ヒップホップダンスなぜ必修化になったのか?その理由とは?|トピックスファロー

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2012年8月17日
ヒップホップダンスなぜ必修化になったのか?その理由とは?

若者に人気のヒップホップダンス。平成24年度から中学の必修科目化し、先生たちが目を回しながらダンスの研修に励んでいる姿がクローズアップされています。少し前までは一部の子供が習うだけのダンスだったのになぜ必修科目化することになったのでしょうか?

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学校でヒップホップダンスを学ばなければならない理由

2012年(平成24年)度より、平成20年度に決定した改訂案に従って小中学校の学習指導要領が改訂されることになりました。 子供たちの「生きる力」を育むというテーマに基づく改訂内容の中で、特に注目されているのが保健体育の変更内容です。

選択科目であった「現代的なリズムのダンス」、柔道の必修科目化が大きな目玉となっていますがこの「現代的なリズムのダンス」というのが若者に人気のヒップホップダンスのことなのです。

ヒップホップダンスの研修に励む先生方の姿がニュースで流れる今、なぜヒップホップダンスが必修科目に選ばれたのでしょうか?

ヒップホップダンスとは?

ここで問題になるヒップホップダンスとはどのようなものなのか、簡単に説明します。 ヒップホップダンスはアメリカで生まれたストリートカルチャーの一つであるヒップホップミュージックに合わせて踊るダンスです。

本来のヒップホップは1970年代に盛り上がったブラック・カルチャーから生まれた音楽のことで、本来のヒップホップダンスはブレイクダンスのことを指しています。

現代におけるヒップホップダンスは、ブレイクダンスを内包したさまざまなジャンルを融合させた激しく速い動きが特徴のダンスとなっています。

学校で習うダンスは三種類のどれか

平成24年度の学習指導要領改訂によって必修科目化されたダンスはヒップホップダンスだけというわけではありません。

キャンプファイヤーや文化祭の後夜祭などでおなじみのフォークダンス、生徒自身の手で振付を考えさせる創作ダンスなどもヒップホップダンスとともに必修科目化しています。 ただし、三つのダンスを全部やれというわけではなく、ヒップホップダンス・フォークダンス・創作ダンスの内のどれか一つを授業でやらなければならないのです。

なぜヒップホップダンスを学ぶのか

「別にダンスを授業でやるのであれば社交ダンスでもいいじゃないか」と思う人も少なくないでしょう。 文部科学省がヒップホップダンスを通じて学んでほしいのはダンスを踊れる運動神経ではなく、「仲間とのコミュニケーション」なのです。

ヒップホップダンスは、社交ダンスやフォークダンスと違い三人以上の大人数で踊ることが当たり前でチームプレイが重視されるダンスです。 全員が同じ動きをする必要はなく、上手な子がセンター、ちょっと苦手な子がサイドというようにそれぞれにできることを分担して一つのパフォーマンスを作り上げる、そんな心配りや連帯感を養うことを期待しているのです。

また、アイドルを目指して小学校からダンスを学ぶ子供も多くなっているため、生徒のヒップホップダンスに対する抵抗が少ないことも理由の一つになっているといえます。

問題は指導する先生方

ヒップホップダンスでコミュニケーションを図り、連帯感や仲間意識を学んでもらおうという理念は良いものだと思いますが、問題は「誰が授業の中でヒップホップダンスを教えるか」ということです。

ヒップホップを得意とするプロダンサーを外部講師として招いて授業を行っている学校もあるのですが、大体の場合は先生が町のダンススクールに通ってヒップホップダンスを学ぶことになるようです。

先生方は意外と忙しいもので、授業の隙間を縫って学校の仕事の書類や明日の授業の準備、部活の指導などを行っています。そこにダンスの習い事まで増えるとなると想像するだけでも大変な労力が要求されているのは一目瞭然でしょう。

それに、ダンスの得手・不得手にはリズム感や勘の良さといった個人差が大きくかかわってくるので、「人に教えられるレベルに達していない教師から指導を受ける」ということも十分考えられるのです。

武道義務化も大事な問題

今回の学習指導要領改訂ではヒップホップダンスばかりがクローズアップされていますが、武道としての柔道の必修化も大きな問題を抱えています。

何が問題かというと、柔道は体格の個人差や経験量、突き詰めていえばとっさの時に受け身が自然にとれないと命に係わるということです。 柔道は相手に技をかけて背中を床に付けて一本、というルールですがそれはつまり、「技を掛けられたら後頭部を打つ危険性がある」ということでもあります。

武道には精神修養効果があるとよく言われますが、「生兵法は怪我の元」というように中途半端に武道をかじっただけでは心を育てることにはつながらないのではないでしょうか。

著者:渡辺芳樹

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学生時代からライターとして活動。小さな会社に就職したおかげで、ライター以外に、編集からWEBサイト製作など、幅広く経験。現在はフリーランスとなり、いくつかの会社と契約を結んで執筆活動してます。