知らないでは済まされない、葬儀参列でのマナー
マナーとはつまるところ「常識的な振る舞い」のことで、マナーを守れない人間は「非常識なやつ」と取られてもしょうがないものです。
特に、葬儀という人生の締めくくりであり区切りをつける場において、マナーを守らない・守れないと言うことは「弔問にかこつけた侮辱に来ている」と遺族の怒りを買ってもそれは当然のことでしょう。
社会的信用を失わないためにも、葬儀でのマナーは必ず身に付けておくべきものなのです。
参列する時の服装と持ち物
葬儀に参列する際の男性の服装は女性に比べてシンプルなものになります。
本来なら礼服とされるモーニングが正式な服装になるのですが、モーニングを着用するのは基本的に遺族側になるので参列客は略式の礼服となる黒もしくは濃紺のダークスーツで構いません。
スーツの下は白のワイシャツと黒のネクタイ、金具などがついていない黒の革靴を身に付けます。
持ち物として欠かせないのは数珠と香典を包む袱紗(ふくさ)です。
袱紗は葬祭冠婚両方で使えるよう、紫色か藍色のものを準備しましょう。
指輪やネックレスなどのアクセサリーは、涙を表現する真珠以外のものは身に付けるべきではありません。
結婚指輪は例外ですが、石がついていたら手の平側に回すなどして目立たないようにします。
どうしても参列できない場合は…
忌引き休暇が取れない、遠隔地に居るなどどうしても参列できない事情がある場合は参列できない旨をご遺族に伝えた上でお悔やみの手紙や弔電を打って参列に代えるのがマナーです。
香典は現金書留で記入を済ませた水引袋ごと送るのがベターでしょう。
出来れば、葬儀が終わった後にご遺族を尋ねて弔問させていただくようにしましょう。
香典の書き方・包み方
香典を包む袋は、白黒の水引がついた香典袋を使うのがマナーです。
香典袋の表書きは、水引の結び目を境にして上部に「御霊前」「御仏前」など故人と宗派にあわせて記載しなければなりませんが、どの宗派にも使える「御霊前」と書くのが無難でしょう。
結び目の下部には自分の名前、連名での香典ならば代表者三名分の名前を記載します。
三名以外の名前は別紙に記載してお札と一緒に中包み袋に入れましょう。
香典袋の中包み袋には、裏側にいくら包んだか分かるように右側に「金○千円」と旧漢数字で書き込みます。
袋の左側に自分の名前と住所を記載します。
連名での香典の場合は代表者の名前と住所を記載しましょう。
香典袋はそのまま持ち歩かず必ず袱紗に包んでおき、お供えするときまで袱紗から出さないようにしましょう。
通夜・告別式中の振る舞い
いわゆるお葬式は、家族・親戚と故人と親しかった人で行なう「通夜」と最後のお別れとなる「告別式」で構成されていますが、告別式の前に火葬を終わらせてしまう地域もあるため、通夜のほうが参列者が多いと言うケースも少なくありません。
ともかく、通夜もしくは告別式に参列する場合は神妙に故人を悼むように姿勢を正すのがマナーといえます。
たとえ生前の故人がしんみりしたのは嫌いな人だったとしても、参列客が勝手に勘案して騒がしくやろうと言うのは常識以前の問題です。
携帯電話もマナーモードにするか電源を切っておきましょう。
ご遺族と顔を合わせた際は黙礼か「このたびはご愁傷様です」程度の短い挨拶にしましょう。
ご遺族を相手に故人との思い出話に花を咲かせるのは葬儀が終わってからするべきです。
焼香の正しいやり方
仏式の葬儀では、導師を務めるお坊さんの読経が響く中で遺族と参列者一同による焼香が行われます。
焼香には、祭壇前に設置された焼香台に向かって行う「立式焼香」と、香炉と抹香を参列者同士で回して焼香を進める「回し焼香」があります。
立式焼香の場合は
- 自分の番が来たら焼香台の手前でご遺族とお坊さんに向かって一礼
- 焼香台の手前で遺影に向きあってから合掌
- 焼香台の抹香を右手の親指・人差し指・中指で摘まむ
- 抹香を摘まんだまま目を閉じて右手を額の高さに持っていく
- 右手を下ろして香炉に抹香を三回に分けて落とす
- 焼香が終わったらもう一度遺影に向かって合掌し、一礼してそのまま2~3歩下がる
- もう一度ご遺族とお坊さんに向かって一礼して自分の席に戻る
の順序で行ないます。
回し焼香の場合は
- 自分の下に香炉が来たら回してきた人に一礼する
- 香炉を自分の膝の上か手前に置く
- 右手の親指・人差し指・中指で抹香をつまむ
- 目を閉じて摘まんだ抹香を額の高さまで掲げてから香炉に三回に分けて落とす
- 焼香が済んだら合掌し、隣の人に香炉を回して一礼する
という簡略化された順序で行ないます。
通夜が終わった後はどうする
焼香と読経が終わった後は、喪主の挨拶を持って通夜が締めくくられます。
通夜が終わった後の参列者は返礼品を貰って帰宅するか、通夜振る舞いに参加することになります。
通夜振る舞いに参加する際には、食事を勧められたら断らずに頂くのが礼儀です。
通夜振る舞いの席では故人の思い出話に花を咲かせることになりますが、ご遺族の身体を慮って適当な所で切り上げて帰宅するのがマナーです。
もし告別式に参加できないのであれば、ご遺族にその旨をお伝えしてお詫び申し上げておきましょう。