八戸せんべい汁とは
鶏や野菜でダシを取った醤油ベースの鍋の中に、南部せんべいを割って入れる郷土料理の事。
お鍋として食べてもいいし、汁物として食卓に並ぶこともあります。
具材は特に決められていませんが、鶏か豚を入れてダシを取る事が多いようです。
それ以外にはごぼう、キノコ、ネギ、ニンジン、シイタケなどが一般的。
また、八戸は海に面した土地柄、海産物が豊富で、タラや焼きサバを入れる家庭も多いとの事。
お鍋にキャベツを千切りにして入れる場合もあるようですね。
せんべい汁の主役『南部せんべい』
南部せんべいは、煮込んでも食感が残るよう鍋専用に開発された物を使用しています。
その為、煮込んだ時にグズグズに溶けて崩れる物は偽物ですので注意しましょう。
「かやきせんべい」とも呼ばれるこの鍋用のせんべいですが、原料には小麦粉を使用しています。
鍋に入れてもプルプルで崩れない秘密は、この小麦粉に含まれる『グルテン』のおかげ。
その食感は「すいとんをさらにもっちりさせた感じ」が一番近いのですが、実際には食べてもらうしかないでしょう。
お肉や野菜から溶け出した旨味をスープと一緒にたっぷり染み込ませた「南部せんべい」。
初めて食べたとき、まず、生地自体がもつ想像以上の「コク」というか風味に驚き、そのもちもちした食感と「汁」の旨みとが相まって、正直「美味い!」以外の感想は思いつきませんでした。
予想を良い意味で大きく裏切ってくれたせんべい汁には、ただただ脱帽するしかありません。
芯から温まる優しい味わい
材料も作り方も奇をてらったものではありません。
材料さえそろえば誰にでも簡単に作れる料理です。
だからこそ、日本人なら誰の口にも合う、優しくてどこか懐かしい味わいを作り出すことが出来るのです。
7年もの間、飽きられる事もなく常に上位でランクインしていた理由はここにあるのでしょう。
1食400kcal以下
気になるカロリーは具材によって変化しますが、200kcal~400kcal程度。
ダイエット中でも1日に1400kcalは取る事を考えると、非常に低カロリーな料理であることが分かります。
また、タンパク質や野菜もバランスよく取れるので安心して食べることが出来ますね。
八戸せんべい汁の歴史
そもそもの始まりは江戸時代後期の事。
八戸では麦やソバをせんべいにする「てんぽせんべい」があり、それを汁物に入れたのが直接の始まり。
この時のてんぽせんべいは柔らかいものでしたが、その後、鉄製のせんべい焼き機が一気に広まるとせんべいも硬焼きが主流になっていきました。
現在のように、煮込んでも溶けない「かやきせんべい」が登場するのは昭和30年頃。
さらにその10年後、昭和40年に訪れた郷土料理ブームにのり、せんべい汁はすっかり家庭に定着し、青森を代表する郷土料理の一つとなりました。
八戸せんべい汁を全国区へ
そこからさらに全国区へ押し上げたのは『八戸せんべい汁研究所(汁゛研:じるけん)』の活躍があったからこそでしょう。
汁゛研は2003年に八戸せんべい汁を使って町おこしをする為に発足しました。
飛躍のきっかけとなったのは2006年に汁゛研が中心となって行ったB-1グランプリ。
1回目こそ来場者数1万7千人でしたが、翌年の大会では約15倍の25万人を記録。
その後はさらに規模が大きくなり、2012年には61万人と大盛況でした。
その中で第1回大会から常に上位をキープし7回目の大会で念願のグランプリを獲得。
八戸せんべい汁のブランドが全国に知られるようになりました。
八戸せんべい汁の食べられる店
せんべい汁を提供する店は多いのですが、ここはB-1グランプリの『八戸せんべい汁研究所』公認のお店にこだわるべきです。
2012年現在で、汁゛研が確認しているのは約200件。
この集計はグランプリ受賞前の集計ですので、今度さらに増えていくでしょう。
気になるお店の一覧は「食べ歩き飲食店ガイド|八戸せんべい汁研究所」からどうぞ。
それぞれのお店ごとに具材やダシの取り方にこだわりがあり、1番は決められませんでした。
どうしても迷うようでしたら「八戸せんべい汁おもてなしマイスター」のお店なら間違いないでしょう。
青森まで旅行に行く際は、ぜひ食べ比べてくださいね。