何時あなたの会社に襲い掛かるかもしれない!?M&Aとは|トピックスファロー

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2012年9月14日
何時あなたの会社に襲い掛かるかもしれない!?M&Aとは

株式上場は多くの企業にとって大躍進のチャンスですが、同時に大きなリスクを背負うことになります。特に、株式買い付けによるM&Aは、一生懸命に大きくしてきた会社から経営陣全員が放逐されてしまう危険性さえ秘めているのです。

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株式上場がもたらすM&Aのリスク…その手法と対策とは?

法改正によって、これから新しく作る会社は全て株式会社として設立することになっていますが、株式市場に上場して株式を公開して、初めて本当の意味で『株式会社』になるといえます。
株式の公開は、一般投資家・投資会社からの資金調達を行うということであり、会社が新事業を興す時や会社の移転・拡張を行う際の原資など会社が成長するために活用することが出来ます。
しかし、株式の公開には様々なリスクが付きまといます。その中でも最も大きなリスクは「M&Aによる企業買収」なのです。

M&Aとは何か?

M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略で、「買収と合併」という意味の言葉です。一般に言われるM&Aは「株式買収による会社合併」という意味合いを持っています。

株式会社が発行した株式は、株式の総発行済み株式数に対する持ち株数で決まる「持ち株比率」が上がれば上がるほど株主は会社に対しての権限が大きくなっていきます。
持ち株比率が3分の1にあたる33.3%を超えると株主総会における特別決議への拒否権が発動できるようになります。
そして、持ち株比率が過半数の50.1%になると取締役・監査役を自由に選任することが可能になり、3分の2にあたる66.7%を越えると普通決議を単独で決定できるようになります。

会社買収は持ち株比率が50%に達した時点で事実上片が付くため、M&Aでは対象企業の発行済み株式の50%を取得することが目的となります。

M&Aのための株式を集める方法は?

M&Aを実行する買い手企業は、とにかく買収先の発行済み株券を50%まで集めなければなりません。
しかし、株式市場で買い付け出来る株式の数はそう多くない上に買い付けを繰り返しているうちに株価が上昇して買収資金が底をついてしまうということさえあります。

そのため、M&Aを行う場合は株式市場外でTOB(公開買付け)を行って、株式を集めることになります。
TOBでは買い付け期間と必要株数、買い付け額を提示して株主から直接株式を買い集めます。買い付け額は市場株価よりも高値に設定されており、投機目的で株式を買った投資家にとっては都合のいい物といえます。

現在は法改正によって多量の株式買い付けを行うには市場ではなTOBを利用しなければならず、不意打ちのような大量株買付けを行うことは難しくなっています。

M&Aを行う理由とは?

M&Aを行って会社合併を行う理由はさまざまにありますが、買い手企業の利益に繋がっていることだけは確かです。では、どのような理由でM&Aが行われるのでしょうか?

技術力・頭脳などの優れているところを吸収する

M&Aの対象になる企業には、必ずと言ってもいいほど有形無形の財産を持っている物です。中でも無形の財産である技術力や頭脳は、同じ分野を研究している企業にとっては喉から手が出るほど欲しいものです。
つまり技術力や頭脳を企業ごと囲み込んで吸収しようというのがM&Aの目的の一つとなるわけです。

市場におけるシェアの拡大

例えば、ある商品の市場を50%抑えている企業Aと35%抑えている企業B、20%のシェアを持つ企業Cがあったとします。企業の規模はA>B=Cとした時、企業Cは企業Aと企業BのどちらにM&Aを仕掛けるべきでしょうか。
この場合の答えは企業Bです。企業BをM&Aで買収すればシェアは35+20=55%まで拡大し企業Aを飛び越えて市場ナンバーワンになります。

このように、市場のシェアを拡大するために同業他社にM&Aを行うことがあります。

企業が持っている資産の入手

現在活動している企業の中には、本業が開店休業状態で副業や不動産や特許などの資産から上がってくる収入でやりくりしているという会社も少なからずあります。
このように会社そのものではなく、会社が所有している資産を目的にしたM&Aも行われているのです。

このケースでの代表的な例としては村上ファンドによる阪神電鉄へのM&Aが挙げられます。

M&Aを仕掛けられた当時の阪神電鉄は経営が低迷して株価が下落傾向にあったものの、駅周辺の土地やプロ野球球団などの魅力的な資産を多数所有しており、「株価を上昇させる材料が豊富にある」と判断されM&Aの実行にゴーサインが出たという経緯があります。

M&Aを受ける会社はどのような対策を取るべきか

上場して株式を公開した以上、企業は自社へのM&Aはあって当然の物と考えて対策を取らなければなりません。なぜならM&Aは常に友好的に行われるものではなく、敵対的に行われることも珍しくないからです。
敵対的M&Aを行われて買収された場合、買収された企業の旧経営陣や社員はそのまま会社に残ることが出来なくなる可能性が非常に高いからです。

自社と社員を守るためには、M&Aを仕掛けられた際の対策をしっかりと行っておくことが求められるのです。

第三者割当増資

第三者割当増資は、特定の第三者を購入者として割り当てた新株を発行することで発行済み株式の総数を増やし、買い手企業の持ち株比率を引き下げるという対策法です。

第三者割当増資では新株の額面を市場株価よりも引き下げて発行することが出来るため、場合によっては証券取引法違反に問われる可能性があります。

ポイズンピル

ポイズンピルは特定の条件下になった時に有効になる新株発行権を準備しておき、M&Aで条件が満たされた場合に新株が発行されて買い手企業の持ち株比率を引き下げるという手法です。

クラウン・ジュエル

クラウン・ジュエルは直訳すれば「王冠の宝石」という意味で、会社が保有する資産を指しています。
クラウン・ジュエルはM&Aが成立する前に資産の放出や譲渡、計画倒産を行って買収価値を無くすという捨て身の対策で「焦土作戦」とも呼ばれます。

ただし、経営陣による会社価値の暴落行為という一面があるため場合によっては背任罪・特別背任罪に問われる可能性があるのがネックといえます。

ホワイトナイト

ホワイトナイトは、M&Aで買収されている企業の味方になってくれる第三者のことです。
お姫様のピンチにさっそうと現れる白馬の騎士のごとく、株式を買収して買い手企業の持ち株比率の増加を防ぐのが目的です。
逆に買い手企業の株式を取得してM&Aを中断させるという手法もあります。

大企業ばかりが狙われるとは限らない

日本でのM&Aはライブドアとニッポン放送、村上ファンドと阪神電鉄に代表される大企業・投資ファンド対大企業で行われるケースが多かったせいか、「自分は無関係」と思っている会社も少なくないものです。
しかし、「日本国内で行われているM&Aの70%近くが中小企業を買収対象にして行われている」ともいわれており、全ての中小企業がM&Aと無関係でいられるという保証はないのです。

友好的なM&Aならばまだしも敵対的M&Aを仕掛けられた場合、対策に駆けずり回ってボロボロになってしまうことも十分にありうるので日頃から株価を監視するなどの警戒を怠らないようにするべきでしょう。

著者:塩屋 謙

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職業は編集・校正、そしてWEBライターでもあります。興味の範囲を広げつつ、様々な記事を書いています。