インプラント治療の費用を安く済まそうとするのは危険かも|トピックスファロー

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2012年10月24日
インプラント治療の費用を安く済まそうとするのは危険かも

デンタルインプラントはとにかく費用が高くつきます。人工歯と根元だけで10万円近く掛かるのに、手術費用も入れば一本あたり30万円になることもザラです。最近は低価格でのインプラント手術を行うクリニックも増えてきていますが、費用の安いインプラントは果たして信用できるのでしょうか?

都内在住のフリーライター。犬猫と仲良く暮らしてます。
  

価格破壊が進むインプラント治療。本当に安いクリニックは安心なのか?

「安物買いの銭失い」という言葉があるように、価格が市場価格よりも安くされているものはお金の無駄にしかならない程度の価値しかないと昔から考えられてきました。
しかし、デフレによる物価の下落が進んだ現在では「安かろう、悪かろう」は過去のものとなりつつあります。

このようなデフレの影響は医療分野にも表れています。健康保険が適用される診療にはデフレの影響はないものの、価格が医院ごとに自由に設定できる自由診療の場合はデフレの影響が及んできています。
治療費が安いインプラント治療は本当にお買い得、お値打ち物なのでしょうか?

安いインプラント治療は何が危ない?

市場価格をはるかに下回る値段で商品やサービスを提供できる店というのは、何か怪しい手段を使ってコストを抜いているのではないかと考えるのが道理というものです。
では、通常だと一本当たり手術費込みで30万円は下らないといわれるインプラント治療を、安く行うにはどのような手段が疑われるのでしょうか?

消費期限切れのフィクスチャーを使っている

デンタルインプラント治療の肝は、チタンなどの骨と親和性の良い素材で作った土台となるフィクスチャーにあります。
フィクスチャーを顎骨に埋め込むことで、チタンなどの素材と骨が強固に結合する「オッセオインテグレーション」という現象が起こり、義歯をしっかりと固定できる根本が出来るわけです。

しかし、チタン製フィクスチャーは製造から時間が経つと表面が酸化してしまい、オッセオインテグレーションの進行が遅くなってしまうという弱点があります。その為、フィクスチャーには消費期限が定められています。
安い費用でインプラント治療が出来るクリニックの中には、このような消費期限切れのフィクスチャーを使っている所もあるようなのです。

設備投資をケチっている

病院・医院を運営する上でお金が掛かる部分の一つが設備投資費用です。最新鋭・高性能の設備とまではいかなくても、インプラント手術を行うためには立体映像が表示できるCTスキャンや出血を抑える電子メス・レーザーメス、血圧・脈拍を監視するモニタリング装置などの設備が必要になってきます。

医療設備というのは一度買ってしまえばずっと使えるというわけではなく、ドリルの刃のような消耗品の購入や設備のメンテナンスなどが必要になってきて、結局お金が掛かってしまいます。
この設備投資費用は手術費用などで賄うことになるのですが、設備投資に回すお金を削ればその分だけ手術費用も安くできる、という塩梅なのです。

経験不足の医師が施術している

インプラント手術は、ある意味職人芸というか熟練の医師が執刀しないと不安を感じるくらいに難しいものです。特に下顎骨へのインプラント埋入は、顎骨の下の神経や血管が通っているだけに慎重かつ正確に行わなければなりません。
しかし、インプラント治療を行っているクリニックの数に対しインプラント手術の経験が充分にある医師の数は不足しています。また、腕のいい医師を雇うということはその分だけ人件費が掛かることになるため、手術費用にも反映されてきます。
経験不足だけど人件費を抑えられる研修医や新人医師を執刀医にしてインプラント手術を行えば、手術費用も安く出来るというわけです。

オプションが高い

これは歯医者に限らず、様々な分野でも活用されているテクニックなのですが、本体価格を安くする代わりに保険なら特約、車ならパーツというようにオプションを盛り込むことで利益を発生させるという方法があります。
そして、安くなった本体価格だけを表示してオプション価格は「要相談」とお茶を濁しておけば、同業他社よりも安く売っているように見えるという仕組みです。

インプラントの場合、土台となるフィクスチャー、歯の部分の上部構造、上部構造とフィクスチャーを繋ぐアバットメントの三つをオプション化して、一番安い組み合わせの費用を表示すれば安く見えるという寸法です。一番安い組み合わせでもインプラントとして十分に使えますが、長期間の使用に耐えうる組み合わせになると市場価格と変わらなくなることもしばしばです。

事前の下調べは入念に行おう

このように、治療費を自由に設定できる自由診療であるインプラント治療は安く済ませようと思えば済ませられるものですが、安くした分だけ何らかのリスクを患者が追うことになりうるのです。
健康保険が効かない分、安く済ませたいという気持ちはわかるのですが手術を伴う以上は安全性も秤にかけて、施術を受けるクリニックを選ばなければなりません。

その為に、事前にホームページや口コミ評判などを調べておき、安心して任せられるクリニックを探すことがインプラント手術には重要なのです。

著者:坂下モド

都内在住のフリーライター。犬猫と仲良く暮らしてます。
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ペットを飼っている関係上、ペット関連の記事を多く執筆。現在ではジャンルを問わず、政治・経済なども