行き過ぎと判断されれば犯罪
集合住宅において、騒音トラブルは避けて通りたい問題です。
それでも騒音トラブルが起きてしまい、一向になおらない場合はどうした良いでしょうか?
目くじらを立てて怒鳴り込むと『神経質だ!』と言われ、トラブル回避どころの問題ではなくなってしまいます。
だからといって、ずっと忍耐すると体に害を被らせてしまいかねません。
その際、どこから行き過ぎかを線引きするのが、『受忍限度』というものです。
これによって、その騒音トラブルが『仕方が無いものなのか』『意図的で悪意のあるものなのか』『隣人はやめる気が無いのか』という判断がなされます。
明らかに悪意があり意図的な騒音であるなら、それは“犯罪”と認識され法的な処罰を受けなくてはなりません。
受忍限度は『解決可能なトラブルとして済ませるか』または『明らかな犯罪として処理するか』を線引きする大事な論点なのです。
受忍限度の意味を知る
先程から出てきている受忍限度とは一体どういう意味なのでしょうか?
受忍限度とは、『被害の度合いが一般社会で考えられている考え方や常識上忍耐できる限度』と定義されています。
簡単に言いますと、『一般常識で考えて我慢できるか、我慢できないかの限界』という事になります。
ですから、生活排水の音など日常生活をしていくうえで、どうしも生じてしまう音であれば我慢する事が求められます。
しかし、明らかな非常識の騒音(例:真夜中に大音量でTVやコンポをかけている。夜遅くに大工作業や楽器の演奏)に関しては、限界を超えていますので注意されても当然の事なのです。
それに対して『神経質だ!』と言って怒鳴り返すのは、一般的な考えや常識とかけ離れている事になるのです。
そういう時の見極めが“受忍限度”のお仕事になるのです。
受忍限度が論点になった騒音トラブルの実例
深夜に歌った事が約60万を支払う羽目に
アパートの2階に住む住民が、2階に住む住民の騒音によってこのような判決がおりました。
2階に住む住民は深夜に大声で歌っていたため、2階に住む住民は不眠症や適応障害などを起こしました。
これは、明らかに受忍限度を超えたものだったので、不法行為に基づく損害賠償として1階に住む住民に約60万円の支払いが命ぜられました。
子供の走る音が被害の対象に
上の階に住む子供の走り回る音が、階下の住民の受忍限度を超えたと判断し賠償が命ぜられました。
ここの建物は遮音性に劣っていたため騒音が大きかったのでしょう。その為、何度か注意をしたのですが、簡単な騒音対策をしただけで、本格的な対策は講じない状態。耐えかねた階下の住民は、警察への相談や騒音の大きさを提出することになりました。結果我慢できる限界ではないと判断され、このような判決になりました。
非常識にならない=騒音トラブルの解決 それが受忍限度のある意味
受忍限度は、騒音トラブルをなりふり構わず法で裁くためのものではありません。
あくまでも、非常識な行為ゆえに支障をきたした時に仕方なく法で裁くためのものです。
ですから、一方的に騒音被害を受けたと叫ぶのではなく、現実的に我慢しなくてはならない範疇の音であれば、我慢するのが求められます。
そして、音を出す方も開き直るのではなく、最大限防音対策をする事が求められます。
これにより、騒音トラブルは避けられます。また、受忍限度というものよって、その件が裁かれる対象として判断される事は無くなるでしょう。
集合住宅での生活が多く生活スタイルも様々なので、隣人とのトラブルは起きやすい状況です。
しかし、起こさない様に努力する事もできます。
互いへの配慮を持って騒音トラブルを起こさない様にするのがベストな方法です。