いのですが、地方に行けば行くほど自家用車の需要は増大します。新規就農の前は最低でも自動車免許の取得や運転の練習をしておくのが無難です。
家族の同意も大事
新規就農に失敗する人の中には、「突然会社をやめて反対する家族を引き連れて縁のない土地で就農」というケースが見られます。
昔ながらの亭主関白、と言えば聴こえはいいかもしれませんが、家族を自分の付属物というか従者程度にしか考えていないともいえます。
そして子供の教育や進学のことを考えず、妻が地域に馴染めずにいるのも知らずに「俺は夢を追いかけているんだ、邪魔するな!」、『長年の夢だった農業を頑張る俺かっこいい』に酔って妻子に逃げられ、旧住民からも突き上げを食らってしまい泣く泣く離農する、というのがこのタイプのパターンです。
このような事態に陥らないためにも新規就農を志す際は、就農についての家族の同意・了承を事前にとっておくことが大事です。
夢や情熱は最後でいい
新規就農を志すに当たって、夢や農業への情熱が不可欠とよく言われますが、それは必需品の中でも優先順位を最低にすべき事柄です。 むしろあって当たり前のものなので、他の必需品を揃えること優先させるべきなのです。