まずは自己診断
- 『1ヶ月以上、声がかれて戻らない』
- 『食事の時、喉に違和感がある』
- 『咳、たんが絡むようになった』
- 『そのたんに血が混じる』
- 『息が臭うと言われることがある』
- 『運動しなくても、呼吸が苦しい』
- 『首の付け根が腫れているように感じる』
上記の質問は、全て喉頭がんによっておこる症状です。
風邪を引いた時にも同じような症状が出ますので、心当たりがあるからと言ってすぐに喉頭がんとは断定できません。
しかし風邪を引いている訳でもないのに首の付け根(リンパ節)が腫れていたり、あるいは3つ以上あてはまるのなら、医師による検査をおすすめします。
『命』を失いますか?それとも『声』を失いますか?
喉頭がんとは、喉頭(のどぼとけ)周辺にできる悪性腫瘍の事で、発症率が男女比10対1と圧倒的に男性に偏りがあるがんの一種です。
がんのできる場所
喉頭がんは、声門を中心に「上部」「真ん中」「下部」の3つに分け、「声門上がん」「声門がん」「声門下がん」と部位によって呼び分けます。
その中でも八割近くが「声門がん」に集中しています。
しかし声門がんの場合、初期の段階から『声がかれる』といった自覚症状が出やすいという特徴があります。
その為に早期発見へとつながりやすく、結果として治療しやすく、生存率が高いがんと言えるでしょう。
分かり難い「声門上がん」と「声門下がん」
一方で、「声門上がん」と「声門下がん」には「声門がん」のような分かりやすい自覚症状はなく、せいぜいが咳が出るようになったり、喉に違和感を感じる程度です。
知らず知らずのうちに転移し、声がれや血が混じったたんが出る段階では、かなり進行していると思って間違いないでしょう。
喉頭がんの原因
『喫煙』、『飲酒』、『喉の酷使』が、主な原因と考えられています。
中でも『タバコ』が最も発生率を高める原因となっており、1983年から2003年までの追跡調査において、『喉頭がんを患った人の5割以上が喫煙が原因』、さらに『喫煙の習慣が無い人と比べると2.7倍も発生する確率が高い』というデータが発表されています。
また、日本において喉頭がん患者が男性に偏っているもの、喫煙習慣やその本数が男性に偏っている事に原因があります。
事実、喫煙比率の少ないアメリカでは喉頭がんの発声比率も少なく、近年女性の喫煙者が増えてきた日本では女性の喉頭がん患者が増えています。
喉頭がんの症状と治療法
症状は、がんの進行度に応じて4つの段階に分けられます。
第1段階(早期)
最も初期の段階。
がんがまだ小さく、喉(生体付近)にしか存在していない状態です。
声帯に腫瘍ができた場合は、『声がかれる』といった初期症状を自覚する事ができます。
治療法
ごく初期の段階ですので、放射線治療でほぼ完治します。
稀に放射線治療に効果が無い場合は、喉頭の部分切除やレーザー治療が行われます。
しかし範囲が小さい為、声帯へのダメージも少なく、発病前の声を取り戻すことが可能です。
第2段階(早期)
がんの範囲が大きく広がり、喉の他の範囲までがん化。
しかしまだリンパ節まで転移していない状態。
腫瘍が大きくなり気管を圧迫し、息苦しさを覚えるようになります。
また食事の時、食べ物を飲み込むと異物感や痛みを感じる事がおおくなります。
治療法
この段階までは放射線治療で感知する可能性は十分にあります。
しかしがんの大きさや場所によっては、声帯の部分、あるいは全摘出手術が必要になるケースも少なくありません。
第3段階
リンパ節へ3cm以下の転移がある状態ですが、まだ他の臓器への転移はありません。
場合によっては、声帯が全く動かないという症状も現れます。
治療法
喉頭の全摘出手術が最も安全とされています。
しかし、全摘出を行うと自分の声を失う事になりますので、放射線治療を行い、それでも改善が見られない、もしくは再発した際には全摘出手術を行うといった方法を取る場合もあります。
第4段階
がんが喉から顎にまで拡大。
リンパ節への転移が多数認められる。
また他の臓器への遠隔転移も確認された状態。
治療法
喉頭全摘出手術が行われます。
しかし他にもがんが転移していますので、それらの治療も同時に行う事になり、闘病生活は非常に厳しいものになるでしょう。
おかしいと思ったら病院へ
喉頭がんは自覚症状が出やすく、早期発見がしやすいがんの一つです。
特に第1段階では放射線による治療で九割以上が完治すると言われています。
また病状が進行しても、5年生存率が6割を超え、がんの中では高い生存率となっています。
その一方で、喉頭の全摘出手術を行うと、完全に声を失い、二度と自分の声で話せないという重い後遺症を残すがんでもあります。
喉に違和感を感じたら、早めの検診を受ける事が、早期発見と効果的な治療へとつながる事になります。