なぜ増える、自転車による交通事故
ガソリンも免許も要らず、車検さえも要らない自転車は、石油価格高騰・二酸化炭素排出量削減などの社会的な風潮も手伝ってか、人気が高まっています。
しかし、その一方で自転車によって引き起こされる交通事故が増加しているのです。それも自転車が被害者になる事故だけではなく、自転車が加害者になる事故も増加しているんです。 なぜここにきて自転車による交通事故が急増しているのでしょうか?その原因を探ってみましょう。
法改正の影響
自転車の交通事故の増加の一因としていえるのが、2008年6月に行なわれた道路交通法の改正です。この改正では、運転席・助手席だけでなく後部座席の乗員もシートベルトを着用することが義務付けられたことだけでなく、自転車の車道走行についての記述にも変化があったのです。
本来、自転車は「自転車走行可能」と標識で明示されている歩道以外では、車道の左側を走らなければならなかったのですが、この法改正では「道路が渋滞している場合は歩道を走ってよい」ということになっています。
そのため、本来自転車が走れない歩道でも緊急避難の拡大解釈的に自転車が走るようになってしまい、歩行者との事故が増加しているのです。
交通ルール違反の常態化
歩行者・自転車はいわゆる「交通弱者」として、対自動車の事故では優遇される傾向にあるせいか、子供の手本になるべき大人に交通ルールを守らない傾向が強く見られます。
軽車両である自転車の場合はその傾向が顕著で、都合よく車と歩行者の立場を使い分けてルール無視を正当化しているところがあるといえます。
例えば、日常的に見られる交通ルール違反には次のようなものがあります。
- 直進方向の左側ではなく右側を逆送する
- 歩行者専用歩道を自転車から降りずに走行する
- 一時停止の標識があっても止まらずにすり抜ける
- 赤信号になっても信号無視する
など
このような自転車の機動力に物を言わせた交通ルール違反が日常的に行われているんです。
ノーブレーキのピストバイク
最近問題になっているのが、ハンドブレーキが付いていない自転車「ピストバイク」のブームです。
ピストバイクは競輪用の自転車と同じくブレーキが付いていないため、ペダルを逆漕ぎしないと減速・停止できないのが特徴です。
そのため、ブレーキが効いて止まるまでの制動距離がハンドブレーキ付き自転車よりも長く、急に止まることが出来ず事故を引き起こしてしまうのです。
そもそも、ハンドブレーキの付いていない自転車は道路交通法違反で公道を走ってはいけないのですが、ピストバイク乗りはファッションで普通の自転車ではなくピストバイクを選んでいるため、違反であることを気にせず公道を走るため、社会問題となっているのです。
携帯や音楽を聴きながらの走行
交通事故の原因の一つに、わき見や携帯電話の使用をして注意力散漫になって歩行者や停車中の車の発見が遅れる、ということがあります。
これと同じように自転車に乗っている人が携帯電話で通話していたり、両耳をイヤフォンでふさいで音楽を聴いたりしながら自転車を走行させている光景を目にすることがあります。
このような携帯を掛けながら・音楽を聴きながらの、自転車の「ながら運転」には各都道府県の警察で罰則規定が設けられています。