喪服にはオーダースーツが良い理由とは
あまり頻繁に着ることのない喪服は、安物の既製品で構わない、または、何かあったらその時に買えばいい、なんて思っている人は多いはず。でも、“安物買いの銭失い”という言葉があるように、その場しのぎで安い製品を何着も買うことは、あまり経済的といえません。
ここでは、喪服にオーダースーツをオススメする、3つの理由についてご説明します。
仕立て直しがしやすい
喪服は着る機会が少ないことから、体型が変化していて、久しぶりに着てみたらサイズが合わなくなっていた、ということはしばしば。新しいスーツを買うのはもったいないから、サイズを直してみようかと考えた時に問題となるのが、いわゆる“吊るし”と呼ばれる既成服です。
既成服は、仕立て直すことを前提に作られていないため、大きな修正が難しく、また、わずかな修正でもシルエットに影響が出てしまうのです。
ところが、長く着ることを想定しているオーダースーツの場合は、ある程度の直しを難なくこなすだけではなく、店舗によっては、その店で仕立てたスーツなら無料でお直ししてくれます。
生地が選べる
若いころに、手頃な値段で買ったスーツを久しぶりの着てみて、安っぽいと感じた経験はありませんか?安い既製服は、使っている生地も上質とはいえないため、それは仕方のないことです。
でも、正直いって、いい年をして安っぽい生地の服を着ていることは、恥ずかしいですよね。
特に、ブラックスーツの場合、他のスーツに比べて、生地の質が素人目にもわかりやすいことから、ある程度の年齢になったら、公の場には上質の生地のスーツで出かけたいものです。
スタイルやディテールの指定ができる
亡くなった人とのお別れの場である葬儀に来ていくスーツには、いくつか守らなければいけないスタイルやディテールがあります。
スーツのスタイルとして、ファッション性の低い無難なものが適当です。
エレガントでセクシーなイメージの強いクラシコイタリアのスタイルは、葬儀向きではありません。それ以外に、ダブルのパンツの裾や3つボタン段返りのジャケットもNGとされています。
また、最近、ジャケットの裾のベント(割れ)が入っている既成品のブラックスーツが多いのですが、実はこれ、フォーマルスタイルとしてはルール違反。背中の中央の裾に入ったセンターベントは乗馬、両脇の裾に入ったサイトベンツは剣の抜き差しが、それぞれ起源となっていることから、スポーティなイメージが強いと考えられています。
そのため、フォーマルスーツの場合、ノーベンツが基本となっているのです。
このように、葬儀の場に着ていく喪服はいくつかの制限を伴うことから、専門家の意見に従って、しかるべきスタイルやディテールのスーツをオーダーする必要があります。
スーツ以外に必要なアイテムとは
急な場面で慌てないために、あらかじめ揃えておくべきアイテムと、知らないことによって思わぬところで恥をかかないための、弔事の際の、ファッションの注意点についてご紹介します。
シャツ
シングルカフスの白いレギュラーシャツが基本です。
できれば、カフスボタンは避けた方が良いのですが、どうしても着用するという場合は、銀台にブラックオニキスをあしらったものが無難です。
ネクタイ
黒の無地のものを選びます。
ウィンザーノットのようなボリューム感のある結び方は避け、ディンプル(結び目部分のえくぼ)のないプレーンな結び方になるよう心がけましょう。
靴・靴下
プレーントゥやストレートチップの革靴が望ましいといえます。
光沢のある華美なものや、スウェード素材の製品は避けましょう。
気をつけるべきこと
基本的に、結婚指輪を除く、ネクタイピンやポケットチーフなどの装飾品はNGとされています。
また、派手な光物の腕時計・ベルトの着用はNGです。装飾的な製品や金製品、金色のもの、爬虫類のベルトなどは避けた方が良いでしょう。