道路にたまった太陽光の熱が、電気エネルギーになる!
真夏やとても天気が良い日などは、足の裏が焦げてしまいそうなほどアスファルト道路が熱くなりますよね。
道路が熱くなるのは太陽光や車の熱が吸収・蓄積されるためですが、それは足を火傷するどころかヒートアイランド現象や温暖化など、地球環境や私たちの健康を脅かすほどの深刻な問題になります。
そんななか、その蓄積熱を上手く電気エネルギーとして利用しようというプロジェクトが進められています。プロジェクト組織の名前は、Scott Brusaw氏を代表とするSolar Roadway(ソーラーロードウェイ)社です。米国連邦運輸省より獲得した10万ドルの支援予算を資金に、太陽光を発電エネルギーとするソーラー道路の研究開発を行っています。
社の目標は、アメリカの全高速道路のソーラー道路化
道路の上にソーラーパネルや高強度ガラスを並べて、発電層にはLEDライトを埋入する。
やや大雑把な説明ですが、これが彼らが開発中のソーラー道路の基本構造です。LEDライトを埋入する理由は、道路に交通整理や事故防止のための標識を表示するためです。また面倒な除雪作業の必要がなくなるロードヒーティング機能を搭載することも検討されています。
ソーラーロードウェイ社の目標は、米国の高速道路をすべてソーラー道路に置き換えることです。
それが実現すれば、アメリカに必要な電気エネルギーのほぼ100%をカバーできると言われています。
それにより石油資源の枯渇や原子力発電所の事故リスクの解決、ソーラーカーの普及によるCO2の削減といった効果も期待できるそうです。
開発コストや設置導入・維持費用が大きな課題となっている
開発成功→完全実用化→普及に至るまで浸透すれば、多くのメリットが得られるであろうソーラー道路。
しかしそれが叶うのは、まだまだ先のこととなりそうです。現在開発コストや設置導入費用、完成後の維持費用といった大きな課題が立ちはだかっているからです。
代表のスコット氏の話によると、ソーラーパネルの価格設定は1枚につき1万ドルを予定しているとのこと。例えば道路1マイル(1.609344Km)をソーラー道路に変えるとするならば、440枚のパネルと440万ドル分の費用が必要になるそうです。
たった1マイルでこの値段ですから、アメリカの高速道路すべてというスケールでは、途方もないお金がかかることが容易に想像できます。例え実用化が叶ったとしても、大都市など限られたエリアのみ実現という結果に終わってしまっては、開発にかけたコストや苦労が意味をなさなくなってしまうでしょう。
しかしながら大量生産によるコスト削減など、課題に対するさまざまな対策が考えられていますから、今後の進展に期待したいところです。