健康保険の効く治療・効かない治療の違いと併用について|トピックスファロー

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2012年10月24日
健康保険の効く治療・効かない治療の違いと併用について

インプラント治療の一部が保険診療の対象になったのはつい最近のことですが、それ以前のインプラント治療が全て保険の効かない自由診療だったというわけではありません。保険診療と自由診療の違いや、保険診療と併用できる先進医療について解説していきます。

都内在住のフリーライター。犬猫と仲良く暮らしてます。
  

保険診療と自由診療の違い、そして先進医療とは何か

病院・医院で受けられる治療には、健康保険による治療費減免を受けられる保険診療と、治療費が全額患者の自己負担になる自由診療があります。
経済的な理由でいえば負担が小さい保険診療の方がありがたいものですが、健康的な面でいえば保険診療よりも効き目が高いであろう自由診療に一縷の望みをかけてすがりたいという人がいることも確かです。
なぜ病院・医院での治療にはこのように「健康保険の効く・効かない」という違いがあるのでしょうか?

健康保険の適用は厚生労働省の判断

保険診療と自由診療を分ける、「治療法や薬剤の使用に健康保険が適用されるかどうか」という判断は管轄省庁である厚生労働省によって下されます

保険診療の認可を受けた治療法・薬剤とは、「役所のお墨付きを貰えた安全かつ効果のある治療であるといっても過言ではありません。
臨床試験を重ねて本当に効果がある方法なのか、副作用や術後の経過は芳しいものなのか、医師であれば誰でも使えるものなのか…といった有用性や危険性、取扱い易さを検証して初めて保険診療としての承認を受けることになるのです。

自由診療は「承認されてないから怪しい」というわけではない

「保険診療は厚労省の承認を受けている」というと、対立する自由診療には「厚労省の承認がない」というイメージを持ちがちですが、そういうことではありません。

確かに日本未認可の新薬や開発されたばかりの手術法・治療法なども自由診療に含まれていますが、美容整形や出産なども自由診療の領分に含まれています。
俗に「妊娠は病気じゃない」なんて言いますが、自由診療は「保険診療対象外の治療」と「病気ではないが医学的知識・技術に基づいた治療を施すケース」が混在しているという一つの証左と言えます。

保険診療と自由診療は併用できない

保険診療の範囲でがんなどの重病を治療中の家族が居る人が、「本で知った未承認の抗がん剤を使ってほしい」と担当医師に懇願するケースが良くあるものです。
このように、保険診療内の治療法と自由診療内の治療法を併用することを「混合診療」と言います。

患者や患者の家族からすれば、「不治の病でも治るかもしれない」という希望を抱かせてくれる未承認薬や新治療法を使ってでも病気を治したい、と考えるのは自然なことです。
しかし、患者や家族の思惑とは裏腹に混合診療は法律的に禁じられています。理由としては10割負担の自由診療を保険診療と併用すると治療費が跳ね上がってしまい患者に負担を掛けること、お金を持っている人だけが優れた治療を受けられる「医療格差」が生じることなどが挙げられています。

混合診療の例外・先進医療

このように、保険診療と自由診療は併用することが出来ないため、病気の種類や治療法によっては「薬石功を奏せず」という結果になってしまうこともしばしばです。
しかし、例外的に保険診療と併用できる自由診療があるのです。それが「先進医療」です。

先進医療とは厚生労働大臣の認可を受けた最新最先端の医療技術のことで、保険診療との併用が唯一許されているのです。
保険診療と先進医療の併用では、『保険診療分治療費の三割+先進医療の治療費10割』を治療費として支払うことになります。その為、保険診療よりも治療費が掛かってしまいます。
また、先進医療として認可されている技術・治療法は少なく、受診できる病院も限られてくるため「誰もが、どこの病院でも受けられる」ということにはならないので注意しなければなりません。
また、先進医療の受診で発生する治療費は、医療費の支出を抑える制度である高額療養費の対象にはならないことにも注意しなければなりません。

保険診療化以前のインプラントも先進医療だった

病気・外傷の治療のためのインプラント治療が保険診療になったのは平成24年4月からのことですが、それ以前は先進医療として認可を受けていました。
しかし、前述の通り先進医療では治療費が高額になること、高額療養費支給制度の対象にならないこと、自由診療としてのインプラント治療の需要が増大していることなどが理由となって先進医療から保険診療に移管されたのです。

著者:坂下モド

都内在住のフリーライター。犬猫と仲良く暮らしてます。
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ペットを飼っている関係上、ペット関連の記事を多く執筆。現在ではジャンルを問わず、政治・経済なども