薬の新たなスペシャリスト「登録販売者」とは?
2009年の薬事法の改正に伴い、新たに生まれたのが「登録販売者」という制度です。
登録販売者は、薬剤師とは別に一般用医薬品の販売ができる、新しい薬の専門家なのです。
それまでは、薬局・薬店・ドラッグストアで一般用の医薬品を販売できるのは薬剤師か薬種商でした。
ところが、法改正によって薬種商が廃止され、新たに登録販売者が薬を販売することができるようになったのです。
この、あまり知られていない登録販売者には3つのお得なポイントがあります。
資格が取得しやすい
登録販売者は、各都道府県知事が所管する制度で国家資格ではありません。
各都道府県知事が実施する試験に合格後、登録をすることで販売従事登録証が交付されるのです。
登録販売者試験を受験するためには、主に以下の条件のいずれかを満たしている必要があります。
- 平成18年3月31日以前に、大学において薬学の正規の課程(4年制)を修めて卒業した
- 平成18年4月1日以降に、大学において薬学の正規の課程(6年制)を修めて卒業した
- 高等学校卒業後、1年以上の実務経験がある
- 4年以上の実務経験がある
薬剤師が、薬に関する知識を大学の薬学部で、6年という長い歳月をかけて学ばなければ受験資格を得られないのに対し、登録販売者は、高校を卒業後1年間の実務経験があれば試験を受けられるのです。
そのため、過去にドラッグストアや薬局で働いた経験があるというだけでも、簡単に薬の専門家を目指すことが可能になりました。
また、各都道府県によってばらつきはありますが、ここ数回の合格率は50%前後と、資格としてはそれほど難易度が高くないことから、数か月間しっかり受験勉強をすれば、合格は難しくないといえます。
第2類・第3類医薬品の販売
店舗で薬を販売する場合、薬剤師は一般用医薬品の第1類~第3類の全てを販売できるのに対し、登録販売者は第2類と第3類のみに制限されています。
ところが、第2類と第3類の医薬品は店舗で販売されている一般用医薬品の9割を超えるため、登録販売者は店舗で売られているほとんどの薬を販売できるといえるのです。
就職や転職に有利
2009年の大学薬学部における6年制導入により、2010・2011年に卒業生がいなかったことから、現在、空前の薬剤師不足といわれています。
また、ここ数年の躍進によりドラッグストアは、街のあちこちで店舗が急増。
どこの店でも、のどから手が出るほど薬剤師が欲しいという状況の中で、最近注目されつつあるのが登録販売者なのです。
さらに、働く場は薬局やドラックストアに限定されません。
今後は、コンビニやエステなど、異なる分野の店舗でも十分需要が見込めるでしょう。
また、独立して開業することだって可能になります。
このように、登録販売者の可能性は今後どんどん広がっていくことから、就職や転職に有利な職業になるはずです。