タクティールケアの2つの効果
タクティールケアは、もともと1960年代にスウェーデンの看護師によって考案されたタッチケアで、未熟児の手に触れるだけで発育に効果があることから、その後、補完療法としてさまざまな分野のケアに用いられるようになりました。
タクティールケアには特に、以下のような2つの効果があると考えられています。
癒しのホルモン「オキシトシン」の分泌
“安静ホルモン”や”愛情ホルモン”などのさまざまな別名を持つ「オキシトシン」は、母親が赤ちゃんに触れたり、恋人同士のスキンシップで分泌されるといわれることから、優しく触れるだけのタクティールケアにも、このオキシトシンを高める効果があると考えられているのです。
オキシトシンには、ストレスを和らげ心を安定させる効果のほか、他者への信頼感や他者からの信頼に応えようという気持ちが強くなるという効果があります。そのため最近は、不安・焦燥・興奮・暴力などの心理症状が見られる認知症のケアで活用されはじめているのです。
痛みを和らげる「ゲートコントロール」効果
ゲートコントロールとは、1965年に発表された痛みの抑制についての理論です。
細胞に刺激を受けることで感じる触覚・痛覚・温度覚などの皮膚感覚の中でも、触覚を受ける細胞で刺激を受けると痛覚を感じるゲートが閉じられるため、脳に痛みを伝える細胞まで情報が伝わらないというのが、ゲートコントロール理論です。
そして優しい触覚が特徴のタクティールケアは、このゲートコントロール理論に基づくことから、痛みを抑制する効果があると考えられているのです。特に、不安感と疼痛の両方の症状を持つ、ガン患者の緩和ケアの効果的な補完療法として注目されています。
資格を取得するには?
「タクティールケア」は、JSCI(株式会社日本スウェーデン福祉研究所)が認定する民間資格で、JSCIが実施する講座を受けることによって資格を取得できます。
どんな種類の講座があるの?
現在、JSCIが実施する認定資格には2つの講座があります。
タクティールケアⅠコース
タクティールケアの基礎理論と手・足・背中への実技を学ぶ、タクティールケア初心者を対象とした講座です。
タクティールケアⅡコース
タクティールケアの顏・頭・お腹への実技を学ぶ、タクティールケアⅠコース認定者を対象とした講座です。
認定資格の取得方法
2つの認定資格は講座終了後、以下のようなプロセスによって取得することができます。
1. 実習
1人当たり20回のケアを、5名に対して合計100回実施して、JSCIの研修センターに実習記録を送付します。(ただし、5名のうち少なくとも2名は認知症などの疾患を持つこと。)
2. 試験
JSCIの研修センター、または地方講座の開催会場で実施される筆記・実技試験を受けます。
3. 認定
試験に合格すると、JSCIから認定証書が発行されます。