美術館?ハンバーガーショップ?独特の雰囲気
クリムトやルソーにボッティチェリ・・・
「いったい、ここはどこ?」
名物のハンバーガーを食べようと店に向かうと、店舗の外壁に微笑むヴィーナスが!
不思議な気持ちで店に入ると、店内の壁という壁にヴィーナス!―顔のアップも!!
これらのヴィーナスはルネサンスの巨匠、サンドロ・ボッティチェリの名作「ヴィーナスの誕生」をモチーフしたもの。貝殻の上で裸のヴィーナスの官能的な絵画の雰囲気が、店内いっぱいに満ちている。
ここは、北海道・函館の人気ハンバーガーショップ「ラッキーピエロ本通店」。ボッティチェリをテーマとした店内はユニークだ。「ボッティチェリ館」と呼ばれている。
map ⇒ ラッキーピエロ本通店
このラッキーピエロ店だけがユニークなのではない。「ラッキーピエロ本町店」のテーマは、クリムトだ。金箔を多用し、官能的な女性を数多く描いた、オーストリアの巨匠、グスタフ・クリムトの世界が広がる店内で、ハンバーガーをほおばる。愛称は「クリムトハウス」。
他にも、
「ラッキーピエロ松陰店」はフランスの素朴派の画家、アンリ・ルソーが描いた、熱帯の風景画をモチーフにしている。
店内は熱帯の原始林がイメージされ、解放感がたっぷり味わえる。店の愛称も「アンリ・ルソーの熱帯楽園」とそのものズバリ。
map ⇒ ラッキーピエロ松陰店
「ラッキーピエロ北斗飯生店」の愛称は「グルメレストラン・ミュシャ館」。
アールヌーボーの旗手で、華麗な曲線で女性を表現したアルフォンス・ミュシャのポスター、デザインが店内に並ぶ。
map ⇒ ラッキーピエロ北斗飯生店
「アールデコ館」と呼ばれるのは、「ラッキーピエロ函館駅前店」だ。店内にはアールデコ調のポスターが壁一面は、天井にまで貼られている。
map ⇒ ラッキーピエロ函館駅前店
「ラッキーピエロ五稜郭前店」は天使の絵画が多く飾られ、愛称は「エンジェルたちのおしゃべり」。
map ⇒ ラッキーピエロ五稜郭前店
ラッキーピエロは美術への造詣が強いかと思えば、それだけではない。
「ラッキーピエロ昭和店」には、女子テニスのかつての名選手たちの写真や絵画が店内いっぱいに装飾されている。まさに「テニスレディ館」の名前がピッタリ。
map ⇒ ラッキーピエロ昭和店
タイムスリップする?オードリー・ヘプバーンにプレスリー
まるで1950年代の店内!
「ラッキーピエロ江差入口前店」に入ると、店内に一際大きい女性の顔写真が。
この店の愛称は「グルメレストラン オードリー・ヘプバーンが憧れだった」と、名前の付け方もストレートだ。
微笑むオードリーの大きな笑顔が迎えてくれる。店内もオードリーの様々なポートレイトが並んでいる。
map ⇒ ラッキーピエロ江差入口前店
1950年代にタイムスリップしたかのようなアンティークな店内の「ラッキーピエロ港北大前店」。プレスリーの写真が並ぶ、ここの愛称は「プレスリーが青春だった」。
map ⇒ ラッキーピエロ港北大前店
さらに、
1930年代から1990年代までの映画ポスター650枚が店内に張り出されているのが「ラッキーピエロ美原店」。愛称は「僕らはみんな映画青年だった」と、映画への深い趣向を感じさせる。
map ⇒ ラッキーピエロ美原店
夢の世界?バードウォッチング?天使?
本当にハンバーガーショップ?
美術に映画、音楽ときて・・・。
よもや、こんな展開が!?と驚かされるのが、
こちらは「果樹園レストラン バードウォッチング館」と呼ばれる「ラッキーピエロ峠下総本店」だ。3000坪の敷地に、300坪のログハウス風のレストラン建物がある。
「世界の鳥たち」をテーマに、緑で統一された建物の他に、メリーゴーランド、池、バジルガーデンがある。ヤギも飼われている。
食事の前後に自然に触れることができる。アウトドアライフを意識した店舗だ。
map ⇒ ラッキーピエロ峠下総本店
メニューにオーナーのこだわり
驚かされる店舗展開だが、2009年に「日経プラス」の「全国ご当地バーガーランキング」でラッキーピエロが第1位に選ばれた。味の評価は高い。
ラッキーピエロは1987年、オーナーの王一郎氏が函館で創業した。他地区への出店依頼を断って、道南地区で展開している。函館っ子からは「ソウルフード」と呼ばれている。
店の1番人気は「チャイニーズチキンバーガー」だ。甘辛いタレの鶏唐揚げとレタス、マヨネーズが挟んである。
これはオーナー王さんの母が作った唐揚げの味と、ハンバーガーが合体したメニューだ。
特徴のある店舗に対して、フランチャイズという考え方もしておらず、各店舗の個性を生かしている。
メニューは基本のハンバーガーの他に、店舗によってはラーメンやあんかけ焼きそばも出している。
食材に関しては「地産地食」をモットーに、できるだけ、道南地方や北海道の食材にこだわっている。
ハンバーガーも「イカ踊りバーガー」や「土方歳三ホタテバーガー」など、アイデア商品も登場する。
こだわりもここまで来ると清々しい?
店舗のテーマを見ると、まるでオーナーの人生をたどるかのようだ。
実際、店舗テーマのアイデアはオーナーが常に考えていることから始まっている。
オーナーのこだわりが、今のラッキーピエロを育てた。
同じ店構えで、同じメニュー、品質を目指すフランチャイズとは正反対の考え方だ。
コスト第一ではなく、個性的な店を選ぶ客の楽しみ、その店で働く店員の楽しみ、それを見て喜ぶオーナーの楽しみ。
周囲を楽しませる、それがラッキーピエロだ。