【第2回】お店を持つよりも安い。ファッションブランドの初期費用に注目!|トピックスファロー

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2015年9月7日
【第2回】お店を持つよりも安い。ファッションブランドの初期費用に注目!

ファッションブランドを始めた場合と、セレクトショップを始めた場合の、用意しなければならないことや、それにかかる費用を比較してみましょう。

ファッションライター
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ファッションブランドとセレクトショップを持つ場合の費用を比べてみよう。

何か新しいことを始めようとすると、必ず必要となるものがお金。
初期費用を出来るだけかけない方が、負担やリスクを最小限に抑えることができのは言うまでもありません。
実際にファッションブランドを始めた場合と、セレクトショップを始めた場合の、用意しなければならない費用に注目してみましょう。
Fashion designer or tailor working in studio

最初のハードルである開業資金は?

どんな職種であっても、自分で仕事を始めたいと思ったら必要なものが開業資金です。
それはセレクトショップを始める場合でも、ファッションブランドを始める場合も同じです。

では、具体的にどんなことに対して資金が必要なのでしょうか?

1、店舗取得費
2、工事費
3、什器費

上記3点が開業資金の大半を占める費用です。

では、それぞれの費用を、セレクトショップを始める場合とファッションブランドを始める場合で比べてみましょう。

セレクトショップを始める場合

1、店舗取得費
セレクトショップを始めるには、先ずは場所を探すことから始める必要があります。
もちろんこの費用は、都内と地方、大通りと路地裏、地上階と2階以上など、条件によって様々です。
注目すべき1つの大きなハードルが、敷金が住居用の賃貸とは違い、10ヶ月程度を用意する必要があるところです。
仮に毎月20万円の場所を借りることになれば、200万円の敷金を準備することになります。
2、工事費
主に内装と外装費用のことを指します。
セレクトショップにとってお店の雰囲気作りはとても大切です。
どのセレクトショップもテイストの違いはありますが、オシャレな演出に力を入れており、売上に左右される重要な部分です。
広さやどの程度を自分で行うかによって変化はすると思いますが、大体300万円程が相場です。
居抜き物件と言われる、前の借主が使用していたまま利用できる場所もありますが、数十万円の譲渡代金を支払う必要があります。
3、什器費
内装が終わったら、ショップ内に商品を並べる什器が必要になります。
ラックやディスプレイに使うテーブルなど、雰囲気に合ったデザインのものを揃えることになります。
什器費に関しては、お店によって様々ですが、相場は50万〜100万円と言われています。
こちらも、工夫次第で費用を抑えられそうですが、店内の雰囲気が安っぽくならないようなバランスが重要になります。

ファッションブランドを始める場合

1、店舗取得費
事務所やアトリエを構えるのであれば、セレクトショップを始める場合と同じように賃貸契約費用がかかりますが、自宅で始めるのであれば、新しく場所を借りる必要もないので、「費用はゼロ」と考えても問題はありません。
ファッションブランドを始めてみて、軌道に乗った際に事務所やアトリエを構えても遅くはありません。
2、工事費
こちらも自宅で始めるのであれば、費用は必要ありません。
ただ、自宅であれば、仕事をプライベートの区別や切り替えができるように、部屋も仕事場と生活空間で分けることが理想です。
また、事務作業をするデスクとは別に、作業台として大きめのテーブルがあれば仕事もやりやすくなるはずです。
自宅を仕事場として使える準備が必要です。
3、什器費
ラックやハンガーなどがあれば理想的ですが、最初は特に必要ありません。
合同展示会などに参加する場合も、ラックなどをレンタルできるサービスもあります。
ちょっとした直しや変更を行う為に、ミシンやアイロンがあれば理想的です。
最初はとりあえず、家庭用のものでも十分なので、用意しておくと便利です。

このように、セレクトショップを始める場合は開業資金で少なくても500〜600万円はかかりますが、ファッションブランドを始める場合は、自宅で始めることができるので「開業資金ゼロ」に近い状態でスタートできます。

仕入れ

次に重要なことが、セールスする商品の調達です。
商品を売ることで利益が生まれることからとても重要です。ファッションの分野ではセンスも活かす必要があります。

セレクトショップを始める場合

ショップを始める際は空っぽの状態なので、充実した品揃えになるように商品を仕入れる必要があります。
国内ブランド・海外ブランドによって仕入れ値や条件などが違いますが、600万〜1000万円程の金額分を入荷する必要があります。
仕入れが十分でなければ、利益を出すために必要なセールスする商品が不足するため、お店の売上を安定させることが難しくなります。

ファッションブランドを始める場合

ファッションブランドを始めるには、まずサンプルが必要です。
このサンプルを元に、展示会などでバイヤーへ紹介し、受注を取ることがファッションブランドのセールスの基本です。
サンプルはTシャツであれば、1枚5000円以下でも作ることができます。
仮に20型のTシャツを作った場合でも10万円以下でサンプルを用意することが可能です。

このようにセレクトショップを始めるには、たくさんの商品を揃えるために資金が必要です。
ファッションブランドを始めるのであれば、サンプルを元にセールスを行う受注生産なので、用意するものはサンプルだけで十分だと分かります。

毎月のコスト

毎月必要なコストも事前にしっかりと計算しておく必要があります。
最初は売上が十分でなくても、自己資金でカバーすることが一般的です。

セレクトショップを始める場合

一番金額的に大きいコストが毎月の家賃です。
当然ですが、毎月の家賃が20万円であれば、それに光熱費などをプラスした金額が毎月のコストになります。
また、商品を包む袋やバッグ、レジ周りの消耗品などがコストと考えられます。

ファッションブランドを始める場合

こちらも自宅にてファッションブランドを始める場合は、ほとんどゼロに近いです。
デザインを考える際に使用する画材道具などの細かいもの以外は毎月のコストはかからないと考えても問題ないです。

店舗を持つことにより、毎月のコストも大きく変わってしまいます。
この金額を、仮に軌道に乗るまでの期間が1年と考えた場合、コストの差はすごく開くことが分かります。
毎月のコストが低いほど、負担なく仕事を続けることもできるので、限りなくゼロに近いファッションブランドのコストは魅力的です。

ファッションブランドを始めるメリットは?

開業資金や、毎月のコストが少額に抑えることができることは分かりました。
では、実際にファッションブランドを始めるとなると、どんなメリットがあるのでしょうか。
具体的なメリットをチェックしてみましょう。

実は自宅の家賃が経費にできる!

ファッションブランドを始める際には、自宅で始めることで開業資金を大幅に少なくする有効的な方法となります。
それだけでなく、自宅の家賃や光熱費を経費として扱うことが可能です。
それぞれの使い方や、仕事場と生活空間を分けている場合などで異なってきますが、およそ全体の3〜4割は経費として計上できる計算になることが多いです。

また、インターネットの料金も週5日間自宅で働いている方であれば、7割を経費にできることもあります。

自宅で始められるファッションブランドには、開業資金を抑える他に経費の面でもメリットがあります。

デザインできるスペースがあれば、小スペースでも始められる!

ファッションブランドを始めるには、オリジナルでデザインをする作業が重要な仕事ですが、逆に言えばデザインができるスペースさえあれば十分です。

パソコン内でデザインする方法や、実際に紙の上でデザインをする方法などがありますが、デスクが1つあればデザインは可能です。
自分で型紙と呼ばれるパターンを作成するには大きめのテーブルが必要ですが、Tシャツや既成のボティを使う場合には、必要ありません。

ファッションブランドは、デスク1つの小スペースで始めることができます。

ファッションの分野では資格や免許はいらない!

独立や開業に多い職種で、美容室やカフェなどがありますが、いずれも美容師免許や調理師免許などが必要な場合があります。

それらを取得するには、試験を受けることや実際の店舗での経験が必須であることもあり、すぐに始めることは難しいです。

それに対してファッションブランドであれば、免許や資格などは必要なく、誰でも始めることができます。

あえて必要なものを挙げるとすれば、センスと創作力です。

デザインに共感してもらえることや、魅力的に作り上げるセンスと、誰にも真似できないオリジナリティのある創作力が重要です。

実際にファッションブランドを始めた方の中には、もちろんファッション業界での実務経験がある方が多いですが、服好きの延長線上で全く関係のない職種から始めた方も珍しくない分野です。

日本を代表するブランドである、ジョンローレンスサリバンのデザイナー柳川荒士氏は、プロボクサーを引退してファッションブランドを始めた経歴があることでも話題になっています。

小規模で始めるなら、最適な方法

セレクトショップを始める場合と比較してご紹介しましたが、リスクを少なく小規模で始めるならファッションブランドが現実的であることが分かります。
また、小さいブランドであってもデザイナーになれると考えると、憧れの職業に就ける感覚で始めることができ、楽しみながら仕事ができそうですね。
【連載】ファッションブランドの作り方

著者:yu-ki

ファッションライター
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英国にてロンドンコレクションブランドでのデザインアシスタント経験後、東京コレクションブランドのセールススタッフ、海外ブランドのPR会社を経てファッションライターに。
ファッション業界の内部での活動から得た情報やファッション業界だけの常識など、他の業界とは違う特殊な世界をご紹介致します。