ニキビの発生・悪化・治療にまつわる噂はどこまでが本当なのか
「溺れる者は藁をもつかむ」というように、焦っている人・悩んでいる人はたとえ頼りにならないものであっても解決の糸口になるかもしれないと思えば全力で縋り付こうとするものです。
ニキビも、そんな藁をもつかみたくなるような心境に追い込む悩み事の一つです。そして、救いの手のように見える藁こそがニキビに関するさまざまな迷信なのです。
チョコレート・ピーナッツはニキビの原因？
ニキビが目立ち始めた思春期に、親から「チョコレートやピーナッツはニキビの原因だから食べちゃダメ」と言われたことのある人は少なくないでしょう。チョコレートやピーナッツには油分が含まれているため、脂肌の原因になりニキビを増やしてしまうから、というのが根拠です。
しかし、実際にはチョコレートやピーナッツを食べたからと言って直ちにニキビが出るわけでもなく、明らかな因果関係があるとは証明されていないのです。ただし、特定の食べ物を摂るとニキビが出やすいという体質を持っている人も中には居るようです。
ニキビは洗顔で治る？
洗顔料のＣＭではよく「ニキビ予防に効果的！」という内容が喧伝されています。そのためか、「顔をしっかり洗う＝ニキビ治療」と考えている人は多く、一日に何度も洗顔する人さえいます。
しかし、ニキビとは皮膚が炎症を起こしている状態なので、洗顔のし過ぎは皮膚を洗顔料による刺激に晒すことに繋がってしまいます。そのため洗顔のし過ぎは逆にニキビを悪化させる恐れがあるのです。
ニキビを悪化させないためにはスクラブの入っていない低刺激の洗顔料で、一日に１～２回程度の洗顔を行うようにするのが好ましいのです。
ニキビはつぶすと治る？
皮膚にはおできなどの吹き出物が出来ることがありますが、吹き出物の中に詰まった膿を絞り出すのが治療の基本となります。そのため、「ニキビも潰して中に詰まった角栓を取り除けば早く治る」と考えている人も少なくありません。
しかし、ニキビの場合はうかつに潰すとクレーターのような跡が残ってしまったり、潰したニキビの周辺にニキビが広がったりしてしまうのです。そのため、ニキビはうかつに触らない方が良いのです。
ニキビは生活習慣で治る？
ニキビが出来た時に親から「だらしない生活をしているからニキビができる」と言われたことのある人は少なくないでしょう。ニキビが出始める思春期は、間食や夜更かしが楽しくて仕方のない時期です。生活習慣にも乱れが出てくるからニキビが出来るのだと思われてしまうのです。
しかし、ニキビの発生は生活習慣よりも成長などに伴うホルモンバランスの変化に影響されている事が大きいのです。生活習慣の改善に取り組んでニキビを治そうとしても、明確な効果が現れないどころか生活改善に伴うストレスでニキビが悪化することさえありうるのです。
ニキビと病院の関係
ニキビは別に命を脅かすほど悪化するものではないため、ニキビに悩む子供を抱える親御さんの多くは「ニキビは病院へ行くほどのものではない」と考えているものです。
ニキビは肌を月面のようなゴツゴツした状態にする原因になり、人目を気にしだす年頃の男女にとっては致命的な悩みになるのですが、親は「放っておけば治るから医者に掛かる必要はない」とか「保険が効かないから行くだけお金の無駄」となるのです。
実際には、ニキビの治療は皮膚科や美容皮膚科で受け付けていますし健康保険の適用範囲で治療できます。ピーリングのような審美治療に含まれる治療の場合、保険の効かない自由診療になることがほとんどですが、治りにくいニキビに悩まされている場合は一度皮膚科を受診するべきでしょう。